陸上・駅伝

世界の借りは世界で返す 早大1年・中谷雄飛

中谷(中央)は鬼塚(右)と小松(左)らとの3位集団から、先頭の坂東を追った(撮影・松永早弥香)

第102回日本陸上競技選手権クロスカントリー競走 シニア男子10km

2月23日@福岡・海の中道海浜公園
4位 中谷雄飛(早稲田大1年、佐久長聖) 29分43秒

早大のゴールデンルーキー中谷雄飛(なかや・ゆうひ)にとって、福岡クロカンは抜群に相性のいい大会だ。「勝ちきる強さが身についたというか、強さを身につけるきっかけになったというか。僕にとって、そんな大会です」と中谷。長野・佐久長聖高校2年の一昨年、3年の昨年と続けてU20男子8kmで優勝しているのだ。初めてシニア10kmに挑む今回は、3位以内に入って日本選手権(6月、福岡)10000mの出場権をつかむことを最大の目標に、悪くても6位以内で得られる世界クロカン選手権(3月30日、デンマーク)の出場権は手に入れることを狙い、会場である海の中道へやってきた。

慣れ親しんだクロカンで強さ

1月20日の全国都道府県対抗男子駅伝のあと、足に痛みが出て思うように練習を積めなかった時期もあったが、何とか間に合わせた。レースは序盤からハイペースになった。塩尻和也(順天堂大4年)が前に出て、坂東悠汰(法政大4年)が食らいついていく。中谷は3位集団でレースを進めた。中盤から塩尻が失速し、坂東が引っ張る。中谷は佐久長聖高で日常的にクロスカントリーコースを走っていた。シニアの中に入っても強さは光り、実業団の田村兄弟に前を行かれはしたが、東海大3年の小松陽平(東海大四)と鬼塚翔太(大牟田)は振り切り、優勝した坂東に7秒差の4位に入った。「日本選手権には届かなかったですけど、シニアの中で勝って世界クロカンを決められたので、まずはホッとしてます」。レース後の中谷はいつも通り取材にスラスラと答えて、柔らかな表情をみせた。

中谷は東海大の小松と鬼塚を振り切り、学生では2位でゴールした(撮影・松永早弥香)

どうしても世界クロカンに出たかったのには、理由がある。

鳴り物入りで早稲田に入りはしたが、期待に応えられない時期が続いた。中でも昨年7月のU20世界選手権は痛恨だった。5000mに出て、14分39秒78という平凡なタイムで17位に終わった。「調子を崩してたこともあって、思うように走れなかったので、非常に悔しい思いをしました。世界の借りは世界で返すというふうに、しっかりリベンジしたいなと思います」。世界の借りは世界で、ときた。そこらへんの19歳とは違う。

リベンジの舞台を勝ちとるため、中谷はいまのすべてを出し切った(撮影・藤井みさ)

「6月には日本選手権がありますし、7月にはユニバーシアードもあります。そこでしっかりいい結果を残したいと思ってますので、まずは世界クロカンで自信を持ってスタートラインに立てるようにしたいです」。そう、世界の借りは世界で返す。

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