ラグビー

同志社大・梁本旺義 関西制覇のために体を張る主将、「逆境で笑える人間になれ」

「まず関西を絶対取りにいく」。梁本主将率いる同志社大の挑戦が始まる(すべて撮影・斉藤健仁)

関東から遅れること1週間の9月18日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で「2022ムロオ関西大学ラグビーAリーグ」が開幕する。今季は日本一ではなく、あえて2015年以来となる関西制覇を目標に掲げたのが、大学王者4度の名門・同志社大学ラグビー部だ。今季、「紺グレ」のジャージーで知られる伝統校の主将に就任したのは、2年時から運動量と激しいプレーを持ち味とし、接点で体を張り続けるロック(LO)/フランカー(FL)梁本旺義(4年、常翔学園)だ。

授業の合間にフィジカルトレーニング

昨季の同志社大は春季トーナメントで優勝を飾ったが、秋のリーグ戦では京都産業大学、近畿大学、天理大学と上位チームに惜敗して4位に終わった。ただ大学選手権に出場を果たし、朝日大学、大東文化大学に勝利。5シーズンぶりに準々決勝に進出したが、優勝した帝京大学に24-76と力負けした。3年でレギュラーとして攻守にわたって接点で存在感を示していた梁本は「春にチャンピオンになって、秋もいけるだろうというちょっと軽い気持ちも出ていたかもしれない。だから接戦をものにできなかったのでは」と反省の弁を口にした。

梁本が主将になった理由は、今季、新たに就任し、東京サントリーサンゴリアスで活躍したOBの宮本啓希監督ら、コーチ陣から指名されたからだ。宮本監督が選手たちに話を聞くと「梁本はリーダーシップがある」という意見が多かったという。副将にスタンドオフ(SO)/センター(CTB)の西村海音(4年、同志社高)が就いた。

昨シーズンの同志社は優勝した帝京大に力負け。この敗戦で気持ちが大きく変わった
梁本(右)は豊富な運動量と激しいプレーを持ち味にしている

梁本は「練習からの甘さ、なれ合いが影響したかなと思います。自分が先頭に立って、絶対に変えていかないといけない部分です。練習から厳しさを持って臨んでいくということを心掛けている」と語気を強めた。また昨季の大学選手権の帝京大戦に大差で負けたこともあり、「もう身長は伸びないですが、フィジカル面では鍛え直さないといけない。セットプレーでも強さをしっかり求めている」と春から授業の合間にフィジカルトレーニングを課して体を鍛えつつ、昨季同様に、セットプレーの強化にも注力している。

監督からコーチ陣まで同志社OBが集結

昨季までの同志社大は、フルタイムのコーチはいたものの、監督は働きながら週末に指導にくるというスタイルだった。今季から宮本監督がフルタイムで指導することになり、全体練習は朝と夕の2回ではなく、朝6時45分からの1回となった。梁本は「3年生までのことを考えると、監督がいつもグラウンドにいてくれて、めっちゃ距離感は近くなりましたね。選手たちからしてもうれしいです! 朝の方が(全体で練習を)合わせやすい。(朝の)練習後はしっかり個々でウェートトレーニングしています」と歓迎している。

宮本新監督だけでなく、7人制ラグビー日本代表で活躍した橋野皓介(元キヤノン)、今森甚(元東京ガス)らがコーチとしてフルタイムで教えており、FWのスクラムは中村嘉樹(元トヨタ自動車)、ラインアウトは田原太一(元サントリー)と同志社大のOBたちが指導に当たっている。

同志社大・宮本啓希監督 選手のフィジカル変える、午前6時45分からの「朝活」

今季のスローガンは4回生全員で話し合って「MOVE(ムーブ)」と定めた。今季の同志社大は宮本新監督の下、どこからでもボールを持ってアタックするラグビーを志向している。「常にアタックマインドを持ち動き続けるという意味と、同志社ラグビーのミッションに、見てくれる人に夢と感動を与えるチームになるというのがあり、『感動を与える』という意味も込めました」(梁本)

どこからでもボールを持ってアタックするラグビーをめざしている

同志社の伝統「自由なラグビー」を学生主体で体現

伝統的に同志社大は「型にはまらない、自由なラグビー」を標榜(ひょうぼう)している。梁本主将も「やっぱり自由なラグビーを体現しないといけない。そう思ったら昨年の秋はあまりできていなかった。今季は学生が主体となり、体現していきたい」と話した。

梁本は小学校までは野球、サッカー、水泳などさまざまなスポーツをしていたという。ただラグビーが盛んな大阪・東生野中学校からは「ラグビーをすると決めていた」。父が大阪工大高校(現・常翔学園)で途中までラグビーをしていた影響が少なからずあった。尊敬する選手は「仕事人という感じで好きだ」という九州電力キューデンヴォルテクスでプレーする高校、大学の先輩FL山田有樹だ。また日本代表候補のプロップ(PR)海士広大(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)も小中高大と同じ経歴だという。

中学進学の時点で、ラグビーをすることは決めていた

大阪の名門・常翔学園で、1年時から3年連続「花園」こと全国高校ラグビー大会に出場し、高校3年時はキャプテンを務めた。同期には明治大学で主将を務めているウィング(WTB)石田吉平、帝京大学のLO山川一瑳らがいた。ただ全国高校ラグビー大会では流通経済大柏(千葉)に準々決勝で14-19と苦杯をなめて、ベスト8止まりだった。

関西のチームで関東勢を倒したい

大学進学時は関東の強豪大からも誘いがあったが、「関西のチームで関東勢を倒したい!」と同志社大へ進学した。また幼少期に両親が離婚しており、姉2人とともに母子家庭で育ち、大学までは家族のいる関西で親孝行したかったという理由もあった。同志社大では、1年の終わりにはジュニアジャパンに選出され、その後は少しメンタル的にラグビーに集中できない時期もあったという。ただ先輩たちの温かいサポートもあり、2年からはAチームで活躍。昨季は全試合に出場し、存在感を見せた。

今季の同志社大は目標に「関西制覇」を掲げた。「関西で優勝しないとやっぱり日本一になれないと思う。だから今季はまず、関西を絶対取りにいくという気持ちが強い」と梁本。主将として活躍を期待している選手を聞くと、「1年生だと京都成章から来たスタンドオフ(SO)大島泰真、大阪桐蔭出身のナンバー8林慶音がいいですし、昨季から試合に出ている報徳学園出身のナンバー8久保太陽(2年)も調子がいいですね」と話した。

「関西のチームで関東勢を倒したい」という思いが強い

座右の銘は中学時代の恩師に言われた「逆境で笑える強い人間になれ」だ。「僕は(石田)吉平のような派手なプレーは絶対できない。地味なプレーしかできないですが、そこに激しさを忘れずにやっていきたい」とまっすぐ前を向いた。関西王者を目指し、梁本は先頭に立ち、体を張ってチームを鼓舞し続ける。

in Additionあわせて読みたい