「楽しんでナンボ」女子サッカーで初優勝 山梨学院大の村上裕子監督
山梨学院大学サッカー部女子監督の村上裕子さん(39)は今年1月、第32回全日本大学女子サッカー選手権(インカレ)の決勝で早大を延長の末に破り、監督就任2年目で、創部10年目の初優勝を果たした。
1―2のビハインドでの折り返しだったが、「これぞ決勝戦と思ったが、負ける気はしなかった」。周囲の優勝への期待に重圧を抱えていて、優勝決定の瞬間に感じたのは「達成感と安心感だった」という。
優勝に涙する選手たち。だが、試合に出られなかった選手らの涙には悔しさも混じっていることを目の当たりにして、「この思いが来季以降につながる」と、さらなる手応えを感じた。
サッカーとの出会いは出身の仙台市で小学1年生の時。三つ上の兄と一緒にプレーしていた女子選手に誘われ、スポーツ少年団に入った。プレーを続け、東京女子体育大学3年でインカレ準優勝、4年では主将を務めるなど、トップクラスのプレーヤーになった。
だが、「プレーヤーとしては『やり切った感』があったのと、日本代表を目指せるかというと自分はそのレベルではない。自分を育ててくれたサッカー界で経験を役立てよう」と、大卒後は指導者の道へ進んだ。
以前コーチを務めていた山学大に、前任者から後を託される形で監督に就任。勝利を目指すのは大前提だが、選手を型にはめるのではなく、会話しながら特長を生かして選手を輝かせたい。「ずっと先のことでなく、目の前の課題に全力を尽くすタイプ」で、今は山学大をインカレ優勝を重ねる真の強豪チームに育てることが目標だ。
「選手も指導者も楽しんでナンボ」。チーム増などで女子サッカー界は指導者不足。自分を通して「楽しむ指導者像」を感じてもらい、愛する選手たちの将来の選択肢に「指導者」も加わってくれれば、と願う。
(三宅範和)=朝日新聞デジタル2024年02月19日掲載