4years.は5周年を迎えました これからも安心して競技に打ち込める環境作りを
4年間という限られた時間に本気をぶつける。そんな学生アスリートや支える皆さんが持つドラマに一つでも寄り添ってお届けし、当事者の皆さんにはモチベーションの向上を、応援する方々には日常生活に少しでも彩りを加えたい。2018年10月25日に「開幕宣言」をした4years.は、このたび5周年を迎えました。
この5年間で北は北海道から南は沖縄まで、230を超える大学、60を超える競技を採りあげてきました。サイトの開設当時に大学1年生だった皆さんは、多くの方がすでに卒業していることでしょう。社会人となっても競技を続け、第一線で活躍しているアスリートがいると、いまだに当時の記事にアクセスが集まってきます。「あの選手は大学時代、どんな思いを持って競技に関わっていたのか」という読者の皆さんの疑問に応えられているとしたら、うれしいことこの上ありません。
私が携わるようになったのは2022年からですが、すぐに「4years.のすごさ」を感じさせられる出来事がありました。
2022年のプロ野球開幕前、北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督が、開幕投手にドラフト8位で入団したばかりのルーキー・北山亘基投手(京都産業大学)を指名しました。オープン戦での先発経験はない「サプライズ起用」に、私自身「どんな投手なんだろう」と思った覚えがあります。そして4years.内で検索してみると、すでに記事があるじゃないですか。ここで北山投手が京都成章高校時代に甲子園で登板していたこと、高校でプロ志望届を提出したけどドラフト会議で指名されなかったこと、大学で「魔女トレ」に励んだことを知りました。
取材者として現場に立ったときは、「前だけを見つめて目標や展望を語るアスリートの姿」と「自発的に行動し続けている学生たちのかっこよさ」に圧倒されっぱなしでした。一般受験で大学に入り、部活動でもレギュラーの座を勝ち取って結果を残している選手たちのひたむきさと時間の使い方には、頭が上がりません。
この5年間でコロナ禍がありました。大学スポーツ界が最も影響を受けた出来事と言っても過言ではありません。特に今の4年生たちは入学直後に最初の緊急事態宣言が発令されて数々の大会が中止となり、部活動自体も止まってしまった世代。筑波大学女子バスケットボール部の田中万衣羽主将(4年、四日市商業)は自宅待機に移動の自粛が求められたことも重なり「すごくホームシックになりました」。中央大学陸上部の藤原正和駅伝監督は、今年の夏合宿での取材に「授業もずっとオンラインで入学式もない。先が見えない時期に入ってきたからこそ、目標を明確に設定してあげないといけなかった」と語ってくれました。
声出し応援が解禁されるなど、大学スポーツの現場もコロナ禍前の光景が戻ってきていますが、現役生たちが大変な時期を過ごしてきたのは変わらない。それは決して忘れてはいけないし、取材をさせてもらう上で大切な視点でもあります。
4years.を運営する上で欠かせない存在が、学生アスリートのそばで取材を続ける大学新聞の皆さんです。現在は16大学と提携し、編集部だけではなかなか手が回らない競技や、学生記者が「ぜひとも採りあげたい」と感じる方々の記事を寄せてくださっています。
今後は提携していただける大学新聞をさらに増やし、相互のコミュニティー化も進めていきたいと考えています。学生記者の皆さんが抱えている課題は何なのか。そこに4years.としてどんな解決の道を見いだせるのか。大学新聞同士と4years.がつながることで、新しい企画が打ち出せるのではないか。常に考え続けたいです。
このように「6年目」以降に向けたビジョンを描けるのも、4years.をローンチさせて「ゼロをイチ」にしてくれた初代編集長の篠原大輔さん、一番大変だったであろうコロナ禍を乗り越えて「イチをジュウ」にする道筋をつけてくれた2代目編集長の森田博志さんをはじめ、関わってくれている社員の皆さん、「控えめに言って最強」と誇れるライターの皆さんのおかげです。「あとは任せてください」なんて大口をたたくことはできませんが、さらにサイトが成長できるように私も本気を出します。
読んでポジティブな気持ちになるコンテンツ作りを通じ、大学スポーツに携わるすべての皆さんが、安心して競技に打ち込める環境作りへ。4years.の「新章」とも言える6年目、どうぞよろしくお願いします。
4years.編集長 井上翔太