陸上・駅伝

東海大、リカバリー重視で名門の走り復活へ 「森永製菓inトレーニングラボ」で強化

東海大のトレーニングをサポートする牧野講平氏

東海大学は夏場、駅伝シーズンに向けて、長野県と北海道で計3度の合宿を行った。昨年の全日本大学駅伝では10位。2019年には2度目の優勝を果たした「名門」は、その悔しさも胸に距離を積んだ。一方で、激しいトレーニングは疲労を生み、疲労が蓄積されれば、練習の効果も下がってしまう。そこで重要になるのがリカバリーである。森永製菓の施設「森永製菓inトレーニングラボ」(東京都港区)の牧野講平氏が名門の走りを支える。

スペシャリストがトレーニング指導

「超一流のアスリートになればなるほど、リカバリーに対する意識は高く、かける時間も長いですね」

こう話すのは、「森永製菓inトレーニングラボ」のテクニカルディレクターを務めている牧野講平氏だ。アスレティックトレーナーの第一人者である牧野氏はこれまで、浅田真央さん(フィギュアスケート)、高梨沙羅さん(スキージャンプ)、有村智恵さん(ゴルフ)、前田健太さん(野球)ら、数々のトップアスリートを指導してきた。

「森永製菓inトレーニングラボ」は、最先端のトレーニングや栄養指導など通して、アスリートをサポートする施設。2018年頃から、素早くエネルギー補給ができる「inゼリー」の提供を通して東海大のコンディショニングをサポートしている森永製菓は、この「森永製菓inトレーニングラボ」で得たさまざまなノウハウやデータも、東海大に提供している。

東海大の選手は2022年より、月に1度くらいの頻度で数人ずつ、ここでトレーニングを行っており、同7月からは牧野氏の指導を受けるようになった。牧野氏からトレーニング方法を教わった選手たちや、川端駿介(4年、洛南)ら学生コーチはこの内容を他の部員に伝え、チーム全体で行っている。

牧野氏によると、練習での疲労が蓄積されたままで走ると、フォームが乱れ、故障にもつながるという。

東海大の選手たちにリカバリーの重要性を伝えている

「具体的には“反り腰”になる選手が多いです。腰が反ってしまうと、肺が上手く使えず、正しい呼吸が行えなかったりスムーズにできなかったり、太ももの裏にストレスを感じることがあります。また、体幹も使えなくなるので、股関節周りに負担がかかります。それによって肩に力が入り、首や腰、あるいはひざに痛みが出るケースもあるのです」

エクササイズを通して自分の体を知る

東海大の選手にもこのような傾向が見られるという。つまり、疲労が回復しないままでは、パフォーマンスの向上にはつながらないわけだ。そこで提案したのが、リカバリーと故障予防のためのエクササイズである。

牧野氏は「着目したのは負担がかかっている股関節周り、特に腸腰(ちょうよう)筋です」と言うと、次のように続けた。

「腸腰筋は足を着いた時にブレーキの役割を果たす筋肉です。夏の合宿など、駅伝シーズンに向けての走り込みで、足を着く回数が増えると、この腸腰筋とセットになっている筋肉が摩耗します。そうなるとブレーキの効きが悪くなり、フォームが崩れる原因となってしまうのです」

これを踏まえ、朝練習前の20のエクササイズの中に、腕を下にして横向きで寝た状態で行う「クロスレッグTFLモビリティ」や、片膝(ひざ)立ちで行う「ハムストリングモビリティ」など、腸腰筋をほぐすものを8種類入れた。

「エクササイズは、体のメンテナンスとケガの予防が大きな目的ですが、エクササイズに取り組むことで、どの部位が疲れている、またはここが弱いということにも気付いてほしいと思っています」と話す。

20種類の中には、クロックアクティベーションなど、肩周りの筋肉を強化するエクササイズが4つ、組み入れられている。前述の説明の通り、疲れによってフォームが乱れ、首や肩がつらくなることがあるからだ。東海大でもこれを訴える選手が少なからずいて、肩周りをほぐすエクササイズを指導していたが、改善が見られなかったため、発想を転換して強化に踏み切ったのだという。

牧野氏からチューブを使ったエクササイズを教わる竹割真(中央)

「原因には肩周りが弱い、という側面もあるからです。長距離選手は酸素の摂取がとても重要になりますが、肩周りが強くなれば、正しい姿勢が保てるので、呼吸がしやすくなるのです」

「どう改善すればよいか明確になった」

まだ2年目だが、牧野氏の指導による効果は着実に表れている。駅伝主将の越陽汰(3年、佐久長聖)は「自分が改善すべきポイントはわかっていたんですが、牧野氏から指導を受けることで、どのように改善すればいいか、明確になりました。僕はポイント練習や試合の時に腰ベルトをしているのですが、装着するタイミングを教えてもらうなど、トレーニング以外でもアドバイスをもらっています」と話す。

バランスボールを使ったエクササイズを行う越陽汰

2年生世代のエース候補である花岡寿哉(上田西)は「牧野氏のトレーニングによって、体幹と股関節周りが他の選手より弱いとわかりましたし、トレーニングを続けることでだいぶ強くなってきました。それが走りにもつながり、安定した結果を残せるようになりました」と口にする。

名将・両角速監督も、新しい取り組みに手応えを感じている。

「超一流のアスリートがトレーニングをする場で、スペシャリストの牧野氏から指導を受けているということは、選手たちの自信にもなっているようです。加えて、走ること以外に何をすればタイムが伸びるか、選手たちがわからなかったことを提案してもらっている。その影響力は大きいと思います」

エース候補の花岡寿哉はトレーニングを通して安定した走りを目指す

牧野氏のトレーニングとともに、選手のコンディショニングをサポートしているのが、「inゼリー」だ。両角監督は「今年の夏は記録的な猛暑で、合宿地の北海道・紋別もかなり暑かったのですが、選手たちは追い込んだ練習を終えると、冷やしておいた「inゼリー」に飛びついていました。ウチでは言葉にしなくても、飲む仕草をすればすぐに「inゼリー」とわかる。そのくらいチームに浸透している存在です」と語る。

東海大では練習直後のエネルギー補給に加え、レースや練習の前も、始まる時間から逆算して『inゼリー エネルギー』を飲んでいる。また、体に負担がかかるレース後や強度の高い練習をした後は早めにたんぱく質を摂ることが大切なことから、『inゼリー プロテイン5g』を活用しているという。

「森永製菓inトレーニングラボ」での牧野氏による指導で、リカバリーの質が高まった東海大。「inゼリー」のサポートも味方に、全日本大学駅伝では名門らしい走りを見せる。

お問い合わせ先

森永製菓inトレーニングラボ

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