ラグビー

特集:縦と横のコントラスト 第100回早明戦

明治大学・安田昂平 うちは重戦車だけじゃない 明大BKのトライゲッターここにあり

明治のBKリーダー安田昂平。昨年度は対抗戦の『トライ王』に輝いた(すべて撮影・明大スポーツ新聞部)

12月1日、国立競技場で早明戦は100回目を迎える。その節目の年に明治大学でBKリーダーを務めるのは安田昂平(4年、御所実業)だ。昨年度は対抗戦の『トライ王』に輝くなど、明大のトライゲッターとして異彩を放ってきた。日本一の頂を目指し、日々鍛錬に励みながら過ごした明大での4年間と、早明戦への意気込みを聞いた。

縦と横のコントラスト 第100回早明戦

4年生になり変化 監督から「凜々しくなった」

―昨シーズンまでを振り返るといかがですか?

いい先輩に恵まれたなっていう印象がすごくあります。1年生の頃は同じフルバックに雲山(弘貴、現・花園近鉄ライナーズ)さんがいて、雲山さんがけがをしていた時は、教わりながら自分がAチームとして試合に出させてもらっていました。模範となる選手が近くにいたので、すごく成長できた1年でした。2年生は、まだ下級生の立場の中、主力で出させていただいたのですごくありがたかったんですけど、やっぱり周りの先輩がすごすぎた分、遠慮していた部分も少しありました。でも、3年生からは(ウィングになって)気が楽になりました。みんなから頼ってもらえた分、ボールもいっぱい回ってきてあれだけトライを取れたので、チームメートのおかげかなっていう風に思います。

―4年間で一番印象に残る試合はありますか?

雪の中で行われた去年の(全日本大学選手権)決勝です。初めて自分も決勝の舞台に立って、特に3年生の時の4年生がすごい思い入れが強くて。本当にみんな仲が良かったので、なんとしてでも先輩たちを優勝させてあげたいなっていう気持ちがすごく強かったのと同時に、やっぱり負けて悔しかったっていう気持ちが交差して、一番印象に残った試合かなという風に思います。

―最上級生になって心境の変化は?

4年生なので、去年で自分の自己満プレーは終わりかなという風に考えています。自分よりは、チームに貢献できる最後の年だと思うので、そういう面で心持ちは変わったなと思います。

―周りからの反応は?

同期からは何も言われないですけど、監督には「顔が凜々(りり)しくなった」と言われます。

「4年生なので、自己満(足な)プレーは終わり。チームに貢献できる最後の年と心持ちは変わった」

海老澤・白井…BK軍団の頼もしい後輩たち

―今シーズンの明大の目指すBKの理想像は?

去年を超えるBKになりたいですね。やっぱり明治と言えばFWっていうようなイメージがあるので、BKでもトライを取れるっていうのをBK全体で見せていけたらなと思います。

―春シーズンの収穫や課題は?

帝京大学戦では、同点で勝ちきれませんでした。自分たちが掲げていた全勝で春を終えるというのができなくて、早稲田にも負けてしまったので、そういう勝ちきれなかったっていう部分が明確な課題かなと思います。でも、春はすごくいい形でBKがトライを取るシーンが多かったので、そこは良かったです。

―BKリーダーから見たウィング陣の魅力は?

僕の代わりとしても出てくれているので、海老澤(琥珀、2年、報徳学園)に関してはすごく運動量がある選手なので、どこにでも顔を出してランをしてくれています。白井(瑛人、1年、桐蔭学園)は去年の海老澤の後釜みたいで、1年生なのにあそこまでアグレッシブなプレーができる選手はなかなかいないと思います。2人は明治のBKに欠かせないです。

BKリーダーとして、「去年を超えるBKになりたい」

早明戦は平常心で「特別と思い込まないように」

―安田選手にとって早明戦とは?

小さい時からラグビーをあまり見てこなかったので、思い入れというのはないのですが、いざピッチに立ってみると明治ファンの校歌がすごく響いていました。それぐらい大勢の観客が入って、注目されている試合なんやなという風に思いました。けど、気持ち的には普通の試合とあまり変わらないです。

―2年生で初めての早明戦を経験されましたが振り返るといかがですか?

あまり特別な試合だと思い込まないように、いつも通りの感じで挑みました。特に特別なことはなく、いつも通りの感じで試合が終わりました。

―昨年度の早明戦を振り返るといかがですか?

去年の早明戦は自分も2トライ取れてすごくうれしかったんですけど、キャプテン(廣瀬雄也、現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がけがで出られなくて。キャプテンとすごく仲が良かったので、キャプテンを選手権にいい形で迎えさせてあげたいなっていう気持ちで、みんな臨んでいたんじゃないかなっていう風に思います。自分もその一人として挑んでいました。

―早明戦で挙げたトライの中で印象に残るトライはありますか?

去年の早明戦の二つ目のトライです。右端でトライしたんですけど、トライ取った後に、上向いたらすごい明治のファンの人がバーンってなっていて、それはうれしかったというか、気持ち良かったです。その時に撮ってもらった写真で、 伊藤耕太郎(現・リコーブラックラムズ東京)選手が後ろから抱きついてきているシーンの写真は自分の中でも宝物です。

昨年の早明戦で挙げた二つ目のトライ。先輩の伊藤耕太郎が抱きついているこの写真が「自分の中で宝物」と話す

―今年の早明戦にかける思いを教えてください。

早稲田に対してというよりかは、自分たちが最後の代なのでいい形で終われたら一番かなっていう風には思います。でも、楽しめたらいいかなという感じです。個人は、去年に続いて今年もトライはできるだけ取りたいですし、チームに貢献できるようなプレーをしたいです。

―『奪還』への意気込みをお願いします。

明治が築き上げてきた地位やプライドを取り返すという意味が、スローガンの中に込められていると思います。『奪還』を掲げている以上、しっかり奪還できるようにみんなで一致団結してやっていきたいと思います。

―ありがとうございました!

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