早大が慶大撃破、対抗戦Vへあと一つ!
今年で95回目を迎えた早慶戦。ともに4勝1敗。対抗戦優勝を目指す両校にとって、絶対に負けられない一戦だ。早大はSO岸岡智樹(3年、東海大仰星)のロングキックを中心とした巧みなゲームメイクと帝京大戦から修正したディフェンスでプレッシャーをかけ続け、慶大に攻撃のリズムをつくらせない。しかし、早大も黒黄のカベがなかなか打ち崩せず、我慢の時間が続く。FB河瀬諒介(1年、東海大仰星)ら自慢のBK陣が躍動し、リードを奪うと、終盤の慶大の猛攻を振り切った。21-14。伝統の一戦は今年も接戦となった。
まさかの55mドロップゴール
前半について早大の相良南海夫監督は「想定以上にプレッシャーをかけられた」と語った。早大は自陣に攻め入られながらもラインアウトのディフェンスで慶大の攻撃の芽を摘んでいく。試合は一進一退の様相を呈したが、早大は飛び道具で先制に成功する。前半25分、慶大のドロップアウトからハーフウェイライン手前でボールを受けた岸岡がDG(ドロップゴール)を選択。「賭けでした」と岸岡。勢いよく蹴り出された楕円球がポールの中央に吸い込まれた。55mのDG成功だ。秩父宮はどよめきに包まれた。
これで勢いに乗った早大は30分、素早いカウンターアタックから相手のハンドを誘発、左ゴール前ラインアウトからモールで押し込み、トライ。さらには前半終了間際、ゴール正面からのPGをSH齋藤直人(3年、桐蔭学園)が確実に決めて、11-0。ボールの支配率はほぼ互角ながら、慶大を無得点に抑えて試合を折り返した。
後半5分、敵陣22メートルラインから左右に大きく展開され、そのままトライを許す。4点差に詰め寄られた。しかし粘り強いディフェンスを続けていれば、早大には頼もしいBK陣がいる。12分には河瀬が右ライン際に抜け出すと、オフロードパスを受けたWTB長田智希(1年、東海大仰星)が駆け上がり、フォローに入った齋藤がインゴール右隅に飛び込んだ。28分にはCTB中野将伍(3年、東筑)がトライを決め、21-7と再び引き離した。
14点リードで試合時間は残り12分。早大に勝利の予感が漂う。しかし、ここ4年間接戦が続いている早慶戦だ。慶大も意地をみせる。33分にモールからのトライで7点差とされると、ロスタイムにはゴール前まで攻め入られてしまう。トライを決められれば同点の窮地。これをディフェンスで何とか防ぎきった早大。最後はマイボールスクラムからボールを外に蹴り出し、ノーサイド。ベンチから選手たちが飛び出し、選手全員で歓喜に沸いた。
帝京大に負けたあと、この一年取り組んできたテーマを再確認した。「ディフェンスで勝つ」と。チーム全員が前へ出るディフェンスを徹底し、慶大に思うような攻撃をさせなかったのが勝利につながった。敗戦を確かな糧とし、ライバル慶大を撃破した。12月2日には明大と対抗戦優勝をかけてぶつかる。「全力で勝ちにいく」と中野。2010年以来となる対抗戦優勝まで、あと1勝だ。