甲子園ボウル 前人未到の6連覇かかる関西学院大に17年ぶりの頂点狙う法政大が挑戦
アメリカンフットボールの全日本大学選手権は12月17日、決勝の甲子園ボウルを迎える。8年連続57回目の出場となる関西学院大学ファイターズと2年ぶり19回目の晴れ舞台となる法政大学オレンジの顔合わせ。関学が勝てば史上初の6連覇で34度目の優勝、法政なら17年ぶり6度目の日本一だ。両校の対戦は9度目で、過去の対戦は関学の4勝3敗1分けだ。ホームは法政でユニフォームはホワイトを希望、関学はブルーで臨む。
関学は第6節で立命館大学を31-10で下し、6戦全勝で関西学生リーグ1部の優勝を決めたが、単独優勝がかかった最終節の関西大学戦に13-16で敗れ、関大、立命館大との3校同率優勝に。辛くも抽選で全日本大学選手権に進んだ。法政は関東大学1部TOP8の最終節を残して単独優勝と選手権進出を決めたあと、早稲田大学に敗れた。両校とも選手権準決勝は危なげなく勝って甲子園ボウルへ駒を進めた。4日には両校の監督、ヘッドコーチと主将が阪神甲子園球場で記者会見に出席した。
母校率いて2年目、接点を強化
法政大学 富永一ヘッドコーチ
「関学さんに挑戦させてもらえるので、まずは法政オレンジらしいフットボールを展開して、その上で最終的にいい結果が出れば素晴らしい。去年はスター選手のような人間がポジションごとにいたんですけども、今年はそうじゃない。でも試合を経るごとにチーム力で勝つということをだいぶ意識できてきたと思います。関学さんには常々、フィジカルがとても強くて、これをやると決めたら徹底的にやりこんでくるチームというイメージがある。とにかく強くて隙がない。大村監督とはオービックで一緒にコーチをやってました。いい意味で何を考えてるか分からないところがある。いろいろと策を練ってるんじゃないかと思っております。私は日大一高でアメフトを始めて法政大学時代にLBだったんですが、腰のけがが重なって、4年生だった1994年の春シーズン途中で学生スタッフになりました。それまでもシステムに口を出したりしてましたので、そちらの方がチームに貢献できるだろうと。一般企業に就職したことはなく、ずっとプロコーチとしてやってきました。学生チームは2020年から桜美林大学に2年間いて、母校に来て2年目です。3年生が4年になってこんなに伸びるとは思ってなかった。たとえばレシーバーの白井(圭、千葉日大一)です。去年のプレーとは全然違う。今年はODKとも接点で負けないようにしようとやってきたので、そこはだいぶこだわってプレーできています。甲子園ボウルのキーマンはQBの谷口(雄仁、3年、法政二)とLBの川村(智紀、4年、法政二)だと思ってます」
法政大学の理念「自由と進歩」を体現
法政大学 主将WR滝沢叡(4年、法政二)
「非常に楽しみです。僕たちは新しい学生フットボールのスタンダードになることを目的として、日本一を目標に活動してきました。チャレンジャーとして関学さんを破りたい。チームスポーツでありながら個人を尊重する。大学の理念である「自由と進歩」を体現することで僕らがやりたいことを考え、どれがベストなのかを模索しながら結果で示すというところが、僕たちの目指す新しいスタンダードなのかなと思います。2年前に甲子園で負けたリベンジの機会をもらってチーム一同アツくなってると思うんですけども、自分たちのフットボールをやりきるところは変わらずに、2週間練習したいです。接点にこだわってきたのは、去年のリーグ戦で早稲田に負けてからです。ブロック、タックルやボールへのアタックのところで負けたので、接点の強さを高めようとしてきました。関東のチームにとって関学に勝つのは一つの目標であり、あこがれです。関東で最優秀選手になったDBの長島(佑作、4年、千葉日大一)は普段ははっちゃけてますけど、プレーはアグレッシブで獣のような動きができます。僕の3学年上の兄は立教の選手でした。『頑張れ』と言ってくれてます」
しっかり準備し、今年一番のゲームを
関西学院大学 大村和輝監督
「3校同率優勝でもう一回チャンスをいただいたということは、『もっとちゃんとやれよ』ということだと思いますんで、とにかく関西の代表としてしっかりと準備をして、今年いちばんのゲームをして頑張れればいいと思ってます。法政さんは2年前もそうでしたけど、OLもDLも大きくてスピードもある。スポンサーは同じなのに、向こうだけええサプリ摂ってるんちゃうか、って(笑)。スキルポジションも体が分厚い。富永ヘッドコーチは昔から知ってて、非常にスマートで頭がいい。彼の術中にはまらないようにしないと。ウチのディフェンスは去年から出てたメンバーが多くて、Dで粘りながらゲームを成立させて戦っていこうと。そこはある程度やれるようになってます。海﨑が非常に明るくて、いままでにないタイプのキャプテンなんで、それがうまく浸透していってる部分があると思います。明るいけど真剣にやってないわけじゃない。そこが彼の目指してるチーム像だと思うので、そこはだいぶできてきました。今年から時計の周り方が変わったんで、通常の12分クオーターが早く終わってる。15分といっても去年までの12分が少し延びたぐらい。ゲームプランにはあんまり関係ないかなと思います。(RBの)前島(仁、4年、関西学院)は次はいかな、本人が怒るでしょ。(関関戦のときは)完治してなかったから。練習はできてるから、普通にやるはずですよ」
初めての負けで、これまでにない感情
関西学院大学 主将LB海﨑琢(4年、箕面自由学園)
「(関関戦で)初めての負けを経験して、これまでにない感情といいますか、いつも勝ってきた立場では味わえない感情を部員全員が受けました。でも甲子園までの道がつながっているので『一歩一歩進んでいこう』とは言ってたんですけど、正直負けの影響が一人ひとりの心の中に重くのしかかったという印象があります。そこからまずは九州大学にしっかり勝とうと言ってやってきました。今年1年、日本一を目標にして活動してきたので、最高の準備と最高のパフォーマンスでスローガンの『DOMINATE』を達成して日本一になれればと思います。(史上初の6連覇については)これまでのファイターズのOBの方々がつないでくれた歴史があってこういった記録になってるのかなと思うんですけども、個人的には6連覇にはあまりこだわらず、1年の集大成として日本一になって、結果的に6連覇できればいいのかなと考えてます」