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特集:パリオリンピック・パラリンピック

「最高にうれしい」と涙 17歳の成田実生、パリ五輪代表に内定

女子400m個人メドレー決勝で派遣標準記録を突破した成田実生(右)と谷川亜華葉(撮影・田辺拓也)

 競泳のパリ五輪代表選考会は19日、東京アクアティクスセンターで第3日があり、女子400メートル個人メドレーで派遣標準記録(4分38秒53)を上回った1位の成田実生(みお)(金町SC)が初、2位の谷川亜華葉(あげは)(イトマン近大)が2大会連続の五輪代表入りを確実にした。女子100メートル平泳ぎは1位の鈴木聡美(ミキハウス)と2位の青木玲緒樹(れおな)(ミズノ)がともに派遣標準記録(1分6秒47)を突破して代表に内定した。鈴木は2大会ぶり3度目、青木は2大会連続の五輪になる。

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 男子200メートル自由形を制した松元克央(かつひろ)(ミツウロコ)も、派遣標準記録(1分45秒84)を上回って2大会連続の五輪行き。女子200メートル自由形、男子100メートル背泳ぎは派遣標準記録を上回った選手がおらず、五輪内定者は出なかった。

■「すいすい勝手に進んだ」 成田、自己ベストの泳ぎ

 理想の展開が、女子400メートル個人メドレーの成田実生(金町SC)にはある。「前半は楽に速く、後半に競り勝つ」。初の五輪出場をかけたレースは、序盤から谷川亜華葉、大橋悠依との激戦となった。

 競り合いでも、17歳の泳ぎには、どこか余裕が漂う。2種目目の背泳ぎは「すいすい勝手に進むよう」。次の平泳ぎで先頭に立つと、最後の自由形は追いすがる谷川をタッチの差でかわした。タイムも2年ぶりに自己ベストを更新する4分35秒40。「最高にうれしい。最後まで諦めずに頑張ってよかった」と涙を浮かべた。

 水の抵抗を受けにくい泳ぎが得意で、4泳法はいずれも穴がない。昨年の福岡での世界選手権は、400メートルで8位と健闘した。ただ、課題も感じていた。特に、勝負をかける後半を前に「バテる」レースが続き、スタミナ不足が浮き彫りとなった。

 殻を破ろうと、昨秋以降は息切れするのを覚悟でバタフライ、背泳ぎの前半2種目はベストラップを狙うなどの試行錯誤を重ねた。「自分の弱いところに、きちんと向き合う」。苦手だったウェートトレーニングにも取り組み、パリへの道が開けた。

 前日に内定を決めた松下知之、平井瑞希の高校生スイマー2人に「勇気と刺激をもらった」。世界のトップも同年代で、昨年の世界選手権の同種目で金メダルのサマー・マッキントッシュ(カナダ)、銀メダルのケイティー・グリムズ(米国)は同じ06年生まれだ。「早く追いついて、一緒に戦えるように頑張りたい」

■鈴木聡美、自己ベストで2大会ぶり五輪へ

 女子100メートル平泳ぎ決勝で33歳の鈴木聡美(ミキハウス)が会心の泳ぎで五輪をつかんだ。「私にはライバルが必要、彼女のおかげ」と青木とのデッドヒートを制し、昨年出した自己記録を0秒29縮める1分5秒91でゴールした。東京五輪出場を逃し引退もよぎったベテランは、「たぶん親が一番びっくりしている。あんたまだやるの、とまた言われそう」。再び成長曲線を描き、大舞台へ向かう。

■4位の大橋悠依 「200メートルは死ぬ気で」

 大橋悠依 東京五輪金の女子400メートル個人メドレーで4位。この種目での代表を逃す。「200メートルの代表を死ぬ気でつかみとりたい。(若手2人が代表入りし)400メートルはこれで気持ちよく終われる。託して、自分の日本記録(4分30秒82)をめざしてほしい」

=朝日新聞デジタル2024年03月19日掲載

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