関東新人バスケ 準決勝敗退の日体大、光った井手拓実の得点力
昨年の新人戦ファイナリストの日本体育大は今年、その一歩手前で力尽きた。新人戦チーム主将を務めた井手拓実(2年、福岡第一)は試合後、「優勝しか考えてませんでした」と落胆を隠せなかった。
東海大のゾーンディフェンスに混乱
前半は互角の展開だった。井手はドライブ、パス、3ポイントと八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍でチームを盛り立て、モンゾンボ・クリスティン(1年、東山)とのコンビネーションもさえた。しかし、第3クオーター(Q)途中から東海大が仕掛けたゾーンディフェンスに日体大は混乱。前半終了時点で3点だったビハインドは、第3Q終了時点で12点にまで広がり、その差はタイムアップまで詰まることがなかった。
「自分は東海のディフェンスがゾーンになったことに気づいてたけど、ほかの選手は気づいてないようでした。すぐに自分が伝えられればよかったんですけど、それができなくて一気にやられてしまいました」。井手は悔やんだ。
高校の悔しさは全部大学で晴らす
井手は強豪の福岡第一高校のスタメンでプレーし、3年生のときにはキャプテンとしてチームを全国ベスト4に導いた。しかし井手本人は「思うようなパフォーマンスを発揮できなくて、不完全燃焼の3年間でした」と振り返る。「高校の悔しさは、全部大学で晴らしたい」。そんな思いから、自らのスタイルに一番合っていると感じた日体大に進学。トレーニングや個人スキルの向上に打ち込み、昨秋のリーグ戦からプレータイムを増やしていった。そしてチームの悲願だった1部昇格にも大きく貢献した。
今大会はけがを抱えていたにも関わらず、ほぼ交代なしで出場。相手チームから執拗なマークを受けながら、2回戦の中央大戦で30点(うち3ポイント5本)、準々決勝の白鷗大戦で25得点(うち3ポイント2本)、この日の東海大戦で25得点(うち3ポイント5本)と、いずれもチームトップの得点を挙げた。東海大戦の第4Q終盤には足を攣(つ)りながら3ポイントを決め、すごみすら感じさせた。6月8日現在、井手は80点で新人戦の得点ランキングトップに立っている。
得点をとりつつチームをコントロールする。自身が理想とするプレースタイルを、ある程度は体現できた。それでも「本当はもうちょっと東海大に食らいつきたかった」と、井手は悔しさをにじませた。この敗戦で得た課題をしっかり整理し、6月9日の3位決定戦、そして優勝を目標とする秋のリーグ戦や冬のインカレへとつなげたい。