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関東新人バスケ準Vの専修大、突出した個性がかみ合った

キング(右)は高い身体能力を礎に、現在はポイントガードに挑戦している

第59回 関東大学バスケットボール新人戦

6月9日@日本体育大学世田谷キャンパス
決勝 専修大 82-97 東海大

専修大は関東大学新人戦決勝で東海大に敗れ、準優勝に終わった。佐々木優一ヘッドコーチ(HC)は失意の選手たちに向かってこう話したという。「ノーシードで決勝までこられたのは素晴らしいこと。負けたのは俺の責任であって、お前たちはやってほしいことをしっかりやってくれた。下を向かず、胸を張って表彰式に出てほしい」

後半、東海大のディフェンスにパワー負け

準決勝の筑波大戦で4-17という最悪の出だしを経験した反省を生かし、専修大は試合への入り方を大切にした。コートに立つ5人全員がゴールにアタックして流れをつくり、第2クオーター(Q)はそこに喜志永修斗(きしなが、1年、豊浦)、寺澤大夢(ひろむ、2年、東海大諏訪)、山本翔太(2年、日大山形)の3ポイントシュートが絡んだ。前半が終わってのスコアは49-44。チーム全体が「勝てる」という予感に高揚した。

しかし第3Q開始からほどなくして、ディフェンスのインテンシティ(強度)を高めた東海大に逆転された。専修大のインサイドを司るケイタ・シェイク・ブーバガー(1年、日体大柏)と寺澤は、大学屈指のパワーを誇る東海大インサイド陣を相手に、交代なしでプレー。疲労の影響は間違いなくあったが、それでもディフェンスを軸に食い下がった。最後は力尽きた。

1年目は自信につながるものを磨く

専修大の新人戦チームのメンバーは、高校時代のキャリアで言えば“1.5級”だ。全国大会上位入賞、アンダーカテゴリー日本代表といった輝かしい実績を持つ選手はいないが、選手たち一人ひとりが伸び伸びとプレーし、準決勝では代表経験者がそろう筑波大を撃破。スター軍団の東海大とも最後まで対等に戦った。

佐々木HCは選手獲得と育成の方針をこう説明する。「総合的に優れていなくても『ここだけは特別』という選手を獲得するようにしてます。そして入学1年目はできないことには目をつぶって、いいところだけを見ます。自信につながるものをしっかり磨いたのちに、次のステップへと進ませます」

山本(右端)は高校時代、インサイドプレーヤーだったが、いまはシューターとして花開き出している

パワーフォワードだった高校時代からシュートに光るものがあった山本は、入学直後にスモールフォワードに転向し、1年の鍛錬の成果でアウトサイドシュートが開花。新人戦チームの専修大は、各選手の突出した個性がピタリとかみ合ったところに強さがあった。

新人戦チームの主将をつとめたキング開(2年、アレセイア湘南)は、高校3年生のときはインターハイで1回戦負け。当時から高い身体能力を持っていたが、チームのスタイルとの兼ね合いで、それをフルに発揮する機会に恵まれなかった。「もっとできるはず」と感じた佐々木HCの誘いで専修大に入学すると、1年目から活躍。エースキラーという役割を与えられ、現在はシューティングガードからポイントガードへの転向というお題が出ている。

「ここまで成長できるとは、正直思ってませんでした。HCの『得意なところを全部出していけ』というスタイルにチャンスをもらい、それをものにできたから、いまの自分がいます」。キングはここまでの歩みを感慨深げに振り返る。

今大会で優秀選手賞に選ばれた寺澤は、自由なオフェンススタイルにひかれて専修大に入学した

決勝戦後、佐々木HCは選手たちに「フルメンバーもこのメンツでいいくらい。秋はプレータイムを勝ち取れ」とハッパをかけたという。大きな自信を得た下級生たち。上級生もうかうかしていられない。より高いレベルの切磋琢磨を経て、昨年のリーグ3位、インカレ準優勝の成績を超えていけるか。

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