中央学院大・近田陽路が立川ハーフ優勝 吉田礼志とは異なる主将像「当たり前を言う」

立川シティハーフマラソン2025 男子生徒・学生の部
3月9日@陸上自衛隊立川駐屯地~国営昭和記念公園の21.0975km(東京)
優勝 近田陽路(中央学院大3年)1時間02分11秒
2位 浅川侑大(帝京大2年)1時間02分29秒
3位 冨田悠晟(日本大3年)1時間02分47秒
4位 山崎颯(順天堂大3年)1時間02分57秒
5位 清水郁杜(法政大3年)1時間02分58秒
6位 花岡慶次(法政大3年)1時間02分59秒
3月9日に開催された立川シティハーフマラソンの男子生徒・学生の部で、中央学院大学の近田陽路(こんだ・ひろ、3年、豊川)が1時間02分11秒をマークし、優勝を果たした。日本学生ハーフマラソン選手権との併催だった昨年の2位に続く好走。新チームでは主将を任され、10月に開催予定の箱根駅伝予選会に向けても良い練習になったようだ。
箱根駅伝予選会に向け「イメージトレーニングしやすい」
学生ハーフが今年から香川丸亀国際ハーフマラソンとの併催になったため、立川ハーフには中央学院大の他、法政大学や順天堂大学など、10月に同じ場所で行われる予定の箱根駅伝予選会を見据えたチームの選手が多く出場。近田を中心とした中央学院大勢は「ミスができない箱根予選に一番形が近くて、イメージトレーニングをしやすい」という目的を持って出走した。

レースは陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし、立川市街地を抜けて国営昭和記念公園内を走る21.0975km。近田は「最初から余力を持って、公園内のラスト5kmぐらいでペースを上げられたら」というプランで臨み、12km付近で公園に入ったところで「思ったよりも遅かった」と感じた。13km付近で「いけるところまで走ろう」とペースを上げると、帝京大学の浅川侑大(2年、洛南)がついてきた。
2人による一騎打ちは、ラスト3kmあたりで近田が仕掛けた。「1回下りがあるんですけど、そこでブレーキをかけずに走ったら、ついて来なかったので。『ここでペースを上げたら離れてくれるかな』と思って走ったら、案の定離れてくれた」。終始先頭でレースを引っ張りながら、そのまま浅川に18秒差をつけてトップでフィニッシュした。

昨年の夏合宿からチームを引っ張り始めた
昨年の学生ハーフで2位に入ったときのタイムは、1時間02分19秒。当時の走りについて、大黒柱だった吉田礼志(4年、拓大紅陵)は「チームの誰もがたぶん、近田が2位になるというのは想像していなかった。本当にびっくりしました」と驚くとともに、著しい成長ぶりに頼もしさも感じていた。あれから1年。今回は学生のトップクラスが出場していないとはいえ、「そうなると僕が1位を取るんじゃないか、とみんなから予想されていたので、自分の中でも1位を狙っていこうかなと思っていました」と近田。有言実行を果たすとともに、昨年のタイムを8秒上回った。

10000mで27分台のタイムを持つ吉田が抜けた後のチーム作り――。これは昨年から抱えていた課題だった。川崎勇二監督は夏合宿で、吉田をあえて実業団の練習に参加させ、エースだけに頼らず、全体の底上げを図った。ここでチームをまとめ、練習量も特に豊富だったのが近田だったという。近田自身も、この経験が主力としての自覚につながったと振り返る。「それまで礼志さんに頼りっぱなしだったというのは、自分も感じていました。それではいけないと思って、夏合宿では自分が『頑張っていこう』とかエールの声かけをしたり、チームの士気を高めたりすることを心がけていました」
近田は前年から副将を務め、春から最上級生になるにあたって、そのまま吉田から主将の座を引き継いだ。練習に取り組む姿勢などで、時にチームメートへ厳しいことを言ってきた吉田とは、また違った主将像を持っているようだ。
「礼志さんは、悪いことに対して『それはダメだよ』と言える人だったんですが、僕はあまりそういうことを言えない。逆に言うと当たり前のことしか言えないんです。たとえばあいさつとか、掃除とか、時間厳守しようとか。やっぱり僕たちは学生なので、社会人になってから絶対に必要とされる当たり前のことは、割と言うようにしています」

4年生が抜ける危機感をチーム力の向上に
今回の立川ハーフでは、吉田が卒業しても戦っていけるという手応えをつかめたようだ。近田以外では、ともに自己ベストで長部虎太郎(1年、東農大三)が1時間03分12秒で7位、長友英吾(1年、鹿児島商業)が1時間03分16秒で9位と1桁順位で入った。「途中のカーブするところで後ろとの差を確認したんですけど、みんな前の方で走っていて。自分よりも10秒ぐらい後ろだったので『みんな強いなぁ』と。もしかしたら自分も抜かれるんじゃないかと、ちょっとヒヤヒヤしました」と近田。4年生が抜ける〝穴〟への危機感を全員が持ち、自主練習が増えたり、足りないところを重点的に練習したりといった工夫が、チーム力の向上につながっている。
秋に迎える箱根予選会の目標は「3位以上」。そして箱根本戦では2019年の第95回大会以来となるシード権獲得を狙う。近田は「今のところ、個人的には2区を走って67分切りができたらいいと思っています。でも、夏の期間を通してもう一回、目標を改めてみようと思っています」。大学ラストイヤーは悔いなく、笑顔で終わりを迎えられるように。目標達成を見据えたシーズンが幕を開けた。

