陸上・駅伝

城西大学・斎藤将也 八王子LDで自己ベスト更新 箱根駅伝は「2区区間賞」を狙う

城西大学・斎藤将也は自己ベストを15秒近く更新した(レース写真はすべて撮影・中西真雪)

11月23日に上柚木陸上競技場で行われた八王子ロングディスタンス10000mで城西大学の斎藤将也(3年、敦賀気比)が27分45秒12の自己ベストをマークし7組の6着に入った。自身が持つ城西大学日本人記録を15秒近く更新する結果に、ゴール後はガッツポーズ。「練習をそのまま試合に出せた。パフォーマンスをそのまま出せたっていうのがすごく良かったですし、うれしかったです」と手応えを口にした。

「練習はできていたので、出るとは思っていました」

「陸上10000m国内最速レース」をうたう八王子ロングディスタンス。出場選手の多くは実業団選手で、今回、留学生を除き、学生からのエントリーは3人。7組目は斎藤以外、全員が実業団選手という顔ぶれとなった。

「常に1にこだわるっていうところを大事にしています」

レース前、静寂に包まれたトラックに一番に駆け出していったのも、斎藤だった。スタート直後からペーサー用の青いウェーブライトとともに先頭集団の3、4番手あたりに位置取り、ハイペースを刻む。とにかく攻める走りが斎藤の特徴。「速い実業団選手が多い中でのレースなんですけど、そこで引いていてはワンランク上のレースにはいけないので、まずは自分のパフォーマンスを発揮できるように。気持ちで負けないことを意識したので、今回は最初からとにかく前張りでやっていきました」

その言葉通り、ずっと集団の前方でレースを進めながら、8000mを過ぎて荻久保寛也(ひらまつ病院)が一気に抜け出してからも焦らずに第2集団で戦い、最後は6着でフィニッシュ。今回のノルマだったという27分50秒を超える27分45秒12という好タイムに、何度もかみ締めるようにガッツポーズした。

喜びを噛みしめるように何度も小さくガッツポーズをした

「練習はできていたので、出るとは思っていました」

喜びとともに、課題も見つかった。「やっぱり(1着でゴールした)荻久保さんみたいにラスト2000~3000mから余裕を持っていけるような力をつけなければいけない。まだ自分は2分50秒でラスト1周まで押していって、上げるっていうのが限界なところ。もう一段階上のステージに行くためにこういったペースは余裕をもっていきたいです」と話した。荻久保とは4日前まで一緒にポイント練習をしており、練習時から後半の上げ方や余裕度の違いを目の当たりにしていたという。「少しでも追いつけるように頑張りたいです」と身近な存在に目標を見つけたようだ。

箱根2区、65分台の区間新も視野に

昨年11月の日本体育大学長距離競技会で10000m27分台に突入して、学生トップランナーの仲間入りをしてから約1年。今年の出雲駅伝は1区区間11位に落ち込んだものの、全日本大学駅伝では調子を戻して4区区間2位の好走。3年生ながらエースとしてチームを引っ張ってきた。斎藤自身この1年間の成長を感じるという。「ポイントの質を毎年少しずつ上げていって、継続的に練習が出来ているので、そこが自分の強みでもあって成長とも言えるかなと思います」

斎藤はレースの翌日、箱根駅伝に向けて宮崎県で合宿を行っているチームに合流した。八王子でのレース後「箱根はもっと長いので、この結果に満足せず、次はハーフに向けて、また土台作りから。しっかりロードに向けたトレーニングで箱根に向けて仕上げていきたいです」と意気込みを語った。

箱根での希望区間は1年時から走ってきた2区。前々回は1時間8分46秒で区間15位、前回は1時間7分15秒で区間8位。各大学のエースが集う花の2区で、記録も区間順位も着実に伸ばしてきた。10000mで培ったスピードを生かしてラストで勝ち切るレースをするとともに「2区はハイペースで押していってラスト粘るっていうのがコツ。今年の箱根から66分台っていうのが当たり前になっているので、ラストの戸塚の坂でスピードを生かして、区間新の65分台とか、そこらへんに乗っていけるといいかなと思っています」

箱根駅伝2区で着実に記録を伸ばしている(撮影・藤井みさ)

昨年の悔しさを晴らせるか 上位校に食らいつく

今季の始めにチームが掲げた目標は「3大駅伝7位以内」だが、大会前の練習などを見て随時その目標を修正してきた。前回大会は史上最高の3位だった箱根駅伝。目標は、合宿の様子を踏まえて決まるといい、今回も目標を上方修正する可能性がある。そして斎藤は「往路優勝」を見据える。

「今年は往路優勝を目標に、視野に入れてやって青山学院大学さんや駒澤大学さんに大差で負けてしまったのが、とても悔しかったので、来年の箱根も食らいついていけるように。本番は自分たちが4年生になった時に、本当の意味での優勝に向けてやっていきたいので、そこに向けて来年の箱根は戦っていきたいです」

ラスト1周は顔をゆがめた。箱根でも粘りの走りが見れるか

チームも箱根駅伝に向けて自信をつけてきた。11月17日に行われた上尾シティハーフマラソンでは、出場した半数以上が自己ベストを更新。副主将の山中達貴(3年、西脇工業)と初ハーフマラソンだった三宅駿(1年、四国学院大香川西)が1時間2分台で走った。主将の平林樹(4年、拓大一)もチーム状況について「自分たちが向かっている方向性は間違っていないというのは感じていて、自信を持ってやっていると思います」と話す。

斎藤の走りが箱根駅伝の結果に大きく影響するのは間違いない。日本人エースとしてチームを盛り上げ、「花の2区区間賞」を狙う。

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