陸上・駅伝

東洋大・西山の3年目がスタート、慎重に慎重に日本人学生トップ

西山は慎重なレース運びで日本人学生1位の座を獲得した

兵庫リレーカーニバル 男子グランプリ10000m

4月21日@ユニバー記念競技場 
5位(日本人学生1位) 西山和弥(東洋大学3年)28分57秒21

「箱根往路の朝の顔」と言ってもいいだろう。東洋大の西山和弥(3年、東農大二)は昨年、今年と箱根駅伝の1区で区間賞。学年が上がり、7月のユニバーシアード代表を狙って神戸へとやってきた。

3月末まで走れなかった

西山にしては、非常に慎重なレース運びだった。スタートから、ほぼ最後尾につけた。レース後、彼が明かした。「1月に右の恥骨を剝離骨折してしまって。それが3月に発覚して、3月末まで走れませんでした。状態が上がらなくて、今日は後ろから前のランナーを拾っていくような走りをしようと思ってました」

ずっと無理をせず第3集団にいた西山が勝負に出たのは、残り3周で桜美林大のレダマ・キサイサに周回遅れにされた瞬間だった。
「あそこで切り替えればタイムが出るかなと思ったんで、ついていきました。今日は自分で引っ張る勇気はなかったんですけど、後ろにつくことはできたので」。キサイサに食らいついて集団から抜け出した。ラストは東洋大の酒井俊幸監督と、3000m障害に出た小室翼(4年、仙台育英)からのゲキに後押しされ、日本人学生トップの28分57秒21でゴールした。

表彰台にのぼると、笑みを浮かべて小さくガッツポーズ

「最低限のことはできました。でも、すべては運が味方してくれたからです。実力とは言えないので、もう一回しっかり練習して頑張りたいです」。ユニバーシアード代表の可能性が出てきたことについては「可能性はあると思うんですけど、いまの状態では、もし出ても戦えないので、ここでおごることなく、しっかり練習を積んでいければと思います」。極めて真摯なセリフを繰り返した。

積極的にいった吉田圭太を称賛

前でレースを引っ張った同学年の吉田圭太(青山学院大)について問われると、自分が積極的なレースができる状況でなかったこともあり、称賛の言葉が口をついて出た。「やっぱり強いなと思いました。今日は後半に遅れてはしまいましたけど、彼も(ニュージーランドに)留学に行ってて大変な中で帰ってきてレースに出て、その中でも5000mを14分切るか切らないかのペースで入っていってるので。見事だなと思いますし、ライバルとして、自分はああいうレースができなかったのは悔しいですね」

けがからの完全復帰、そして昨年以上の走りへ。西山はまだまだ進化する

今年の箱根駅伝は往路優勝したが、終わってみれば総合3位だった。新しいチームになり、選手層に厚みを出すことに取り組んでいるという。西山自身の現状について尋ねると、こう言った。「去年よりスピード練習の質は劣るんですけども、その分ジョグの量は去年の1.5倍を確保してますので、スタミナをつけつつ、徐々に足を戻していって、去年出した自己ベストを更新したいです」

大学で3年目の勝負へ、西山が駆け出した。

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