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特集:ウインターカップ2023

再び「福岡対決」制した福岡第一 要所、要所の好プレーで盤石の勝利

優勝し記念写真に納まる福岡第一の選手たち(撮影・柴田悠貴)

 バスケットボールの第76回全国高校選手権(ソフトバンク ウインターカップ2023、朝日新聞社など特別協力)は29日、東京体育館で男子決勝があり、福岡第一が63―53で福岡大大濠を下し、4年ぶり5度目の優勝を果たした。福岡大大濠の2年ぶりの制覇はならなかった。決勝で両チームが顔を合わせるのは、2019年以来で、大会史上2度目。福岡第一が再び「福岡対決」を制し、頂点に立った。

福岡第一が4年ぶり5度目の優勝 大会史上2度目の「福岡対決」制す

■福岡第一が見せた 節目、節目の好プレー

 長年にわたってしのぎを削ってきた同県のライバル対決は、一方的な展開になった。要因は節目、節目で福岡第一が見せた好プレーにある。

 まずは序盤。開始から4分以上、福岡大大濠に得点を許さず、エース崎浜秀斗の得点とアシストで9点を連取した。

 第2クオーター(Q)残り5分、15点を追いかける相手が取ったタイムアウト直後もポイントになった。戦い方を修正したい福岡大大濠に対し、すぐに世戸のスチールから森田が加点。第3Q最初のプレーでも、森田がスチールから自ら走り切って速攻を決めた。

 この日の福岡第一は、相手が反撃に出たいタイミングをことごとく潰す、盤石の勝ちっぷりだった。

 だが、井手口監督は優勝するほどの自信はなかったと打ち明けた。「正直いつ負けるかと思いながらの大会だった」。理由は主力のけが。今年は4人に手術を必要とする負傷があり、全員がそろったのは12月になってからだった。

 それでも敵将の片峯監督は、福岡第一の確かな地力を感じていた。「目には見えないが、崎浜選手の推進力や山口選手、森田選手ら3年生の『自分たちの役割を徹底するんだ』という圧に、我々のメンバーたちが受け身になってしまった」

 「2週間で作りあげた」(井手口監督)チームは、名将の予想を超える成長を遂げ、勢いに乗って高校日本一までたどり着いた。

■福岡大大濠 試合の最後、コートに3年生が5人

 福岡大大濠には昨年度まで絶対的存在がいた。今年の19歳以下ワールドカップで、日本代表を初の8強に導いた川島悠翔(18)。残っていれば3年生だったが、2年生で中退し、今は米NBAの選手をめざして豪州のNBAグローバルアカデミーに在籍している。

 試合終了間際、片峯監督は川島の同級生5人をコートに送り出した。先発は広瀬だけ。「敬意を込め、3年生で戦ってもらった」。ルーズボールやリバウンドに食らいつくなど最後まで必死にプレーした。

 3年生約20人は川島の離脱後も下級生中心のチームで「土台として声を出し、練習で引っ張ろうとしてきた」と主将の三輪。新チームを「来年はすごく強いと思う」と言い切り、「自分たちの色があると思うので、楽しくまとまってほしい」とエールを送った。

 ▽男子ベスト5 世戸陸翔、崎浜秀斗、山口瑛司(以上福岡第一)、渡辺伶音、広瀬孝一(以上福岡大大濠)

=朝日新聞デジタル2023年12月29日掲載

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