フェンシング

特集:体育会学生の就活術

試合のない夏、就活で勝負 法大4年・村上久美さん【体育会 就活企画】

フェンシングは大学までと決めていた村上さんだが、インカレで優勝して心が揺れた

【フェンシング部→IT企業】

体育会系学生には日々の練習があり、週末には試合があります。その合間に就活をしないといけないため、肉体的にも精神的にも大変だと言われます。先輩たちは、どうやって乗り切ってきたのでしょうか。フェンシングに取り組んできた法政大学4年の村上久美さんは、4月から日本ユニシスで働きます。3年生のときには女子エペで、インカレの個人と団体をともに制しました。インカレ連覇への思いも胸に迎えた就職活動。村上さんはどのようにして内定をつかんだのでしょうか。

――村上さんは3年生の11月にインカレで優勝しましたが、そのころはまわりの友だちも就活準備を始めた時期だと思います。もともと卒業後はフェンシングを続けないつもりだったと聞きました。

インカレで優勝してからは「それでもフェンシング続けないの? 」と周りの人から言われるようになりました。両親ともフェンシングをしてましたので、私が小さいころから、なんならお母さんのおなかの中にいたときから身近なスポーツでした。だから小2でフェンシングを始めたのは私にとって自然なことで、「大学でもやるんだろうな」と何となく思ってたんですけど、それと同時に「大学まで」という意識がありました。

でもインカレでの手応えで、私自身も「もうちょっとできるんじゃないかな」って思うようになりました。東京オリンピックにあこがれもありましたし。2月になって就活が始まっても、ずっと迷ってました。ES(エントリーシート)を書いたり、筆記試験の対策をしたりもしましたけど、5月の関東リーグに向けた練習で忙しくて……。このままだと両方中途半端になると思って、思い切って夏採用に向けて就活をしようと決めました。だから本格的に就活を始めたのは6月末です。

村上さん(右)は3年生のときにインカレで個人と団体でともに優勝した(写真は本人提供)

――その時期だと、すでに就活を終えた友だちも多かったですよね?

まわりはみんな決まってました。募集を締め切った企業も多かったです。想定はしてましたけど、それでも最後までフェンシングをやりきりたかったんです。関東リーグまでは部活に集中して、試合がない夏に就活、それで最後のインカレと全日本団体選手権に臨めたらいいなって。関東リーグでは気負ってしまって思うような試合ができなかったんですけど、でもフェンシングに集中できたからこそ、心おきなく就活に専念できました。

――就活でとくに意識して取り組んだことはありますか?

いろんな可能性を探しました。自分は何をしたいのか。社会に出て何を実現したいのか。自己分析の本を読んだり、自己分析をしてもらったりと、まずは自分を見つめることから始めました。就活ノートには自分の見取り図も書きました。自分の真ん中には「フェンシングが好き」があって、そこから「成長、進歩を実感できる」「勝つと楽しい」っていう言葉にどんどん広げていって。だんだん自分がどんな人間なのかを客観的に見られるようになったと思います。

村上さんは自己分析の一環で自分の見取り図を作成。「フェンシングが好き」から書き始めた

自己分析で分かったことの一つが、それまでのやり方を変えて、私はいい結果を出してきたという点でした。フェンシングでの成功体験を振り返ると、大学1年で世界ジュニア選手権代表に選ばれたときも、大学3年生のインカレで優勝したときも、新しいエッセンスを加えてもらって飛躍できました。だから仕事でも「挑戦して自分を成長させられる業種や企業がいいな、やりがいを感じられるだろうな」って思いました。地元の宮城に帰ることも考えたんですけど、それよりも、いまは東京で自分が興味のあることを突き詰めて力を注いだ方がいいと思い、東京で就活すると決めました。

体育会系は先輩との縦のつながりがあるので、ESを添削してもらったり、社会人の先輩にお話を聞かせてもらったりと、就活でも力になってもらいました。大学のキャリアセンターの方にも、親身に相談にのってもらえたのは心強かったです。日本ユニシスの追加募集もその方が見つけてくださって、「受けてみない? 」と声をかけてくださいました。

――IT企業を選んだ理由は何だったんでしょうか?

私には当初、「絶対これ」というものがなかったので、さまざまな業界の試験や面接を受けました。最終的に計15社受けましたが、いろんな業界に携われて社会に大きく影響を与えられるIT企業に興味を抱くようになりました。ITならOから1を生み出すこともできますよね。それが私のチャレンジしたい気持ちに寄り添ってくれるような気がしました。

――就活中、部活はどうしてましたか?

フェンシングは夏に試合がないので、部活も休み期間になります。その間は自主練習に切り替えました。関東インカレに向けて部活が再開になってからは就活を優先し、試験や面接があるときは、その前後で部活に参加してました。就活が1日ががりで部活に行けないときは、筋力が落ちないようにトレーニングしました。就活の初めこそ、卒業後もフェンシングを続けるかどうか悩んでましたけど、日本ユニシスから内定をもらえたことがうれしくて、それに自己分析の結果も踏まえて「今後はビジネスで、新たなステージで頑張りたい」という気持ちに変わりました。

納得のいく就活ができたからこそ、村上はフェンシングを引退する決意ができた

就活が終わったあと、10月の関東インカレと11月のインカレは思うような結果が出ませんでしたが、現役最後の大会となった12月の全日本団体選手権は3位。悔いのない試合ができました。最後の試合の朝、「きょうで最後なんだ」と思うと変な感じでしたけど、同期の子のお母さんから「楽しんできなさいよ!! 」と言ってもらえたことで、私も素直に試合を楽しめました。後輩と組んで出たんですけど、「久美先輩の最後の試合なので頑張ります!! 」と言ってくれた気持ちがうれしかったです。「みんなで表彰台に上れたらいいな」と思っていたので、それがかなって、笑顔で終われてよかったです。

――これから就活をする人にアドバイスをお願いします。

就活と部活は両立できると思います。後悔のないように、自分らしく取り組んでみてください。就活ではこの「自分らしく」というのが本当に大切なことで、自分の言葉で伝えられるよう、私は面接前にすごく準備をしてました。面接はどうしても緊張してしまうものですけど、次第に慣れてきます。自分の納得できる結果を勝ち取ってください。

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後日、4years.サイトで採録記事を公開いたします。

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