「最弱世代」から「最高世代」へ 大東文化大は4年生5人を軸に箱根駅伝5位以内目標
第101回箱根駅伝に3年連続で出場する大東文化大学が12月17日、埼玉県の東松山キャンパス内で共同記者会見を開催した。小出高義部長や真名子圭男子長距離監督、エントリーメンバー16人らが出席し、大会への意気込みや現状を語った。前回大会では9年ぶりにシード権を獲得。今大会は5位以内を目標に掲げる。
4年生の成長とともに、名門復活の道を歩んできた
「今年の4年生は入学時『大学史上最弱の学年』と言われたぐらい、力がなかったんです。苦しい時期から大東文化大学を復活させようと、進化を続けてくれました。『最弱世代』から『最高世代』になって卒業してほしい」。真名子監督は会見で4年生の成長を喜び、期待を寄せた。
駅伝主将の西代雄豪(4年、桶川)をはじめ、西川千青(4年、九州国際大付)、大谷章紘(4年、水城)、小田恭平(4年、水戸葵陵)、佐々木真人(4年、大東大一)と5人の4年生がエントリーメンバー16人に名を連ねた。5人とも前回の箱根を経験しており、西代は「ここにいる16人と、また16人に入れなかった他のメンバーたちとともに、最後の箱根駅伝で5位以内を目標に頑張っていきたいと思っています」と意気込みを語った。
2021年春の入学当時、チームは2年連続で箱根駅伝出場を逃していた。故障者も続出し、1年生だった彼らもなかなか結果を出せずにいた。翌2022年春に真名子監督が就任。以降、選手たちは着々と力をつけ、第99回大会でチームは4年ぶりに箱根路を走り、総合16位だった。前回の第100回大会では10位に入り、9年ぶりにシード権獲得。過去4度の箱根駅伝総合優勝を誇る大東文化大は、今の4年生の成長とともに、名門復活の道を歩んできた。
西代は「自分なんかは5000m15分台、力のない選手として入ってきて、早く追いつきたいと思って走ってきた4年間でした。この仲間がいたから成長できた」と思いを語る。エースの西川も「『自分たちの代で3大駅伝に復活しよう』と言い続けてきた結果、それをかなえることができた。この4年生のために、このチームのために、最後、全力で駆け抜けたい」と力を込める。
「5位が見える駅伝ができた」出雲と全日本
今年の男子長距離チームがスタートした時に掲げた目標は「5・5・5」。3大駅伝のすべてで5位以内に入ることだった。10月の出雲駅伝では2区を終えた時点で4位につけたが、中盤で順位を落とし10位に終わった。全日本大学駅伝では8人中4人が区間5~6位と好走するも11位でフィニッシュ。ともに目標には届かなかった。それでも真名子監督は「5位が見える駅伝ができた」と手応えをつかんでいる。
エース西川のほか、入濵輝大(3年、瓊浦)、棟方一楽(2年、弘前実業)、大濱逞真(1年、仙台育英)と各学年に力のあるランナーがそろい、戦力は前回以上に充実している。
前回1区を経験した西川は、2区での出走を希望している。夏合宿から2区のポイントとなる上りを意識して練習を積んできた。1学年先輩の久保田徹(現・Honda)が前回マークした大学記録の1時間7分35秒切りと区間1桁順位を狙う。
3年生の入濵は10000mでチーム内最高の28分13秒80を持ち、真名子監督も「来年のエース」と期待を寄せる実力者だ。2年生の棟方は11月17日の上尾シティハーフマラソンで1時間1分38秒のU-20日本記録を樹立。ルーキーの大濱は昨夏のインターハイ男子5000mで6位(日本人2位)に入った逸材で、大学でも出雲で2区区間3位、全日本は1区区間5位と、すでに実績を残している。この4人に加え、留学生のエヴァンス・キプロップ(1年、セントピーターズカプケチャ)が平地の重要区間を担う。
「山の大東」今年の5区、6区候補は?
前回の箱根駅伝では5区の菊地駿介(現・NTN)と6区の佐竹勇樹(現・トーエネック)がいずれも区間4位で好走し、「山の大東」復活を印象づけた。2人とも卒業したことで、今回は誰が走っても初めてになるが、真名子監督は「昨年と同じぐらいの区間順位を目指して山を攻めていきたい」と自信をにじませる。
5区の候補には主将の西代のほか、夏の蔵王合宿で10kmの上り練習をルーキーながらトップで走った中澤真大(1年、埼玉栄)が名乗りを上げる。6区は真名子監督が「下りの適性がある」と期待する藤原幹大(2年、東海大札幌)や「下りが得意」と本人も自信を持つ小田が候補。アップダウンに強い小田は、5区の候補でもある。
前回の箱根では8区で一時はシード圏外に落ちたが、大谷と佐々木が9、10区で挽回(ばんかい)。東海大学や国士舘大学とのデッドヒートの末に9年ぶりのシード権を勝ち取った。安定感がある大谷と佐々木は、今回も復路の勝負どころで起用される可能性がある。
ピーター・ワンジルの思いも背負って
選手層が厚くなる一方で、前回、前々回と箱根を経験したピーター・ワンジル(4年、仙台育英)がエントリーメンバーから外れた。「ピーターの存在がなかったら、自分たちはここまで強くなっていないと思う。最後、メンバーに入れなかったのは残念ですが、彼の分までしっかり走るのが自分たちの役割」と西代はワンジルへの思いを語った。ともに戦ってきた仲間たちの思いも背負って、箱根路へ向かう。