サッカー

法政大学・木村恵風 スピードを生かした粘り強い守備で、総理大臣杯3位の立役者に

キャプテンマークを巻いて出場する機会も多い(すべて撮影・スポーツ法政新聞会)

上田綺世(フェイエノールト、法政大学出身)、三笘薫(ブライトン、筑波大学出身)、伊東純也(スタッド・ランス、神奈川大学出身)らの台頭により、大学サッカーが注目を集めている。

法政大学はその大学サッカー界を牽引(けんいん)する一校であり、ここ2年で輩出したJリーガーは17人を数える。名門・法政大サッカー部を継続的に取材している私たち、スポーツ法政新聞会のサッカー担当がイチオシする選手が、木村恵風(3年、横浜F・マリノスユース)だ。

高校時代は横浜F・マリノスユースで主力として活躍

183cm、75kgと日本人センターバック(CB)としては平均的なサイズだが、スピードを生かした対人戦を得意とし、法政大の防波堤となっている。彼が憧れるCBチアゴ・シウバ(チェルシー)のようなリーダーシップや声掛けにも優れ、法政大の新たなDFリーダーとしての活躍に期待がかかる。

スピードを生かした対人守備が得意

横浜F・マリノスユースでは、高校2年時から主力として活躍した。クラブユース選手権では全国3位、プリンスリーグ(2部相当)では関東2位と堂々の成績を残す。リーグでは惜しくも優勝を逃したが、プレミアリーグ(1部相当)昇格をかけたプレーオフ2回戦で決勝ゴールを挙げる大活躍を見せた。最終学年ではリーグ終盤にかけて出場機会を獲得。同期の中村翼と2人で法政大への進学を決めた。

全日本大学新人戦で法政大を全国3位に導く

大学入学後は、後にプロ入りするCBが多くいた影響もあり、 Bチームで出場機会を重ねた。

私が彼のプレーを初めて見たのは、昨年11月に行われた関東大学サッカー新人戦3位決定戦の拓殖大学戦。3-4-2-1という攻撃的なフォーメーションで、木村は3バックの一角を務めていた。背番号4を付けてキャプテンマークを巻き、ラインを統率する姿は、木村と同じユース出身で現在、横浜F・マリノスでクラブシップ・キャプテンを務める栗原勇蔵氏を彷彿(ほうふつ)とさせた。

試合は2-1で勝利。失点はPKによるもので、流れの中では相手の攻撃を完璧に抑えた。この勝利で出場権をつかんだ全日本大学サッカー新人戦では、全4試合でキャプテンマークを巻き、法政大を全国3位に導いた。

今季からレギュラーに定着、DF陣のリーダーに

今季、うれしいAチームデビューを果たした。レギュラーに定着したのは5月だった。

5月27日、公式戦6試合勝利なしと苦しい状況で迎えた関東大学リーグ1部の中央大学戦で、法政大はDFラインのメンバーを大きく入れ替えた。新たに抜擢(ばってき)された1人がCB木村だった。両サイドバックも今季リーグ戦初スタメンで、DFラインの動きの硬さが懸念されたが、木村の声がチームに安定をもたらした。試合は80分まで4-0と、攻守にパーフェクトな内容で進む。終盤の10分で夏の気温に体が追いつかず2失点を喫したが、ホームの城山サッカー場に歓喜の渦を巻き起こした。

DF陣の統率でリーダーシップを発揮する(右が木村)

この試合をきっかけに着実に出場機会を得ることになった。木村が新たなディフェンスのリーダーになるという雰囲気を感じさせたのは、6月23日に行われた「アミノバイタル®︎」カップ3回戦の神奈川大戦だ。

相手は、3部とはいえ首位を快走する勢いのあるチームだ。法政大は連戦も考慮してフルメンバーでは臨まず、GKは今季初出場の川﨑淳(2年、浦和レッズユース)、木村の相方は今季CBで初出場の林航輝(4年、清水エスパルスユース)が先発した。DFの連携面に不安もあったが、木村が周りを落ち着かせた。相手のミスに助けられた面はあったが、法政大のDF陣は90分しっかりゴールを守り抜き、1-0で勝利。公式戦13試合目にして今季初のクリーンシート(無失点)を達成した。

総理大臣杯1回戦では先制点をアシスト

この夏の総理大臣杯では、スタメン3試合を含む4試合に出場。守備はもちろんのこと、攻撃でも貢献した。9月1日に行われた1回戦の関西大学戦では、この夏にチームが手にした新たな武器であるロングスローのターゲットとなり、前半4分の先制点のアシストを記録。このゴールを皮切りにチームは4得点。公式戦8試合ぶりの勝利に大きく貢献した。その後も法政大は各地方の強豪大学を倒し、全国3位に輝いた。

今季レギュラーに定着して結果を残した

今季ここまで公式戦15試合に出場し、猛スピードで成長する木村。積み重ねた経験が、この1年で結果として表れ続けている。チームは関東大学リーグ1部の残留争いに巻き込まれる苦しい状況だが、総理大臣杯で見せた粘り強い守備を見せれば残留の2文字は確実に見えてくる。大学ラストイヤーを1部で戦うために、木村が粘り強い守備で残留をつかみ取る。

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