ラグビー

令和初のラグビー早明戦は昨年度の大学王者・明治が29-14で勝利

後半2トライを挙げて勝利の立役者となったF明治大B雲山(すべて撮影・斉藤健仁)

大分県ラグビーフェスティバル招待試合

6月9日@大分市営陸上競技場
明治大 29-14 早稲田大

令和最初の「早明戦」が約5000人の観客を集めて大分で開催された。試合は序盤から昨年度の大学選手権覇者の明治がリードする展開に。後半、昨年の対抗戦で優勝した早稲田も意地を見せて一時は5点差に迫ったが、地力に勝る明治が29-14で勝った。

まだ春シーズンということで、けが人や教育実習で不在の選手、さらにはU20日本代表に呼ばれている選手もいて、互いにベストメンバーではなかった。

常にリードを保った明治

明治が序盤から優位に試合を進めた。前半4分、CTB齊藤大朗(ひろあき、3年、桐蔭学園)が抜け出し、オフロードパスでボールをつなぎ、LO片倉康瑛(3年、明大中野)がインゴールに左中間に押さえて先制。FB雲山弘貴(2年、報徳学園)がゴールを決め、7-0とした。

さらに14分にはハーフウェイ付近からのラインアウトから左に大きく展開。副将WTB山村知也(4年、報徳学園)が緩急をつけたステップで駆け抜けて12-0とリードする。

しかし、すぐに早稲田も反撃。中盤でしっかりボールをキープし、CTB中野将伍(4年、東筑)のオフロードパスからWTB加藤皓己(4年、函館ラ・サール)が抜け出してトライを返し、FB梅津友喜(4年、黒沢尻北)がゴールを決めて12-7とした。

その後は、明治がゴール前に攻め込んでも早稲田の粘りのディフェンスで得点できないという展開が続き、そのままハーフタイムを迎えた。明治大の田中澄憲監督は「(早稲田のディフェンスの圧力の前に)少しかわしていた部分があった。もっとガツガツいってほしい」との指示を出した。

後半も先に得点したのはスクラムで優勢だった明治。7分、敵陣22mのスクラムを押し込んで、最後はゴール前でLO箸本龍雅(3年、東福岡)が力強くトライ。19-7とリードを広げた。

その後は明治が敵陣でプレーする時間帯が続いたが、早稲田は24分、自陣ゴール前のピンチからWTB加藤が判断よく前に出て相手パスをインターセプト。90mを独走し、この日2本目のトライ。ゴールも決まって19-14と5点差に迫った。

早稲田は直後のキックオフでミスをしてしまい、その隙をついて明治が攻め込む。LO片倉が突破したあと、ループから左大外を突き、FB雲山がトライ。さらに雲山は32分にもトライを挙げて突き離した。

先制トライを挙げた明治のWTB山村

早稲田のルーキーSO吉村が躍動

この試合で、1年生ながら早稲田のアカクロジャージーに初めて身を包んだSO吉村紘(東福岡)については、相良南海夫監督が「及第点。思いの外よかった」と語ったように、教育実習中で不在だった岸岡智樹(4年、東海大仰星)の代役を十分に務めた。

また明治も、昨年度の花園で出色の出来だったPR葛西拓斗(流通経済大柏)、LO武内慎(石見智翠館)の2人のルーキーが紫紺デビューを果たした。明治のキャプテンを務めるHO武井日向(4年、國學院栃木)は「今日のテーマは『ハイクオリティー』でしたが、ミスやノックオンしたりなどまだまだだと思います。違うメンバーが入ってもクオリティーを保てなかったのが課題です。ただ、いろんな選手が伝統の一戦を体験できたのはチームとして収穫でした」と振り返った。

伝統の一戦はやはり、試合中盤まで接戦となった。まだ春シーズンだ。今後、夏合宿を経て、12月の関東大学対抗戦の再戦では必ずや熱戦となるだろう。

岸岡が教育実習でいない穴を埋めた早稲田の1年生SO吉村

どうトライを取るか、意思統一が足りない

明大・田中澄憲監督の話
「難しいゲームになることは分かってたんですけど、最後をがまんして勝ち切れました。簡単なミスが多い試合になりましたが、早稲田さんのディフェンスのプレッシャー、しぶとさはさすがだったので、こういう強度で、今日のメンバーで試合ができてよかったです。勝って課題が見つかった。プレシャーのかかった状態で、インテリジェンスに欠けたプレーが多かったので、ミーティングで話そうと思います。トライを取り切る部分、どうやってトライを取るかという部分で意思統一がちょっと足りなかったと思います」

ミスの数の差で負けた

早大・相良南海夫監督の話
「選手が80分間、戦うマインド持ってやり続けたことは評価できます。ディフェンスもここ3週間くらいテーマにしてやってきましたが、(トライを)取られはしたんですけど、粘れてました。今日初めて出たメンバーもいた中で、よく戦った。結局、何が差だったかといえばミスの数です。自分たちから簡単にノックオンしてしまった。相手ボールのスクラムになると苦しい。相手のやりたいスクラムでペナルティーを犯して前進されるというネガティブなサイクルになったのは、もったいなかったです。でも、そこを体感できたので、このあとの練習から選手たちがどれだけ意識できるかだと思います」

in Additionあわせて読みたい