全日本大学駅伝の北海道地区選考会に「単科大学連合」が出場 北海道だからこその挑戦
「単科大学連合」。8月17日に札幌市南区の真駒内公園周回コースで開催された全日本大学駅伝の北海道地区選考会に、聞き慣れぬチームが参加した。道内にある五つの国公立単科大学のランナー8人が急造チームを結成してオープン出場し、見事に襷(たすき)をつないだ。「北海道だからこそできた挑戦」と胸を張った。
全員が初めて顔を合わせたのは、当日の朝
呼びかけたのは旭川医科大学の平井玲央(5年、札幌南)。昨年の北海道地区選考会には、山岳部やスキー部から助っ人を得て、旭川医大の単独チームで出場した。しかし、1人が新型コロナウイルスに感染したことが発覚し、8区を棄権することを前提に7人で出場。3区で早くも繰り上げスタートとなった。
「出てくれた彼らには本当に感謝しています。でも、襷をつないで走ってみたいという思いが、ますます強くなった」と平井は振り返る。
今年は5月ごろから、SNSなどを駆使して他大学の中長距離選手に声をかけ始めた。札幌医科大学から4人、小樽商科大学、室蘭工業大学、北見工業大学から1人ずつ、計7人を確保した。
グループLINEで連絡を取り合い、8人全員が初めて顔を合わせたのは北海道地区選考会当日の朝だ。
出場を即決した「スーパースター」の存在
2区を走った札幌医大の大熊健斗(3年、旭川東)が出場を決めたのは、昨年まで北海道大学の陸上部にいた高橋佑輔(現・アス・ラボ)の存在がある。高橋は昨年の日本選手権1500mで2位。アジア選手権では3分42秒04で銀メダルを獲得した、北の陸上界のスーパースターだ。
「高橋さんも北大のユニホームを着て選考会に出場していた。あの高橋さんがですよ」。同じ1500mが専門なだけに、出場に迷いはなかった。
そして、8人が口をそろえるのは「北海道でなければ、この挑戦はなかった」という思いだ。
関東や関西など他の地区で開催される選考会は、選手を一斉にスタートさせ、各校上位8人の合計タイムで出場枠を争う形式が多い。しかし、北海道地区選考会は「北海道大学駅伝対校選手権大会」でもあり、本番の駅伝さながら襷を使い、1周2.9kmの周回コースを使って8区間を走る。会場の真駒内公園は2021年の東京オリンピックでマラソンと競歩の練習にも使われた、緑豊かな林間コースだ。
大会側も彼らの参加を歓迎した。「学生たちに襷をつなぐ駅伝のだいご味を味わってほしい。この競技方式を続けるのは、北海道の伝統。そして我々の誇りでもあります」。北海道学生陸上競技連盟ヘッドコーチを務める大宮真一・北翔大学准教授は熱く語ってくれた。
「一生の思い出になってくれたら」
単科大連合は、7年連続の伊勢路を決めた札幌学院大学から遅れること約34分。最終8区を任された小樽商大の市町耀大(3年、北海道栄)がフィニッシュした。8人の襷は確かにつながった。
チームを率いた平井は5区(12.4km)を走った後、芝生に倒れ込んでしばらく動けなかった。「やってよかった。みんなの一生の思い出になってくれたら、僕はうれしいです」
そばにいた仲間がすぐに返した。
「絶対になるよ」。北の単科大ランナーたちの青春がそこにはあった。