同志社大ラグビー部、初の2部降格回避 次の代につないだものは
ラグビーの関西大学リーグの入れ替え戦が9日、奈良・天理親里競技場であった。
Aリーグ(1部)最下位の同志社大が、Bリーグ(2部)1位の大阪体育大を62―21で破り、初の2部降格を免れた。
■大学日本一4度「同志社を守る戦い」
7戦全敗の最下位でリーグ戦を終えた後、同大の宮本監督は入れ替え戦を「同志社を守る戦い」と表現した。
同大は慶応大、旧制三高(現京都大)に次いで古い1911年の創部。
関西リーグでの優勝48度(関西大学対抗戦時代を含む)は最多。全国大学選手権では、元日本代表の平尾誠二さん(故人)や大八木淳史さんらを擁して、1982~84年度に大会史上初の3連覇を果たすなど、計4度の日本一に輝いた。
その同大が今季、創部以来初めて7連敗の最下位に沈んだ。
その誇りにかけて、Bリーグ(2部)に降格するわけにはいかなかった。
序盤からたたみかけた。
前半10分にWTB岩本総司が先制トライを決めると、5分後にはラインアウトからモールで押し込んで2トライ目を奪った。セットプレーや接点で圧力をかけて大体大の攻め手を封じ、前半だけで38―0と突き放した。
「準備したことを完璧に全てやってくれた。最後の最後に、最大の集中力を発揮してプレーしてくれた」と宮本監督。
同大がリーグ戦7試合で、先制できたのは1試合のみだった。
一発勝負の入れ替え戦では、先手を取って主導権をにぎる。それだけにこだわって練習してきた。
試合が終わると、同大の選手たちは涙を流し、抱き合って喜んだ。
主将のプロップ山本敦輝は「苦しい時間が長かったので、本当に最後に勝ててよかった。同志社を守る、という集中力をチーム全員が出せた」。
宮本監督は言った。
「グラウンドで全てを出してくれた4年生の姿をみて、下級生が何をしなければいけないかを考えることが一番大切だと思う」
来季もAリーグでの戦いが続く。
伝統を守り、誇りを次の代につないだ。
(佐藤祐生)=朝日新聞デジタル2023年12月09日掲載