ラグビー

ラグビー全国大学選手権 3連覇の帝京大か、創部100周年の明大か

天理大戦で突進する帝京大のプロップ上杉太郎(撮影・野村周平)

 ラグビーの第60回全国大学選手権大会決勝は13日、東京・国立競技場で開催される。3連覇で12度目の優勝を狙う帝京大(関東大学対抗戦1位)と、5季ぶり14度目の栄冠をめざす明大(同2位)が対戦する。キックオフは午後3時10分。

明治大学PR為房慶次朗 「ハイブリッド重戦車」を体現し創部100周年の日本一を

■帝京大 大阪桐蔭高出身の主将・副将、二人の固い絆と覚悟

 3連覇を目指す帝京大は先発FW8人の平均体重が108キロ。「重戦車」の代名詞を持つ明大を5・5キロ上回る。

 昨年11月の関東対抗戦では重さを一つにまとめたスクラムやモールで明大を圧倒し、43―11で完勝した。身長185センチ以上のジャンパーも3人いて、ラインアウトで強みを発揮する。学生相手にFW戦で崩れるイメージは想像しづらい。

 先発FW8人中6人が4年生。中でも主将のフッカー江良と副将のフランカー奥井は1年時から試合に出ている。

 2人は大阪桐蔭高出身。「互いを意識して高め合ってきた」と奥井は言う。高校時代は奥井が主将。大学の新チーム発足時にはともに主将を目指したが、4年生による投票も同数だったという。2人で話し合って「颯(江良)の覚悟を聞いて、僕が一歩下がってサポートすることにした」と奥井は振り返る。

 江良の覚悟とは「絶対にケガをせずグラウンドに立ち続ける」。3年生まではケガで練習を休むこともあった江良が、今季は先頭でチームを引っ張り続けた。「颯をしっかり胴上げしたい」と奥井。固い絆で決勝に臨む。

■現代ラグビーに適応 新・重戦車は躍動するか

 明大は今季、創部100周年の節目を迎えた。掲げるのは「原点回帰」。あくまでも、伝統の強力FW陣で王者・帝京大を打ち砕く構えだ。

 就任3季目、OBで現役時代は3度優勝を経験したFW出身の神鳥監督は言う。「僕は(明大の大型FWを形容する)『重戦車』という言葉が大好き。この言葉を、うまく継承していきたい」

 ただ、追い求めたのは、かつての黄金期を思わせる頑強さだけが売りのFW像ではない。現代ラグビーに適応した「強くて速い」アスリートタイプだ。

 備えた大砲の威力はそのままに、クローラーではなくタイヤを付けて機敏に動く。そんな「重戦車」たちを鍛え上げてきた。

 確かな成長を示したのが昨年12月、関東対抗戦の早明戦。後半21分で41―3と大量リード(最終スコア58―38)。神鳥監督は「早大にやられた記憶はあっても、ここまで点差を広げた記憶は僕の中にはない」。

 あとは、その勢いをどこまで持続させられるか。副将でロックの山本はFWの戦いに自信をのぞかせる。「帝京と戦うのは楽しみ。僕を中心に、FWが前に出続けたい」

=朝日新聞デジタル2024年01月12日掲載

in Additionあわせて読みたい