ラグビー

特集:縦と横のコントラスト 第100回早明戦

早稲田大・服部亮太 ロングキックが武器の1年生、早明戦は「コントロールに注目を」

帝京大学戦では、服部のキックの飛距離と正確性で秩父宮がどよめいた(すべて撮影・早稲田スポーツ新聞会)

早稲田大学ラグビー部に新たな風を巻き起こす新進気鋭のルーキーが登場した。SO服部亮太(1年、佐賀工業)。その圧倒的なキックスキルで大学ラグビー界に衝撃を与え、彼の右足から放たれるロングキックは、見る者すべてを魅了している。そして迎える初の早明戦。国立競技場という大舞台で、臆することなくその輝きを放つであろう超新星に、今抱く思いを聞いた。

縦と横のコントラスト 第100回早明戦

「強さ・伝統・展開ラグビーを見て、早稲田に」

―ラグビーを始めたきっかけを教えてください。

兄がラグビーをしていて、その流れで自分も始めました。

―地元の福岡県内ではなく佐賀工業に進学した理由はなんですか?

自分は元々中学校の時にはサイズがなく、このまま行っても東福岡では試合に出られないと思ったので、兄が佐賀工業に行っていたこともあって、練習に参加させてもらったり、その時に優しくしてもらったり、練習の雰囲気や環境にひかれて佐賀工業に行こうかなと思いました。

―早稲田を目指したきっかけを教えてください。

小さい頃から大学ラグビーを見ていて、早稲田大学はかなり強いですし、伝統もあって、元々自分自身も強いチームに行きたいという気持ちもありました。中学時代に当時の齋藤直人主将(現・フランス1部トゥールーズ)のチームが速い展開ラグビーをしていて、自分も速い展開ラグビーをしたいなと思ったので、そこも少し影響はありました。

―高校までの早稲田の印象と、実際に入った早稲田の印象の違いは?

大学でも楽しいラグビーができると思ってはいたんですけど、実際入ると、1つ1つの決まりや、マネージャーさんやトレーナーさんの質の違いに「大学ってこんな感じなんだ」って驚きましたし、大学のラグビーのレベルも想像していたよりも高くて、そこは非常に驚きました。

―佐賀工業と早稲田のラグビーにどんな違いを感じていますか?

佐賀工業のラグビーは結構ローテンポで、どんどんキックでゲームを切っていくとか、なるべくフォワードが走らないといったゲームプランでした。早稲田はどんどん展開しようといった感じのラグビーで、最初に上のチームに入った時は戸惑って、ハイテンポなラグビーに全然ついていけなかったのですが、だんだんハイテンポなラグビーに慣れて、大田尾(竜彦)監督にも「もっとパスはこうした方がいい」っていうのを教えてもらっていて、だんだんパスでも練習していた成果が出てきているかなと思います。

出身高校のテンポと違い、早稲田のハイテンポなラグビーに最初は戸惑ったという

「なぜか高2でキックが飛ぶようになった」

―ご自身の強みはやはりキックスキルですか?

高校に入ってずっとキックの練習はしていて、高校2年生から何でかは分からないですけどキックが飛ぶようになって、そこから強みにしています。高校時代から毎日練習していたことが今の試合に出ているのかなと思います。

―ご自身のフィジカルについてはいかがですか?

フィジカルの面で、高校に比べて全然フィジカルのヒットスピードだったり、当たってからの勝負だったりがすごく激しくて、自分もまだまだ細いのでウェートトレーニングでしっかり体重を増やして、フィジカルに負けないように頑張っていこうと思います。

―赤黒までの道のりを振り返っていかがですか?

けがの時になかなかうまくラグビーができなくてモヤモヤがあったのですが、菅平での復帰戦の大東文化大学戦では良いパフォーマンスができました。次の帝京大学戦では自分が思っていたようなプレーができませんでしたが、練習を重ねていくうちに大学のスピードやフィジカルにも慣れてきて、自分の力が出せるようにはなってきたかなと思います。

―早稲田の10番への思いをお聞かせください。

ゲームを作るのは10番の仕事だと思っています。軽いプレーはできないです。1年生だからといって周りがどうこうしてくれるわけではないと思っているので、そこはしっかり早稲田の10番として展開ラグビーや速いラグビーができるようにとか、FWとBKの連携のところとかが試合でできたらなと思います。

「大学のスピードやフィジカルにも慣れてきて、自分の力が出せるようにはなってきた」

「4年生全員の、今年に懸ける思いを実感した」

―佐藤健次主将(4年、桐蔭学園)の印象はいかがですか?

プレーでも引っ張っていってくれますし、ミーティングだったり、試合や練習の中での話し合いも色々な人とコミュニケーションを取っています。フッカー(佐藤主将)と10番(自分)だとあまり会話はなくて、10番から要望することが多いとは思うのですが、健次さんからも要求をくれて、キャプテンとしての背中っていうところで非常に頼りになります。

―尊敬する先輩はどなたですか?

ハーフの宮尾昌典さん(4年、京都成章)ですかね。自分が(高校日本代表の)イタリアの遠征から帰ってきて、羽田空港からそのまま上井草の寮に向かったのですが、すごく緊張してドキドキしていました。まーさん(宮尾)が優しく、入寮した初日から声をかけてくれて、今も色々な所に連れていってくれたり、優しく話しかけてくれたりするので、一番尊敬している先輩かなって思います。

―対抗戦でも一緒にハーフ団を組んでいる細矢聖樹選手(4年、國學院栃木)についてはいかがですか?

練習の中でチームで話すときに、聖樹くんが色々な人とコミュニケーションを取ってくれていて、10番の自分に対しても「もっとこうして欲しい」や「もっとこうした方がいいんじゃない」と言ってくれます。僕からも提案はするのですが、まだ1年生だから慣れていないところにも「もっとこうしていいよ」という声をかけてくれて、自信をつけてくれるので、とても助かっています。

―主将・副将がいない中での聖樹さんのリーダーシップはいかがですか?

急にキャプテンがいなくなってしまって、聖樹くんだけじゃなくて本当に4年生全員が「4年生が頑張らないといけない」と常に言っていて、そこで僕たち1、2年生にはない、4年生の「懸けている思い」を実感しました。

早稲田大・細矢聖樹 「勝って当たり前」の文化がチームに浸透した 最後まで全て勝つ
佐藤主将やハーフの先輩からは、優しい心遣いをしてもらっているという

「早明戦でも、緊張せずいつも通りの自分を」

―初めての早明戦、国立に対しての意識や緊張はありますか?

そういうのはいったん全部考えないようにして、自分が注目されているからもっとこうしなければいけないってことは全然ないと思うので、伝統ある早明戦だったり、他の試合でももちろん、変わらず緊張せずに、いつも通りの自分が出せたらなと思います。

―早明戦での注目して欲しいプレーを教えてください。

注目してほしいプレーはキックのところで、ただ蹴るだけではなくて、蹴るタイミングや、ボールを落とす位置やキックコントロールのところを見てほしいです。

―同じ1年生スタンドオフの明治の萩井耀司選手(桐蔭学園)についてはいかがですか?

耀司とは合宿でも遠征でも一緒にいて仲も良いですし、よくご飯とかも食べに行ったりして、耀司が10番の時は自分はフルバックをしていたんですけど、その時はやりやすくて、ラグビーでも日常でもコミュニケーションとかワイワイした雰囲気でやっていました。

―明治の意識する選手はいますか?

対面の伊藤(龍之介)選手(2年、國學院栃木)で、ランもうまいですし、キックやパスのところは高校の時から非常にうまいと思っていて、そこはしっかり対策してやられないように頑張ります。

―早明戦、そしてその先の日本一に向けて意気込みをお願いします。

4年生とできるのは最後の年で、1つ1つのゲームで、自分自身やチーム全体がレベルアップしていって、「荒ぶる」をとれるように頑張ります。

「4年生とできるのは最後の年。『荒ぶる』をとれるように頑張ります」

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