陸上・駅伝

医学も陸上も究める 愛知医科大・高橋周治が個人選手権100m3位

高橋は来年の日本選手権の参加標準記録を突破した

日本学生陸上競技個人選手権第2日

6月8日@Shonan BMWスタジアム平塚
男子100m決勝(-0.1m)
1位 坂井隆一郎(関西大4年)10秒27
2位 宮本大輔(東洋大2年)10秒28
3位 高橋周治(愛知医科大6年)10秒46

日本学生個人選手権の男子100m決勝、愛知医科大学6年生の高橋周治(東海)は10秒46で3位に入った。医学を学びながら、日本選手権の決勝に進んだこともある高橋。大学ラストイヤーはどう過ごそうとしているのか、表彰式後に話を聞いた。

表彰台に乗れたのは素直にうれしい

この日は予選、準決勝、決勝と3レースを走った。予選は10秒42で宮本大輔(東洋大2年、洛南)に次ぐ2位。準決勝は10秒29で坂井隆一郎(関西大4年、大阪)に次ぐ2位。そして決勝は10秒46で、坂井、宮本に次ぐ3位だった。

高橋は「今日(6月8日)はサニブラウン選手が日本新記録を出して、日本の短距離のレベルが上がってきてる中、学生トップレベルの大会でこうやって表彰台に乗れたのは素直にうれしいです」と喜びを口にした。予選から決勝まで宮本と坂井の後ろを走ることになったことには「僕より勢いのある人がどんどん出てきて、『負けない』という気持ちでいたんですけど、向こうのほうが強かったです」。冷静に自分の立ち位置を分析した。

決勝で胸を突き出してゴールする(左から)宮本、高橋、坂井

来年の日本選手権も、医学の勉強も

愛知医科大の6年生である高橋は、いま1カ月間住み込みで実習をする「学外実習」の真っただ中。勉強との両立について聞くと、「いろいろ工夫しないといけないところもあるけど、自分の中でうまくやれているので、そこまで苦ではないです」と言った。学校での授業があるときは大学の部活で、現在のような学外実習の際には一人で練習に取り組む。「一人の場合はとくに、サボろうと思えばいくらでもサボれます。でも、陸上が好きなので。趣味と言ったら語弊があるかもしれませんが、好きなことだから、ここまでできてるというのはあると思います」。好きなこととはいえ、トップレベルに至るのは並大抵のことではない。

来年の日本選手権に向けて、高橋はさらにスピードを磨く

高橋は2016年から3年連続で日本選手権に出た。とくに2017年は決勝に進み、サニブラウン・ハキーム(当時東京陸協~フロリダ大)、桐生祥秀(当時東洋大学~日本生命)、山縣亮太(セイコー)らと走り、7位だった。昨年は準決勝で敗退。今年は出場資格がない。「今日やっと、来年の日本選手権の出場資格を得られました。(編集部注:参加標準記録Aは10秒40以下)来年はうまくいけば研修医1年目なんですけど、タイミングが合えば日本選手権に出たいと思います」。医学部で学びながらスポーツに取り組む学生は、大学卒業を競技生活の一つの区切りにしているケースが多いが、高橋はまだ先を見すえている。

「競技としては、来年の日本選手権までは続けたいと思ってます。研修先は今の大学の大学病院を希望しているので、環境もそこまで変わらないと思いますし。でも、学生と医者では、責任も大きくなるし立場がぜんぜん変わると思います。患者さんにも『学生時代に走ってばかりだった人に診てもらいたくない』とは言われたくないので、勉強もしっかり頑張ってます」。来年2月には医師国家試験を控えるが、5年生から対策を進めているので、気持ち的には余裕があるという。

東京オリンピックの可能性も捨てない

勉強も、好きな陸上も手を抜かない。高橋はさらに上を目指す

彼が見すえているのは、実は、日本選手権のその先だ。「東京オリンピックに少しでも参加したいな、という気持ちがあります。今回から選考方法が変わってしまい、海外のレースを転戦する必要があるポイント制になったので、それは自分には難しい。日本選手権はオリンピックの最終選考も兼ねているので、決勝に残って、オリンピックへの可能性を少しでもつなげればと思います」

医者として何を専門にやりたいのか尋ねてみた。「ざっくり言うと、内科的なことに興味があるんですけど、研修医のときにすべての科を回るので、そこで自分に合うところを見つけていきたいと思ってます」

現役の医師が、日本選手権の決勝で走る。そして、もし「日本一速い医師」が誕生したら。来年の日本選手権が、いまから楽しみになってきた。

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