アメフト

青山学院QB小川創平 強敵・明学大倒し上位進出に感涙「もっとチーム引っ張る」

明治学院大に初めて勝ち、感情があふれる小川(すべて撮影、北川直樹)

アメリカンフットボールの関東学生1部BIG8のBブロックは、10月14日の1次リーグ第4節で明治学院大学と青山学院大学が対戦した。ここまで明学が1勝1敗で、青学が1勝2敗。勝った方が2次上位リーグ進出を決める、大事な一戦。パス攻撃で上回った青学が、17-14で明学に勝った。青学勝利の立役者は、明治学院高校出身のQB小川創平(3年)。かつての仲間たちとの対戦で輝いた。

残り31秒で決勝点、BIG8の2次上位リーグ進出

近年、BIG8で随一の選手層を誇る明学は、昨年TOP8との入れ替え戦に出場して慶應大に10-19で惜敗。今年こそはと悲願のTOP8昇格を狙う、優勝候補の筆頭だった。しかし前節、日本体育大学に逆転負けを喫して一歩後退。青学に勝つことが2次上位リーグ進出の条件だ。対する青学も、序盤戦で桜美林大学と日体に2敗しており、明学に勝つことが上位リーグ進出に必要。両チーム、一歩も譲れない試合だった。

先制したのは青学だった。第2クオーター(Q)、QB小川がWR齋藤陸(3年、桐蔭学園)に2連続でパスを通してロングゲインし、RB稲益楓輝(2年、東福岡)が走り込みタッチダウン(TD)。続くシリーズでは明学がTDを返して、7-7の同点で試合を折り返す。

堂々とした振る舞いで安定感のあるパフォーマンスを披露したQB小川

後半も小川のパスがさえる。第3Q8分すぎ、小川が思い切り投げ込む。守備をかわしたWR吉良勇心(3年、東海大福岡)へ45ydのTDパスがヒットして14-7と青学がリードを奪う。

だが第4Q、明学のナイスパントで自陣深くに追い込まれた青学は、難しい位置からの攻撃を強いられ、無得点のまま攻撃権を渡してしまう。この展開から、明学QB井戸本翔也(3年、明学東村山)が連続してパスを通し、最後はWR志茂駿佑(3年、明治学院)に33ydのTDパスを決めて14-14の同点に。試合時間は残り6分27秒。両チーム攻め込みきれず、1分を残して攻撃権は青学へ。

RB稲益は走って捕っての大活躍。ラン6回36yd1TD、パスキャッチ5回60yd獲得

ハーフライン付近からのシリーズ最初のプレーで、小川のパスを受けた稲益が走り39ydゲインし一気に敵陣へ入る。残り31秒でK中西大河(2年、都立駒場)が30ydのフィールドゴールを決めて17-14と3点のリードを奪う。逆転を狙う明学のラストプレーをQBサックで仕留め、青学が今季2勝目。1次リーグ順列3位をつかみとった。

青学のベンチは選手、スタッフ、コーチらが歓喜と涙に沸いた。

小川とハグし勝利を喜ぶ、オフェンスコーディネーターの近藤星次郎コーチ

「ここぞ」の場面、頼れる同期へTDパス

序盤戦の桜美林、日体と勝つ準備をして試合に臨んだが負けた。失意の2敗後、東海大学に良い形で勝ち、チームの雰囲気は上向いていた。

「この2週間、オフェンスコーディネーターに『お前でいく』と言われていました。ずっとライバル視してきた明学に、(3年目で)初めて勝ててうれしいです」。試合後は、負った責任と達成感から感情があふれた。

小川はこの試合でパスを37回投げて19回決め、224yd稼いだ。被インターセプトは0。齋藤らWR陣の捕球後の好走に支えられ、腰が据わったプレーぶりと、強肩から繰り出されるダイナミックな球筋が光った。「今まではロングパスが持ち味だと思ってたんですが、最近はWRの成長が著しいので。ショートパスでydを稼いでくれる分、自信がつきました」と、丁寧に言葉を選ぶ。同期のWRトリオ、齋藤、奈倉(吉伸、海城)、吉良は、小柄だがスピードがあって粒ぞろいなのが心強い。

エースWRの齋藤はキャッチ後のランが力強い
勝負所でWR吉良に決めたパスでリードを奪い、モメンタムをつかんだ

第3Qにリードを奪った吉良へのTDパスは、「ずっと練習してきて、ここぞという場面のために用意していたものです」。この試合で一番印象的なプレーだという。

神戸大めざし2浪 回り道したエース

明学高でアメフトを始め、QBをプレー。だが、都の選抜チームにも選ばれず、3年時の公式戦は春秋ともに都大会2回戦で敗退。目立つ選手ではなかった。

大学進学に際しては、2浪している。高校3年の受験を控えた秋に、4years.で2浪の末に神戸大に入学して活躍している森分優人(現・東京ガス)の記事を読んだ。「2浪で、しかも1年目から活躍してる人がいる」。一気に神戸大への憧れが芽生えた。浪人時は、1年目も2年目も神戸大を第一志望として、レイバンズ入りを目指していた。

遅れてやってきた走り屋 神戸大RB森分優人

しかし、「途中遊んだりしてしまって、なかなかうまくいかなくて……」。当初の目標はかなわず、2年遅れで青学へ。青学は2018年に2部からBIG8に昇格していて、上り調子な雰囲気があった。高校の同期や先輩が何人かいたこともあり、ブランクを経てアメフトを再開した。

選手・スタッフ混然の一体感と、素直な感情が見えるのが青学の魅力だ

1学年上の保立詩弥(ふみや、佼成学園)と争いながら、この秋スタメンに。「自覚も出てきたので、もっとチームを引っ張っていけるようなプレーをしたい」と意気込む。

選手層薄くても光る一体感

尾林浩行QBコーチ(2013年卒、元ディアーズ)からの評価も高い。「落ち着いていて守備をしっかり見た上で、客観的に自分のプレーを振り返れるのが小川の良さですね。コーチからしても、どんなプレーをしてくれるかの予測がしやすく、試合を組み立てやすいQBです」。この日もミスはあったが、引きずらずに次のプレーで挽回(ばんかい)できたことが勝利につながった。

「自分の強肩を生かしたプレーに加え、WRやOLといった周りのプレーヤーを生かすプレーをうまく織り交ぜてくれたら」。回り道をしてきたエースQBに掛かる期待は大きい。

58人と選手数は多くないが、一体感と熱さが魅力のチームだ

この日の登録選手数は、明学の98人に対して青学は58人。それをまったく感じさせない一体感とアツい雰囲気に魅了された。小川が引っ張る、青山学院大ライトニングの更なる躍進が見たい。

in Additionあわせて読みたい