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特集:第78回甲子園ボウル

関西学院大が前人未到の甲子園ボウル6連覇 歴代3位タイの61得点で法政大を圧倒

甲子園ボウル6連覇に喜ぶ関西学院大の部員たち(すべて撮影・北川直樹)

アメリカンフットボールの全日本大学選手権は12月17日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で決勝の甲子園ボウルがあり、関西学院大学ファイターズ(関西学生リーグ)が61-21で法政大学オレンジ(関東大学1部TOP8)を下し、6年連続34度目の制覇。6連覇は第78回を迎えた甲子園ボウルで初めて。法政の17年ぶりの勝利はならなかった。最優秀選手にはランとパスで計4TD(タッチダウン)を決めた関学のQB星野秀太(2年、足立学園)、敢闘選手には1TDの法政WR高津佐隼世(2年、佼成学園)、年間最優秀選手(ミルズ杯)には関西で関学、立命館大とともに同率優勝を飾った関西大のQB須田啓太(3年、関大一)が選ばれた。

法政大学、絶好の先制機を逃す

法政のオフェンスで試合が始まった。QB谷口雄仁(3年、法政二)が4本のパスを決めて敵陣へ。パント隊形からのスペシャルプレーも決めてゴール前30ydまで進んだ。絶好の先制機だったが、ランプレーで関学に2度ロスさせられたことでFG(フィールドゴール)圏外に追いやられ、無得点に終わった。関学の先発QBはリーグ最終の関西大戦で途中退場した星野。WR鈴木崇与(4年、箕面自由学園)へ二つのパスをヒットさせ、相手の反則もあって敵陣32ydへ。続いて右スイングのパスを捕ったRB前島仁(4年、関西学院)が右オープンを駆け上がってゴール前18ydへ。次のプレーはレシーバー陣のナイスブロックにも助けられ、星野が右オープンを駆け抜けるTD。ファーストシリーズで7-0と先行した。

関学のQB星野秀太は得意のランに加え、パスでも成長を見せつけてMVPに

法政のパントが飛ばず、関学の2度目のオフェンスは敵陣43ydから。2プレー目、中央付近で縦へ抜けたWR五十嵐太郎(2年、関西学院)の先へ星野がパスを通してTD。14-0とした。この日は関学のOL(オフェンスライン)が踏ん張り、関学のQBは余裕を持ってパスを投じられた。

関学の3度目のオフェンスは攻撃権を更新できずにパント。転がりがよくてゴール前1ydで止まる。最初のランに対して、関学DB東田隆太郎(2年、関西学院)がボールキャリアーをエンドゾーン内でタックル。セイフティで関学に2点が入った。第2Q(クオーター)1分すぎに関学のキッカー大西悠太(2年、関西学院)が31ydのFGに成功して19-0、続くキックオフで関学のDB薬袋(みない)龍太郎(4年、東京都市大附)が鋭いタックルでリターナーにファンブルさせ、味方がリカバー。ゴール前25ydからのオフェンスとなり、ランばかり3プレーでTDして26-0。

続く法政オフェンスでパスを関学DLトゥロターショーン礼(4年、関西学院)がインターセプトし、リターン。相手QBのタックルをかわし、最後はエンドゾーンに倒れ込んでTD。ディフェンスにビッグプレーが飛び出して33-0。法政がパスで1TDを返し、33-7で試合を折り返した。

まさにえげつない。関学DLトゥロターショーン礼のインターセプトリターンTD

接点にこだわり、ブロックとタックルを磨いてきた法政だが、関学にはその接点で歯が立たなかった。ボールへの執念でも完敗だった。関学は後半にもQB鎌田陽大(4年、追手門学院)からWR鈴木崇与(4年、箕面自由学園)への23ydTDパスなどで4TDを追加し、甲子園ボウル歴代3位タイの61得点。法政の反撃を2TDにとどめた。

リーグ戦の負けを生かせた

関学・大村和輝監督

「(関西リーグの最終戦で)関大さんに負けを経験したのが大きかった。いろんなことを見直す時間をもらえた。とくにランを止められて課題が明確になったので、練習の強度を上げてランを出す準備をしてきました。それが出たし、練習がみんなの自信になってたと思う。それが大きかった。ディフェンスもすごくよかった。(ずっと課題と言ってきた)DBもよくやれたと思います。海﨑は非常にいいキャプテンでした。自分に厳しくできるから、最後は彼の言葉にみんながついていった。いいリーダーだった。彼がチームで一番頑張ったから、関大戦のあとの抽選は神様が見ててくれたのかなと思います。6連覇については、ほんまに何とも思わないです。来年はいろんな部分で基準が下がってきてしまってるので、ちゃんとやり直さないといけないですね」

オフェンスが取ってくれて、やりやすかった

関学主将LB海﨑琢

「これまでのOBの方が勝ちをつないでくださって、僕らは一度負けたんですけど、最後勝つことができて、史上初の6連覇を達成できてうれしく思います。関大さんに負けたあと、日本一とスローガンの『DOMINATE』に向けて一からやり直そうと言って、ここまで来られてよかった。法政大学さんは非常に強いと思っていたので、オフェンスがポンポンと取ってくれて、ディフェンスとしてはやりやすかったです。DBはパスいかれてませんし、ランも止めたんで、ディフェンスとしてはいい内容でした。今シーズンは非常に下級生に助けられたシーズンだったので、来年も強いチームが作れると思ってます。来年はトーナメントも変わるし、ここに戻ってくるには苦しい道が待ってると思いますけど、日本一の目標に向かってひたむきに、一日一日を悔いのないように過ごせば必ず戻ってこられるはずです。アッという間の4年間でした。コロナで始まり、苦しい時期もあったんですけど、4回生の同期が僕を信じてついてきてくれた。ほんとに感謝してます。後半はちょっとよくなかったんですけど、40点差をつけたので、『DOMINATE』はできたのかなと思います」

大きな差はあるが、埋まらない差ではない

法政・富永一ヘッドコーチ

「我々がミスをしてはいけないところ、序盤でミスを重ねてしまったために、こういう試合になってしまった。法政らしい部分はあったのはあったけど、それを出せぬまま終わってしまった。大きな差があると感じています。ただ埋まらない差ではない。そこを誤らないようにして、もう一回根本的な部分からきっちりとやり直さないといけない」

インターセプトを決めた法政DBクラッセンマイケル

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