ラグビー

対サモア、スクラムとモール防御が勝利への鍵 早大ラグビー部分析

6月にあった新ジャージーの発表会に出席した日本代表の選手たち(撮影・松本龍三郎)

 多くの日本代表選手を出している早稲田大学ラグビー蹴球部の分析班が、W杯に挑む日本や対戦チームのデータを独自に調べ、日本の課題や攻略方法を探る。

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■サモア攻略の鍵は

 サモアの武器はシンプルだ。W杯2試合と直前のアイルランド戦、日本との強化試合の計4試合を分析すると、10トライ中五つをセットプレーから1回目の攻撃で挙げていた。

 トライのエリア別起点も敵陣22メートル以内が六つ。一人ひとりの強さを生かした個人技での突破、そしてFWの重さを生かしたラインアウトからのモール。警戒すべき点は明確だ。

 時間帯別のトライ数を比べると、後半に七つと多くなっている。被トライ数は4試合で六つと少なく、特に自陣ゴール前での防御が粘り強い。個々の才能頼りだった過去のチームと比べ、組織として統率が取れている。経験値の高い選手たちが、うまく試合をコントロールしている印象だ。

 日本はイングランド戦で安定していたスクラムで優位に立ちたい。7月の対戦では、サモアボールのスクラムで日本が複数の反則を犯していた。スクラムの安定、そして相手の得点源であるラインアウトからのモールを防ぐことが勝利への必要条件の一つだろう。

 日本は攻撃のテンポの速さが生命線だ。ラックから球を出す早さは今大会平均3・2秒で、サモアを1・2秒上回る。イングランド戦ではキックを多用したが、球を相手に渡すキックは控え、できるだけ球を継続して自分たちのペースに持ち込みたい。

 反則の面では、日本は規律の高さが目立つ。平均6の日本に対して、サモアは11。粘り強く戦っていれば、相手が先に崩れていくはず。そこから、勝機を見いだしたい。

■サモアの直近4試合のトライ分析

フェーズ(連続)アタックの回数とトライ数(失トライ数)

1回 5(1)

2~3回 3(2)

4~6回 2(1)

7回以上 0(2)

起点エリア別トライ数(失トライ数)

自陣22メートル内 1(2)

自22メートル~ハーフウェー 1(2)

ハーフウェー~敵陣22メートル 2(2)

敵22メートル内 6(0)

(分析・早大ラグビー部 松本渉)

=朝日新聞デジタル2023年09月28日掲載

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