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法政大が後半に地力見せ関西学院大との準決勝へ 中京大は奮闘、ランでは法政を上回る

法政大WR高津佐は11回134yd獲得で距離を稼いだ(すべて撮影・北川直樹)

アメリカンフットボールの全日本大学選手権の準々決勝、「KURUME BOWL」が福岡県の久留米陸上競技場であり、関東1位の法政大学と東海代表の中京大学が対戦した。試合は前半を終えて9-0の法政大リードと拮抗(きっこう)したが、後半に着実に加点した法政大が30-6で勝った。法政大は、11月30日に江戸川区陸上競技場で関西2位で勝ち上がってきた関西学院大との準決勝に臨む。

中京大、光った守備 前半をTDゼロに抑える

中京大のタフなプレーが試合を盛り上げた。序盤、関東覇者の法政大は、攻撃にほぼフルメンバーを投入していたが、中京大守備が2シリーズ連続で3&アウトに追い込んだ。ブリッツを多用し、法政大QB谷口雄仁(4年、法政二)に襲い掛かるQBサックもあった。中京大は、攻撃も進んだ。主将RB松元奏(4年、愛工大名電)が力強いランで前進し、ダウンを2度更新。法政大相手に0-0で第1Qを終えた。

法政大は第2Qの頭にK高城颯真(3年、法政二)がフィールドゴール(FG)を決めると、徐々に流れをつかみ始める。谷口からWR高津佐隼世(3年、佼成学園)、宮﨑航也(4年、千葉日大一)、藤田豪(2年、法政二)らへのパスで進んでFGを2本追加。しかし中京大守備の素早いタックルでTDは奪えず、9-0で前半が終わった。エースRB廣瀬太洋(4年・駒場学園)がリーグ戦のように走れず、法政大にとってはフラストレーションのたまる内容だった。

法政大RB廣瀬は序盤厳しいマークを受けた。15回66yd1TD

後半に法政が3TD、第4Qに中京大もTD

後半のキックオフ、中京大のリターナーがボールをマフしてこれを法政大が押さえた。ボールオン敵陣11ydという絶好のフィールドポジション。谷口がWR須加泰成(3年、足立学園)にパスを決めて、最初のTDを奪った。スコアは16-0。

ここまで最低限の失点に抑えてきた中京大にとっては痛恨だったが、奮起した松元が走る、走る。自陣24ydから始まったシリーズで連続してボールをキャリー。8回走って5度ダウンを更新し、約7分を使うロングドライブを見せる。最後はゴール前5ydから第4ダウンギャンブルでTDを狙ったが、4yd届かなかった。

中京大主将松元は魂の走りでチームを鼓舞した

第4Qに入ると法政は谷口から高津佐へのミドルパスで陣地を進めてTDを追加。中京大はまたも松元のパワフルランを中心に5度ダウンを更新し、75ydのロングドライブを遂行。最後は松元が3ydを走り切って、待望のTDを決めた。

試合時間は残り3分強。法政はQBを齊藤空大(あお、3年、駒場学園)に変えてランで前進して25ydのTDランを決め、30-6にスコアを伸ばす。

中京大は最後のシリーズで、QB石堂凌我(2年、中京大中京)がWR浦西燿己(あきし、3年、愛工大名電)、村瀬大地(4年、豊田北)、奥田渉稚(しょうい、4年、明誠)にパスを投げ分けてゴール前7ydまで進んだが、法政大DBクラッセン マイケル(3年、足立学園)がパスをインターセプト。時間を流して試合が終わった。

法政大K高城は3本のFGを決めた

中京大はランで大健闘 法政大は打開力に課題

試合前は法政の快勝を予想していたが、スコア以上に中京大の奮闘が光った。攻撃獲得距離は法政大の411yd(パス247yd、ラン164yd)に対して、中京大は339yd(パス140yd、ラン199yd)。大差はなく、ランについてはなんと法政を上回った。松元が25回の力走で144yd1TDを獲得し、全国レベルで通用する走りを見せつけた。攻守ともに約半分が下級生のメンバー構成で、来年以降を期待させるゲーム内容だった。

昨年ヘッドコーチ(HC)に就任した大橋誠さんは、選手に対して目の前のことにフォーカスすることの重要性を説いていた。格上の相手に対し、高い集中力を保てていたことが印象的だった。ほとんどの選手が高校アメフトの未経験者と考えると、驚異的なチーム力を発揮したゲームだった。

中京大HC就任2年目の大橋誠さんは、着実に強いチームを作り上げている

法政大は廣瀬のラン、WR高津佐への捕球後の走りをケアされて、打開力に課題が残った。2人のキーマンが早いつぶしにあい、リーグ戦のように気持ちよくプレーさせてもらえなかった。ベーシックなプレー中心だったこともあるので、30日に行われる準決勝の関西学院大戦では、一味違った展開が見られることを期待したい。

法政主将「ディフェンス面には収穫あり」

法政大・矢澤正治監督の話

序盤苦戦した点については、準備不足の面もあったかもしれないと感じました。中京さんのディフェンスがかなり積極的にこられていて、そこに対するアジャストがあまり良くなかったという反省もあり、慣れるのにすこし時間がかかってしまいました。試合に出たメンバーは1軍で、ちゃんとやった結果です。

関東のリーグ戦だと天然芝で試合をする機会がないので、甲子園を見据えてその経験が積めたのは良かったと思います。オフェンスにもディフェンスにも言えることですが、私たちの弱いところを攻めてきていただいて、「弱いな!」ということを教えていただけたことは収穫かなと思います。

お互い同じ条件ですが、リーグ戦と違ってスカウティングに十分な時間を割けたわけではなかったので、リーグで対戦する場合は、良くも悪くもまた違う展開になったかもしれません。ただ、中京さんのレベルはめちゃくちゃ高いなと試合を通して感じました。

1週間後に関学さんと戦いますが、元々シーズンを甲子園ボウルを含めた10試合でスケジュールプランを立ててやってきました。なので、この1週間でなにか特別なことをするわけではなく、引き続きしっかりやっていきたいと思います。

法政大・矢澤正治監督(中央)

法政大・DL山田晋義(日大鶴ヶ丘)主将の話

素直に中京さんが強かったなと感じた試合でした。でも結果的にディフェンスは要所で良いプレーを止められていたので、その点は良かったかなと思います。

この先の試合で勝って、甲子園ボウルでも勝つには、地力を上げて勝っていかないといけないと思っていて、そこの部分では真っ向勝負しましたし、反省点も出ましたが収穫はあったかなと感じています。

次の試合、周りの人は99.9%関学さんが勝つと思っていると思います。ハドルで全員に話したんですが、残りの2試合を勝てば大学アメフトの構図がひっくり返るくらいのインパクトがあると思っていて、その分強い思いの詰まった試合だと考えています。勝てれば、結果として法政大を目指す高校生も増えて良い循環ができるだろうと。

1年、3年のときに戦ったときとはまた違う、「フィールド上で死んでもいい」くらいの気持ちを関学さんにぶつけようと思っています。

法政大・山田晋義主将

法政大・谷口雄仁の話

いつもの自分たちのペースをつくるスピードが遅かったのが反省ですね。いつも通りのことができていないという感覚で、相手どうこうの前に自分たちがすることに集中しようという声がけをずっとしていました。

中京さんも強かったですが、それ以上に自分たちのオフェンスができてないことに問題があると思っていて、スタートやコミュニケーション、キャッチミス、投げミスなどわかりやすいミスが続いたことが課題です。

次はこれまで2度日本一を阻まれてきた関学さんが相手なので、自分の人生のすべてをかける思いで挑みたいと思っています。

法政大QB谷口は31回投げ21回成功、247yd1TDを獲得

法政大・高津佐隼世の話

しっかりと準備してきたことはあったんですが、イレギュラーなことが起こったときに雰囲気が落ちてしまいました。一度落ちたところから、しっかり立ち上げていくのが課題だったんですが、時間がないスケジュールや試合前の練習など、いつも通りいかないことも多くて、そのことも苦戦につながってしまったかなと感じます。

中京さんの守備にしっかり対策されてたと思いますし、選手の能力も非常に高かったと感じました。そういう状況で相手を圧倒できないのが法政のWRの課題ですし、そこを打開できないと関学さん相手も厳しいなと。

来週の試合は、張り切りすぎて本来のプレーができないと本末転倒なので、いつもと変わらず自分ができるプレーをしっかりやり切りたいと思います。

法政大高津佐は3年ながら副将としてチームを引っ張る

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