陸上・駅伝

特集:第101回箱根駅伝

箱根駅伝予選会プレビュー 2週間後に全日本控えるチームも、試されるマネジメント力

昨年は第100回の節目で全国から参加が可能だった箱根駅伝予選会(撮影・吉田耕一郎)

2025年1月2、3日に予定される第101回箱根駅伝への出場権をかけた予選会が19日、東京都立川市で開催される。陸上自衛隊立川駐屯地を出発し、市街地を走って国営昭和記念公園がフィニッシュ地点となるハーフマラソン。今回は計43チームが参加し、中央大学や東海大学などの実力校も出場。どのチームが本戦への切符を獲得するか、注目される。

中央大学は、10000m28分台が9選手

43チームのうち、昨年11月の全日本大学駅伝でシード権を獲得したのは中央大学(4位)と東京国際大学(8位)の2校。中大は年始の箱根駅伝直前に体調不良者が相次いだ影響もあり、総合13位。3年ぶりに予選会へ回ることになった。

とは言え出場チームの中で、持ちタイムをもとにした実力は、中大が頭一つ出ている。エントリーされた14選手のうち、10000mで28分台の資格記録を持つのは9選手。吉居駿恭(3年、仙台育英)や溜池一太(3年、洛南)、柴田大地(2年、洛南)といった主力がエントリーされていないにもかかわらず、2番手の東海大学が6選手であることを考慮すると、予選会は上位で通過することが予想される。ほぼ同じコースで開催された3月の学生ハーフマラソンで4位に入った白川陽大(3年、大塚)や駅伝経験が豊富な阿部陽樹(4年、西京)、主将の佐野拓実(4年、洛南)ら、予選会に照準を合わせて練習を積んだ選手が中心となる。

今年3月の学生ハーフマラソンで4位に入った中大の白川陽大(26番、撮影・藤井みさ)

東京国際大は昨年、13位まで出場権が与えられた予選会で14位。わずか3秒差に泣いた。タイムを稼ぐことが求められるのは、ケニアからの留学生だ。中でも5000m(13分00秒17)や10000m(27分06秒88)、ハーフマラソン(59分32秒)で日本学生記録を持つリチャード・エティーリ(2年、シル)は、昨年の予選会で転倒してしまっただけに、雪辱に燃えているだろう。木村海斗(4年、狭山経済)や佐藤榛紀(4年、四日市工業)も10000mで28分台前半のタイムを持ち、力がある。

順天堂大学は強くなった姿を見せられるか

年始の第100回箱根駅伝で11位だった東海大は、今年6月の全日本大学駅伝関東地区選考会でトップ通過に貢献した花岡寿哉(3年、上田西)や五十嵐喬信(4年、水戸工業)、主将の梶谷優斗(4年、滋賀学園)らがエントリー。昨年の予選会ではエースの石原翔太郎(現・SGホールディングス)を欠く中、オーバーペースを防ぐための明確な戦略が光った。今回はスピードランナーの兵藤ジュダ(3年、東海大静岡翔洋)がエントリーされておらず、両角速監督は、どんな戦略を描いてくるか。

東海大エースの一角・花岡寿哉(撮影・藤井みさ)

この3校のほか、箱根予選会の約2週間後に全日本大学駅伝を控えているのは、立教大学、日本体育大学、神奈川大学。伊勢路に向けて、いかにダメージを残さず、予選会を通過するか。チームのマネジメント力も試される。

全日本大学駅伝の関東地区選考会で17位に沈み、今シーズンの3大駅伝で残されたチャンスが箱根だけとなっている名門・順天堂大学の走りにも注目だ。中心選手・吉岡大翔(2年、佐久長聖)のほか、全日本の選考会では出番がなかった主将の服部壮馬(4年、洛南)やエース格の浅井皓貴(4年、豊川)、注目ルーキーの永原颯磨(1年、佐久長聖)らがエントリー。強くなって戻ってきた順大の姿を見せたい。

日本人トップ争いで中心となるのは、中央学院大学の吉田礼志(4年、拓大紅陵)だ。昨年の予選会で日本人トップに輝き、今年5月の日本選手権10000mでは27分21秒52の好タイムをたたき出した東京農業大学の前田和摩が今年はエントリーされず、日本人唯一の27分台ランナーが吉田となっている。今回も果敢に留学生ランナーについていく積極的な走りが見られるだろう。

出場選手の中で日本人唯一の10000m27分台ランナー・吉田礼志(撮影・吉田耕一郎)

トラックシーズンで実績を残したランナーもずらり

上記の大学以外にも5000mと10000mで大学記録を更新した筑波大学の金子佑太朗(4年、横浜翠嵐)、10000m28分11秒20の好タイムを持つ亜細亜大学の片川祐大(4年、報徳学園)、5月の関東インカレ男子1部ハーフマラソンで8位入賞を果たした慶應義塾大学の田島公太郎(4年、九州学院)、9月の日本インカレ男子10000mで日本人3位の湘南工科大学・松田朋樹(4年、白鷗大足利)といった、トラックシーズンで実績を残したランナーもそろう。

各チーム最大12人が出走し、各校上位10人の合計タイムで10校が箱根本戦へ。あわせて関東学生連合チームが編成される予選会。熱いレースは午前9時35分にスタートが切られる。

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