アメフト

特集:第72回ライスボウル

出身大学なんて関係ないよ 富士通TE福井

JXBで勝利し、笑顔をみせた「お祭り男」福井

日本選手権第72回ライスボウル

1月3日@東京ドーム

富士通(社会人Xリーグ)vs 関西学院大(学生)

社会人Xリーグ王者の富士通は正月3日、ライスボウルで3年連続4度目の日本一をかけ、関西学院大と戦う。オフェンスとディフェンスに二人ずつアメリカの大学でプレー経験のある外国人選手がいて、圧倒的優位に立つ。日本人選手も関東、関西1部リーグのオールスター級が居並ぶが、下部リーグ出身者も数人いる。彼らは日本のトップレベルのチームでもまれることにより、潜在能力を花開かせている。
そんな選手の一人が、武蔵大学出身の4年目、TE(タイトエンド)の福井雄哉(26)だ。身長187cm、体重90kg。パワーもスピードもあり、試合中ではいろんな役目を果たせる。チームにとって貴重な存在だ。

12月17日のジャパンエックスボウル(JXB)。福井はTEのスターターとして出場した。14-6とIBMをリードして迎えた第2クオーター(Q)6分すぎ、ゴール前16ydからのプレーはRBトラショーン・ニクソンのラン。右のレシーバーの位置に入った福井は目の前にセットしたDBに対してしつこく、完璧にブロック。福井の背中をニクソンが悠々と駆け抜けてタッチダウン(TD)になった。また第3Q3分すぎにはゴール前3ydからのプレーでエンドゾーンへ駆け込んでパスを受け、TD。味方のベンチからは「お祭り男!!」との声が飛んだ。
「僕が2年目のシーズンのライスボウル、3年目のJXB、そして今年のJXBとビッグゲームでTDをとるんで、サイドラインで笑いが起こってましたね。TDのチャンスで使ってもらえて、ほんとにありがたいです」。ゴツゴツした顔に、柔らかい笑みが広がる。

IBMの選手をブロックする福井(89番)

武蔵大学でアメフトを始めた

福井は岐阜県出身。県立加茂高校まではサッカーに没頭していた。武蔵大学に進んで、「何か別のスポーツを」とアメフトを始めた。関東大学リーグの2部と3部を行ったり来たりというチームで、3年生まではずっとOL(オフェンスライン)。ひたすらぶつかっていた。4年生になって主将となり、あまりにもオフェンスに得点力がないためにパスも捕れるTEに転向した。これがアメフト人生の分かれ道になった。富士通が新加入選手向けのトライアウトを開くことを知り、挑戦した。
そのとき初めて福井のプレーぶりを見た富士通の藤田智ヘッドコーチは驚いた。「デカくて速いしボールも捕れる。こんな選手おるんやな」と。

日本アメフト界のトップチームに入って、周りのレベルの高さにはもちろん圧倒された。しかし、楽しさの方が上回った。「とにかく思いきりぶつかるのが好きなんです。だから外国人選手とプレーできるのがほんとに楽しいんです」。スケールの大きい男だ。

いまはTE、レシーバー、ブロッキングバックとさまざまな起用法に結果で応え、充実した日々だ。「大学時代から何でもやらないと練習が回らなかったんで、慣れてるんです。いろいろやるのが、自分にとってのアメフトみたいな感じです」
大学時代は自分が一番うまくて、とくに主将のときは周りの選手のことをいろいろ考えなくてはならなかった。富士通では夢中でやれるそうだ。「目の前のプレーだけに集中できるので、相手を見る余裕ができたし、冷静にやれてます」。だから活躍できる。

マークをかわしてパスコースに出る福井

可能性があると思ったらチャレンジを

2部や3部でプレーしている選手にも、自分のように社会人のトップチームに挑戦してほしい気持ちはあるかと尋ねると、「ありますねえ」と力強く言った。「最近はアメフトで知り合った人に『どこの大学出身?』って聞かれるのがうれしいんです。どこの大学を出たかなんて、全然関係ないんです。レシーバーの森田(恭平)も天理大ですけど、めちゃくちゃうまいですよ。自分がやれる可能性があると思ったら、チャレンジしてほしいです」

藤田ヘッドコーチは言う。「福井や森田みたいな選手が活躍すると、うれしいんです。彼らは甲子園ボウルを目指す立場にもなかった。それが社会人になってビッグゲームに出てるわけですから。同じ立場の大学生の希望になるはずです。彼らのような存在を見いだすのがXリーグの役割でもあると思ってます」

さあ、4年目のシーズンの最終戦だ。「初めて同じシーズンのJXBとライスボウルの両方でTDとりたいっすね」。いま、福井雄哉は希望に満ちあふれている。

レシーバーの位置に構える福井

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