ラグビー

残り30秒の悲劇 慶早戦リベンジならず

慶應は最後、リードを守れば勝てたが……

大学選手権準々決勝

12月22日@東京・秩父宮
慶應義塾大(関東対抗戦Aグループ2位=3位扱い) 19-20 早稲田大(同1位=2位扱い)

主将のSO古田京(4年、慶應)が率いる慶大は、19年ぶりの日本一を目指して大学選手権に向かった。初戦の京産大戦では一時1点差まで詰められたが、後半に三つのトライを決め、43-25で勝った。そして準々決勝は宿命のライバルである早大が相手。4年生は対抗戦で早大に勝っていない。リベンジを果たすべく、大一番に臨んだ。

残り30秒で痛恨のコラプシング

開始直後に自陣でペナルティを犯すと、早大のWTB佐々木尚(4年、桐蔭学園)にトライを許し、いきなり出鼻をくじかれた。しかし、敵陣ゴール前でWTB宮本瑛介(4年、慶應)が早大のSO岸岡智樹(3年、東海大仰星)のキックをチャージし、そのままトライ。これをきっかけに流れが慶大に傾いたかと思われたが、慶大はトライを取りきれない時間帯が続いた。そして38分、相手のFW陣を中心とした連続攻撃でトライを決められ、7-12で試合を折り返した。

巻き返しを図りたい慶大はBKとFWが一体となった連続攻撃で攻め込む。左サイドを駆け上がったNo8山中侃(あきら、4年、慶應)がトライ。後半15分に12-12と追いついた。しかし20分、早大のSH齋藤直人(3年、桐蔭学園)にペナルティゴールを決められ、再びリードされる。慶大はすぐに反撃。24分に敵陣でのマイボールスクラムから古田が早大ディフェンスのギャップを突き、逆転のトライを決めた。19-15。慶大はこのリードを守るだけだった。

トライに喜びを見せた慶大メンバー

しかし、試合残り30秒、慶大は自陣ゴール前でのマイボールスクラムで痛恨のコラプシング。その後、早大の猛攻を魂のタックルで耐えたが、24フェーズ目で右の大外にいた佐々木にトライされた。ノーサイド。夢半ばにして慶大の挑戦が終わった。

慶早戦には魔物がいるのか。最後の最後に、勝利の女神に見放された。だが、慶大は早大と互角に渡り合い、随所で慶應らしいラグビーを体現した。

鋭いタックルを連発し、早大のアタックを苦しめた。試合のポイントであったスクラムでは、慶大が優位に立っている場面が多かった。しかし、終了間際のコラプシングのように、勝負所で相手のプレッシャーに屈する場面が目立った。そこが勝負の分かれ目になった。

今シーズンの慶大は、FB丹治辰碩(4年)やLO辻雄康(同)など、慶應義塾高校で花園に出場した“黄金世代”の多くがスタメンの名を連ね、例年以上に期待された。だが夢は潰え、すべては後輩たちに託された。早大に負けた屈辱、そして試合終了後の秩父宮の光景。後輩たちはそれを忘れず、早大撃破と大学日本一の目標に向かってまい進してほしい。

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