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特集:第78回甲子園ボウル

関西学院大学 6連覇意識せず、最後にもらったチャンスに「DOMINATE」を誓う

関大戦で途中退場したQB星野秀太(中央)も元気に甲子園練習に参加した(すべて撮影・篠原大輔)

アメリカンフットボールの学生日本一を決める第78回甲子園ボウルは12月17日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場でキックオフを迎える。8年連続57回目出場で史上初の6連覇がかかる関西学院大学ファイターズと、2年ぶり19度目の舞台となる法政大学オレンジの顔合わせ。両校の甲子園ボウルでの対戦は9度目で、これまでは関学の4勝3敗1分け。14日は関学が甲子園練習に臨み、芝の感触を確かめていた。記者会見に臨んだ大村和輝監督と主力選手のコメントです。

関大戦と同じ失敗を繰り返さないように

大村和輝監督

「関大戦と同じ失敗を繰り返さないように例年より強度を上げて練習してますので、前よりはいいゲームができると思います。ピックアップだけやっててもゲームでできない。もう一押しの部分をやってます。けがのリスクもあるけど、やらないとやられちゃうんで。OLは複雑なことをやられても返り討ちにするぐらいのプレーをしてほしい。最後はオフェンスにしっかりドライブしてもらって、主導権を握ってほしい。法政は昔からスペシャルプレーが多いので、何かしらやってくると思う。関大戦でやられてるんで、見たことないスペシャルプレーやいろんな隊形への対処も練習してます。だから前みたいなことにはならないと信じてます。法政オフェンスはオプションのイメージがすごく強い。フィジカルに強いし。ラインもかなり大きくて、OLはスピードよりパワー。Dは例年よりスピードがあると感じてます。6連覇は正直考えてません。勝つことを目標にはしますけど、とにかくいいゲームを。内容のいいゲームがしたいです」

着々とまとまりのあるチームになってきた

主将LB海﨑琢(4年、箕面自由学園)

「法政はOLがデカくて、スキルポジションのレベルも非常に高い。QBの谷口君は関大の須田君に似てパッシング能力、スクランブル能力とも高い。関大さんに負けてしまったんですけど、甲子園ボウルでラストチャンスをもらったので、スローガンの『DOMINATE』を達成して、圧倒できる試合にしたい。全員が同じように喜べるチームにしたいと思ってやってきて、難しかったですけど、着々とまとまりのあるチームが作りあげられていると思います。下級生は『4年生のために』とやってくれるし、4年生は気持ちを乗せて取り組みます。やっぱり(QBの)鎌田なしではオフェンスが完成できない。彼なしでは成り立たないと思ってます。最後の最後まで、まだまだ頑張ってほしいです。僕たちの目標はあくまで今年日本一になることなので、6連覇にこだわってはないです」

2年連続の甲子園ボウルMVPを狙う

副将RB前島仁(4年、関西学院)

「リーグ戦の最後の方でけがをして出られなかったんですけど、いまはベストコンディションで、しっかり準備ができてます。法政は体が大きくて、フィジカルは僕らより強い。勢いのあるチームで、流れに乗ると止められない印象です。向こうのRB新井君は啓明学院中学のころから知ってて、中3、高3ではお互いにQBで対戦して、大学4年の甲子園ボウルでは同じRBで対戦ということで、最後に甲子園で出会えたことが運命だなと感じてます。絶対に最後も僕が勝ちたい。ビッグゲームに強いところだけは自信があるので、『自分はこういうプレーヤーだ』と表すようなプレーがしたいです。父(1993年のチャック・ミルズ杯を受けた前島純さん)はシーズン序盤はプレーのことを言ってきてくれたけど、終盤になると『悔いなくやれよ』とか『楽しめよ』とか、励ますような内容に変わってきました。去年は甲子園ボウルMVPを取って、今年チャック・ミルズ杯を取って父を上回りたかったけど、それはできなくなったので、最後にできることとして甲子園ボウルで2年連続のMVPを受賞したいです。いまのところ大学でいったんフットボールは一区切りと思ってるので、10年間の最後のつもりでやろうと思います」

ボールを抱いて寝た日もあった

RB大槻直人(4年、京都共栄学園)

「日本一になることだけを考えて1年間取り組んできたので、いまはワクワクでいっぱいです。自分が任されるのはショートヤードやゴール前なので、そこでフレッシュやタッチダウンを取りきるのが目標です。密集に突っ込むのが自分の本職なので、毎日の練習前に30分ぐらい、タイヤ(を並べた器具)に突っ込んでます。ファイターズホールで一緒に住んでる海﨑に『いつもボール持っとけ』って言われてたけどあんまりやってなくて、京大戦でファンブルしてからずっと持つようにしました。ボールを持って寝ることもあるし、いつも枕の横に置いて寝てます。(今年の6月まで)LBをやってたときはへたくそでプレーリードもできなくて、OLに突っ込んでいくだけでした。最初から当たりに恐怖心はなかったです。高校時代に野球で甲子園を目指してて、大学からアメフトを始めて、ポジションが変わったから試合にも出られるようになった。感謝しかありません」

いろいろあった4年間、全力をぶつける

DLトゥロターショーン礼(4年、関西学院)

「いろいろあってあんまり試合も出られなかったけど、何とか甲子園にたどり着けました。4年間いろいろあったので、それを全力でぶつけたいと思います。出られない間、後輩が頑張ってここまでつなげてくれた。先発するからには、しっかり結果を残さないといけない。『やっぱり僕を出してよかった』と後輩に思われるようにしたい。ずっと時間との闘いでした。大学に入って最初の夏から3回生になるまでチーム練習に入るのがかなわず、今年の春のシーズン前からまたフットボールができなくなった。思い描いてた4年間とは全然違うんですけど、それでも言い訳を探すんじゃなくて、こうして甲子園でチャンスをいただいてるので、その中で自分がやってきたことを全力でぶつけて、いつ見返しても『やってきてよかったな』と思えるプレーをしたいと思ってます」

「アイツがいてくれてよかった」と思われる試合に

DB髙橋情(4年、東海大附属大阪仰星)

「DBが課題と言われた一年で、それを払拭(ふっしょく)できる試合が残り1試合ということで、自分としてはまだチームを救うようなプレーはできてないので、最後に自分がチームを助けて、『アイツがいてくれてよかった』と思われる試合にしたい。インターセプトしてタッチダウンまで持っていくのを目標にします。法政のレシーバーは一発タッチダウンのある選手が多いから、対戦できるのが楽しみです。山村、波田、中野と自分の4人なら対抗できる自信があります。高校までサッカーのセンターバックで、当たるのは好きでした。大学からアメフトを始めて1年目が大事だと思ってるのにコロナで練習ができなかった。家の前で親(松下電工でプレーした髙橋英雄さん)に基礎的な動きを教えてもらったり、過去の関学のビデオを見たりしてました。2年の秋からスタメンになったけど1回目の立命前にけがをして長引いて、3年の春に手術して、秋の関大戦に戻ってきました。3年から中心になってやらないといけないと思ってたので、焦りが強かったです。同期のコーナーバックの波田は高校の日本代表で関学でも1年から出てたので、いい刺激をもらってきました。関大戦でスペシャルプレーから決められたタッチダウンは、僕の前のレシーバーにQB(の須田)が入ってて、それは伝えたんですけど、その先は伝えられなかった。僕の気づきのなさでやられたタッチダウンです。あのミスを甲子園で取り返したいと思ってます。試合のときのスタイルのこだわりは、全部白でそろえてるとこぐらいですかね」

今年はパスにも注目してほしい

QB星野秀太(2年、足立学園)

「関大戦は途中からベンチに下がって、チームに申し訳ない気持ちが強かった。いまは今シーズン一番のコンディションです。法政ディフェンスは身体能力が高い。DBの長島選手は関東のMVPだし、少し気になります。去年は走り回ったんですけど、今年はパスに力を入れたので、パスにも注目してほしいです。でも、立命戦で自分で走ってタッチダウンしたときにすごく幸せな気持ちになったので、やっぱり自分で走ってタッチダウンしたいです。関学の練習は常に緊張感があるんですけど、鎌田さんはミスしても落ち込まず、気持ちを保ってるのを見せてくれるんで、すごいなと。参考にさせてもらいました。来年は同じQBの弟(太吾)がチームメイトになるので、一番身近で意見が言い合える関係でいたいです。弟に関学でQB以外をやってほしいとは思いません。僕が絶対勝つんで」

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