水泳

関学競泳・甲谷、チームで戦う意味を見つけた

観客席の仲間に晴れやかな表情を見せる甲谷

一昨年の9月、99代目の関西学院大学水上競技部競泳パートが始動した。主将に任命された甲谷(こうたに)直希(4年、明石城西)は、どちらかと言えばムードメーカータイプ。中学、高校時代の部活動で主将経験はなかったが、同学年でミーティングをするときのまとめ役だった流れでキャプテンになった。

甲谷はさらに、学生トレーナーとショート(ST)パートリーダーも兼任。いままでにない主将のあり方に、OBから不安の声が出ていた。それでも甲谷は「大変なのは分かってました。でも、このチームが好きだからやろうと思いました」と、決意は揺るがなかった。

結束力を高めたかった

チームの精神目標として掲げているスローガン「克」には二つの意味がある。一つは「全力を尽くして事をなしとげる」で、もう一つは「全力を尽くして相手に打ち勝つ」だ。甲谷は練習メニューの脇に毎回この言葉を書きこみ、意識統一を図った。また、関西インカレでの団体目標を意識し、それぞれの選手が狙うべき結果を細かく設定。「チームの結束力を高めるために、全員が同じ方向を向いて戦えるようにしたかったんです」と甲谷。個人競技の競泳で『チームとして戦う意味』とは何か。その答えを見つけるために、チームを意識した目標設定を考えた。

新体制始動から約10カ月後に迎えた関西インカレでは、全力を尽くして仲間を応援する部員の姿があった。100mバタフライ決勝。仲間の声援に応えるように、甲谷は力強く泳ぎ、ゴールにタッチした。電光掲示板に表示された順位は「3」。目標の表彰台に届いたことを確認すると、仲間に向かって何度もガッツポーズした。

仲間の応援を力に、力強い泳ぎで関学を引っ張った

応援席からは、「直希さんさすがです!! 」「直希、やったな!! 」との声が飛んだ。甲谷は「応援が力になりました。みんなが喜んでくれてるのがうれしかったです」と笑った。3年前にも関西インカレで3位に入ったが、見えた景色はまるで違っていた。そのときはただ自分だけがうれしかった。たとえいい結果が出ても、一人だけではたいして喜べない。探していた「チームで戦う意味」を、ようやく見つけた。

水泳人生初のスランプから、あきらめないことを学んだ

甲谷はこの1年、「水泳を好きになってもらいたい」という思いを持ってチームを引っ張った。その気持ちを強くさせたのが、2回生のときに経験した水泳人生初のスランプだ。

そこで「いまはいい結果が出なくても、考えて行動すれば必ず成功につながる」と学んだからこそ、仲間に大好きな水泳を簡単にあきらめてほしくない。「充実した時間ほど、短く感じるとはこのこと。水泳をやってきてよかったです」。甲谷が大事にしてきた水泳と仲間を思う姿勢は、後輩たちへ受け継がれていくはずだ。

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