フィギュアスケート

特集:駆け抜けた4years.2023

「明治法政 on ICE 2024」引退選手が感謝の演技、競技続行の選手も

「明治法政 on ICE 2024」で演技した卒業生たち(すべて撮影・浅野有美)

明治大学と法政大学の学生が主催するアイスショー「明治法政 on ICE 2024」(MHOI)が2月23日、ダイドードリンコアイスアリーナ(東京都西東京市)で開かれた。明大4年の堀義正主将(新渡戸文化)や法大4年の平金桐主将(藤村女子)らが感謝を込めて滑った。明大4年の本田真凜(JAL、青森山田)は動画でコメントを寄せた。関西大学4年の木科雄登(金光学園)と同3年の白岩優奈(京都両洋)はゲストで登場し、いずれも競技続行を宣言した。

堀義正、忘れがたい羽生結弦さんとの思い出

明大4年の堀主将は東京を代表する選手で、大学卒業と同時に引退する。

18年間の競技人生で忘れがたい思い出は、オリンピック2大会連続金メダリスト、羽生結弦さんとの会話だ。堀にとって「羽生選手は神様」。大学2年で全日本選手権に出場した際、会場の更衣室で座っていた堀の目の前に羽生さんが現れた。堀からあいさつしようとしたが、あまりのオーラに体が硬直。すると羽生さんが「お疲れ」と声をかけてくれたという。さいたまスーパーアリーナの大会場で演技した経験よりも、それが一番印象に残った。

部の仲間にも恵まれた。先輩には2022年北京オリンピック団体銀メダルの樋口新葉(ノエビア)、後輩には2024年四大陸選手権銀メダルの佐藤駿(2年、エームサービス/明治大学、埼玉栄)、同期にはテレビで活躍する本田真凜らタレントぞろい。「一人ひとりの個性が強い上、スケートもうまいので刺激し合いながら生活できました。素敵な仲間に出会えて悔いのないスケート人生でした」と、満面の笑みだった。

明大の堀義正は羽生結弦さんとの思い出を語った

平金桐、白岩優奈、木科雄登は競技続行

法大4年の平金主将は、「Zero tolerance」の曲に乗せ、持ち前の表現力で魅了した。

7歳からスケートを始め、スポーツ推薦で大学に入ったが、2~3年の2シーズンをけがで棒に振った。最終学年となった今シーズン、目標だった全日本選手権に向けて調整してきたが、東日本選手権8位で涙をのんだ。

「やっぱり全日本に出たい」。決意は固く、後期休学して来シーズンも続行する決断をした。「1年だけ、1年だけ、あと1年だけ続けさせていただきます」と力強く宣言。「けがしやすいことを自覚し、量より質を高める練習をしていきたい」と前を見つめた。

全日本選手権出場に強い思いを持つ法大の平金桐

関大の白岩は1年間休学したため、現在大学3年生。「次のシーズンがラストシーズンになります。最後まで悔いなく終われるように、何事にも挑戦して、前向きにさまざまなことに挑んでいきたいと思います」と話した。

同期の木科は関大大学院に進学し、あと2年間競技を続ける。2月に高橋大輔さんプロデュースのアイスショー「滑走屋」に出演し、たくさんの拍手を浴びた。「自分のスケートを追求して、やり切って現役生活を終えたいと思っています」と語った。

心を込めて演技する関大の白岩優奈
関大の木科雄登は競技続行を宣言した

大学院の岡部季枝は弁護士を目指す

明大法科大学院2年の岡部季枝(新渡戸文化)は弁護士を目指し、明大を3年で早期卒業して大学院に進学した。今シーズンが競技と学業との両立で一番つらかったという。1日12時間は勉強し、スケートの練習はリフレッシュになっていたという。

好きなフィギュアスケーターは羽生結弦さんで、「見ているだけで幸せな気分になります。勉強の合間にパワーをもらっています」。今年7月にある司法試験に向けて競技は一時中断する。東日本選手権や国民スポーツ大会出場の目標もあるため、試験後に練習を再開する予定だ。

弁護士を目指す明大大学院の岡部季枝

佐藤由基と依田茉里紗はアイスショーの世界へ

日本大学4年の佐藤由基(八千代松陰)は中学時代は陸上選手だった。スケートに専念したのは高校時代から。全国レベルで活躍した小平渓介さんや國方勇樹さんらに憧れて日大に進学した。ラストシーズンのインカレや国民スポーツ大会は、「後輩や仲間たちがリンクサイドで応援してくれて、これまで頑張ってきてよかったと思いました。忘れることのない光景です」と振り返った。

MHOIでは、今シーズンのショートプログラム(SP)で、小平さんが選手時代に使用した曲「白夜行」を情感たっぷりに演じた。今後はコーチのアシスタントをしながら、アイスショー「プリンスアイスワールド」のチームに入る。同期の依田茉里紗(城西大城西)も卒業後、「アイスショーの道に進むことになりました」と発表した。この日は、コロナ禍で披露できなかったフリー「ラ・ラ・ランド」の短縮版を披露した。

日大の佐藤由基は「白夜行」を披露した
日大の依田茉里紗は「ラ・ラ・ランド」を楽しそうに踊った

明大4年の松井努夢(関西)はアイスダンスで全日本を経験した。昨年12月の都民体育大会で引退予定だったが、後輩の佐藤が体調不良で今年1月にあったインカレを欠場し、急きょ出番が回ってきた。「最後にインカレという舞台に出ることができてよかったです」と笑顔がはじけた。

法大4年の嶋崎瑚々渚(法政二)は、高校時代は競技から離れていたが大学で再開。「先輩にも同期にも、後輩にも恵まれて、とっても幸せな4年間を過ごすことができました」と感謝の言葉で締めくくった。

アイスダンスで全日本選手権に出場した明大の松井努夢
大学でスケートを再開した法大の嶋崎瑚々渚
【写真】明法オンアイスで法大・平金桐らが演技、明大・本田真凜「これからも破天荒」
【動画はこちら】明治法政オンアイス2024 卒業生らが演技、佐藤駿は新プロ披露

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