「つながる力」が作り出す未来 OBCと立教大学駅伝チーム、成長の共通点
11月3日に第56回全日本大学駅伝(朝日新聞社など主催)が開かれます。大会に初協賛するのが、「勘定奉行クラウド」などの基幹業務クラウドシステムの開発・販売で知られる「オービックビジネスコンサルタント」(以下、OBC)です。そして大会の注目校の一つが、大学創立150周年の節目に初出場を決めた立教大学です。立教大学校友会長も務めるOBCの和田成史社長と、駅伝強化事業を進めてきた立教大学の西原廉太総長が駅伝とOBCとの共通点について語り合いました。
協賛を通して、駅伝の魅力を伝えたい
――OBCの設立経緯やサービスについて教えてください。
和田社長 私は立教大学を卒業する前に公認会計士の資格試験に合格し、コンサルタント業に興味を持っていました。同じ時期にパソコンが世の中に出てきたこともあり、会計システムを自分で作る発想から1980年にOBCを設立しました。
OBCは「顧客第一主義」のもと、主に会計・人事・給与といった基幹業務や、それに関わる周辺業務の開発メーカーとして、全国の販売パートナー企業を通して、お客様の業務効率化に貢献するクラウドサービスなどを提供しています。
――11月3日に開催される全日本大学駅伝に初めて協賛します。
和田社長 OBCには駅伝チームがあり、チームが優勝したこともあります。駅伝はチームの結束力や協力が極めて大事なスポーツです。選手は襷(たすき) をつなぐことで、チーム全体の力を結集し、目標に向かって努力します。その過程で励まし合い、支え合いながら成長していきます。
個人の努力とチームの協力が融合した駅伝という競技を通じて得られる経験と絆は、貴重な財産になります。全日本大学駅伝への協賛を通じて、これからの若い世代にチームワークの重要性や駅伝のおもしろさをお伝えできればと考えています。
ユニフォームに「勘定奉行」
――そんな年に母校の立教大学が全日本大学駅伝に初出場します。
和田社長 チームの頑張りを見て応援してきましたので、とてもうれしかったですね! 6月の関東地区選考会はテレビで観戦していたのですが、接戦だったのでひやひやしました。
関東から7校しか出られない激戦の中、学生たちが必死の思いで前向きに取り組んでいるのが伝わってきました。本戦で応援する楽しみが増えました。
西原総長 2018年、立教大学は創立150周年にあたる2024年の正月の駅伝大会出場を目指す事業を立ち上げました。 1968年を最後に、出場が果たせていなかったからです。
カギとなったのは、選手層の強化 、優れた指導者の招聘(しょうへい)、そしてトレーニング施設を備えた駅伝チーム専用の寮の設置です。
校友(立教大学の卒業生)の皆さんは、学生駅伝で「R」のユニフォームを着た選手たちが走ることを夢見ていらっしゃいました。校友会の温かいご支援もあってそれらが実現し、当初は2024年の100回記念の大会出場が目標でしたが、2023年に1年前倒しで達成できました。
OBCと立教大学男子駅伝チームはユニフォームスポンサー契約を締結しました。伊勢路では「勘定奉行」のロゴが入った新しいユニフォームを使用します。
全部員63人がたすきにサイン
――学生駅伝とOBCの共通点はなんでしょうか。
和田社長 まずはチームワークと結束力ですね。OBCには、「チームOBC」という考え方があります。製品を作る人、販売する人、販売支援をする人、お客様をサポートする人、バックヤードで会社と社員を支える人など、役割は違っていても、会社が「One Team」となって力を合わせ、お客様に大きな貢献をしていこうというものです。
この考え方のもと、自らの成長がチームや組織、ひいてはお客様や社会への貢献力を高めるものと考え、主体的に学び、成長する環境づくりを推進しています。
また、OBCの社風として、明確な目標を設定し、それに向けて努力する姿勢を大切にしています。このあたりは駅伝チームと似ているのではないでしょうか。
西原総長 決められた区間を1人で走る駅伝は、個人競技であると同時に、襷をつないでチームとしてゴールを目指すという点で団体競技なのです。決して1人の力でゴールすることはできません。自分にとってのゴールは、次のランナーの戦いの始まりを支えているわけです。
2023年の正月の駅伝に55年ぶりに出場した際、レース後の報告会で見せてもらった襷には、マネージャーを含めた全部員63人のサインがあり、選手だけでなく、その背後にいる全員の思いが込められていたのだと感動しました。
和田社長 先述のように、OBCもNIPPON ITチャリティ駅伝など に参加し、社員同士のつながりを意識しています。社員同士のコミュニケーションを促進し、チームワークを強化する取り組みを行うことで、組織の結束力を高めています。
新たな目標は「シード権獲得と上位進出」
――学生も社会人も目標を設定し、達成に向けて努力することは大切ですね。
西原総長 150周年記念事業としてスタートした立教大学の駅伝事業は、5年計画の4年目で目標を達成し、この事業は終了だという話もありました。ただ、私としては1回出場して終わりということではないかなと。
そこで今年5月にこの事業の「フェーズ2」として新たな目標を宣言させていただきました。それがシード権獲得と上位進出です。新たに迎えた髙林祐介監督が丁寧に選手を指導してくださり、早速、全日本大学駅伝初出場という大きな成果を挙げていただきました。
和田社長 OBCは社員同士のコミュニケーションや意見交換が活発です。お互いを尊重し、意見をぶつけ合うことで、知識を集結させて結果を出すことができます。
さらに、仕事における選択と集中、目標の明確化を行い、それに向けて努力する姿勢も大切にしています。そういう意味では、それぞれの社員を把握・分析し、その人の強みを生かしていくことも極めて大事だと考えています。
つながる過去と今、そして未来
――立教大学の「創立150周年ビジョン」とはどのようなものでしょうか。
西原総長 異なる知識を持った人同士がつながれば、知識の量が一気に増え、新しいモノの見方が生まれます。今までたどり着けなかった答えにたどり着くこともできるでしょう。
そうした思いから、私たちが歴史の中で培ってきた「共に生きる」という考えに基づく人間教育をベースに、あらゆる分野の学びをつなぎ、未来を作るために取り組んでいこうというのが「創立150周年ビジョン」です。これからは「つながる力」が大切だと思っています。
――OBCも歴史と伝統を尊重しながら変革を進めています。
和田社長 創業した1980年から積み上げてきた歴史、乗り越えてきた過去を経て今があると感じています。長い歴史の中でトランスフォーメーションを繰り返し成長してきました。そのプロセスが非常に重要で、変化や成長していく中で継続していくことが伝統や文化につながっていきます。それは会社も学校もスポーツも同じではないでしょうか。何を積み重ね続け、何を実現してきたかというつながりが大切です。
伝統や歴史が文化になり、その会社やチームの強みを作っていく。私たちも学生たちに負けないように、ビジネス環境やIT環境の大きな変化を見据え、市場の声をいただきながら、いかに未来へ貢献できるのかを常に考え、挑戦し、イノベーションを起こし続けてまいります。
――いよいよ全日本大学駅伝が開幕します。
西原総長 伊勢路を立教大学の「R」のユニフォームが初めて走ります。ぜひ多くの方に応援していただきたいと思います。
和田社長 皆さんの努力と情熱が、ついにこの大舞台に結実しています。日々の練習や試合で培った力を存分に発揮し、自分たちのベストを尽くしていただければと思います。OBCは選手皆さんの背中を押し、全力で応援しています。皆さんの走りが、多くの人々に感動と勇気を与えることを信じています。