桜花ダブル主将、黒川の涙「田中いなかったら乗り越えられなかった」
(26日、全国高校バスケットボール選手権 ウインターカップ女子準々決勝 桜花学園●60―61○岐阜女子)
桜花学園は、岐阜女子の怒濤(どとう)の追い上げに冷静さを失っていた。
第4クオーター、残り約8分。リードは21点あった。大勢は決したかに思われたが、そこから相手の猛攻を受ける。
岐阜女子の絈野夏海に次々と3点シュートを決められ、ボールを失うミスもあった。
最大得点差になってからのスコアは7―29。
残り10秒で試合をひっくり返された。
桜花学園に2人いる主将の一人、黒川心音(ここね)は、衝撃的な敗戦に泣き崩れた。長門明日香コーチに体を支えられて立つのがやっと。
黒川は涙ながらに悔やんだ。
「最後は気持ちが足りなかった。心のどこかで『誰かがやってくれるだろう』という気持ちの緩み、甘えが1点差に出てしまった」
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■桜花学園 黒川心音
「最後はやっぱり気持ちが足りなかった。自分がキャプテンとして最後まで全うできればよかったんですけど、心のどこかで『誰かがやってくれるだろう』とか、ちょっとした気持ちの緩みとか、気持ちの甘えが最後の1点差に出てしまったんじゃないかなって思います。最後、相手の勢いに、またのまれてしまったのは、変われなかった部分かなって」
「本当に、田中(こころ)がいなかったら、この1年間乗り越えられていないと思うし、ダブルキャプテンとしてやってきたことは本当に良かったと思う。だからこそ、ここまで来られたっていうのは確か。それは田中には感謝しています」
「ディフェンスの強化とか、オフェンスでターンオーバーをしないっていうのは意識してたんですけど、その課題っていうのはチームの課題っていうよりかは、自分自身の課題だと思っていた。そこで、やっぱり自分の弱さが出てしまったから、最後はああいう状況になった。もっと前半から、自分が積極的にチームに声をかけてやっておけばよかった」
「3年間やってきた同期っていうのは、本当に苦しい時を支えてくれましたし、この1年間は特に、1年前の負けから始まって、ほぼどん底からスタートしたんですけど、今年の3年生は苦しくても全員が一つになって、7人が一つになってできたことは、本当に良かったんじゃないかなって思います」
■桜花学園 田中こころ
「本当に(黒川心音との主将)2人体制になって役割分担もできて、そこはすごい黒川に助けられた部分も大きかったので、すごい良かったなって思います。試合になったら、そこまで役割分担は決めていないんですけど、やっぱり2人ともキャプテンとして、プレーでも声でも、引っ張るっていうのはこの試合までやれてきたかなと思います。メンバーに入っていない3年生もいる中で、自分たちが代表として出させてもらっているのに、最後こうやって負けてしまったっていうのは、自分たちの弱いところかなと思う」
「この3年間、本当に1年1年すごい成長できた部分もあるし、課題が残ってしまった部分もあるので。でも、桜花学園でしか味わえない景色だったりとか、そういう部分はやっぱり井上(真一)先生にスカウトされないと見えなかったことなので、ほんとに先生に感謝したいと思います。負けが続いていたのもあるし、(桜花学園は過去に)何回も優勝しているっていうだけあって、すごいプレッシャーもあったんですけど、それを自分なりに楽しさに変えてやろうと思ってたんですけど、最後、自分の弱いところが出てしまって、負けてしまった。そこは自分のダメなところだなと思います」
「スタート5人のメンタルがやっぱり最後は足りなかったのもあるし、キャプテンとしての意地が本当に足りなかったなって思います。プレッシャーを楽しさに変えるっていうのが、ほんとに一番だと思っているので。でもそのためには、たくさん練習して、努力してしないと楽しさに変えられないと思っているので。後輩たちには、もっともっと努力して、桜花学園を取り戻してほしいですね。去年から試合に出させてもらっているし、負けが続いてたので、ほんとにプレッシャーは大きくて、でも絶対泣かないって決めてたんですけど、ほんとにもう、切れましたね、途中で。後輩たちもすごい頑張ってくれたので、私たちはもう終わりですけど、後輩たちにも、来年またインターハイもしっかり頑張って、優勝してほしいなと思います」
=朝日新聞デジタル2023年12月26日掲載