陸上・駅伝

特集:第103回日本陸上競技選手権

早大競走部105代キャプテン・西久保達也 スピードを磨き、中距離でさらなる高みへ

電光掲示板を見て苦笑いする西久保

第103回日本陸上競技選手権 第2日

6月28日@福岡・博多の森陸上競技場
男子800m決勝
1位 クレイアーロン竜波(相洋高3年)1分46秒59
2位 川元奨(スズキ浜松AC)1分46秒78
3位 西久保達也(早稲田大4年)1分48秒32

陸上の日本選手権は2日目に男子800mの決勝があり、昨年まで6連覇していた日本記録保持者の川元奨(スズキ浜松AC)を振り切って、クレイアーロン竜波(たつなみ、神奈川・相洋高3年)が1分46秒59の自己ベストで優勝し、高校記録とU20日本記録を更新した。大学生では西久保達也(早稲田大4年、埼玉・聖望学園)の3位が最高だった。

クレイアーロンと川元が引っ張った

レースははじめから川元が先頭に立ち、クレイアーロンと西久保がそれに続いた。400mの通過は53秒。600mから川元、クレイアーロン、西久保がスパートし、最後は川元とクレイアーロンの一騎打ちに。ホームストレートでクレイアーロンが川元を抜いてトップになると、そのままゴールへ。西久保は第3コーナーで2人に離され、3位だった。西久保は電光掲示板を見ると、思わず「お手上げ」の仕草をした。

「クレイアーロンくんはすごいですね。いやー、かなわない! というのがちょっと出ちゃいました」。レース後、西久保はそう振り返った。川元とクレイアーロンがレースをつくるだろうと見て、それにうまく乗っていって順位がついてくればいい、と思ってレースをすすめた。日本選手権に向けて調子を合わせてこられて、前日、今日とすごくいい調子で、二人を利用していいタイムが出せればいいな、とも思っていた。「いま持ってる力は出せたかなという感じです。雨もやんで、記録を出せるようないいコンディションだったので、これで出せなかったのはちょっと痛いですね。47秒台(自己ベストは1分48秒13)が出したかったです」

レース展開はほぼ予想通り。ただ、前の2人が速かった(撮影・松永早弥香)

3位という結果には「表彰台は狙ってたので、順位の面では及第点かと思いますけど、できればタイムを伴っての勝ちというところを目指してました。うれしさ半分、悔しさ半分という感じですね」。何度も、タイムを出せなかったことへの悔しさを口にした。

ラストのスピードを磨いて、もっと高みへ

西久保は早稲田大学競走部の第105代主将だ。チームで臨んだ関東インカレは、個人では優勝を狙っていたが、法政大のスーパールーキー松本純弥(1年、法政二)に一気に抜かれて3位に終わった。「今年は前半突っ込んでいって、どこまで粘れるかというレース運びが多かったんですけど、そうすると松本くんのように一気にまくってくる選手に使われてしまうなと思いました。なので600mぐらいまではイーブンでいって、ラストを上げていけるようなレースを心がけて練習したりしてました」。スピードを磨くために、400mが専門の選手と練習したりもしたという。

ラストは2人に離された。スピードの強化が課題だ

その成果もあったのか、以前より余裕も感じられた。「でも自分としては、ラストを上げてるつもりだったんですけど、追いきれないところがありました。まだキレが足りないな、と。ラスト勝負になっても競り勝てるだけの勝負強さを、400mの選手と競り合いながら磨いていければと思います」

西久保は7月末のトワイライト・ゲームズに出場予定だ。関東インカレのあとに右足のかかとを痛め、この日も「まだ実は痛くて、痛み止めとアドレナリンでごまかしてます」と苦笑いした。キャプテンとして、人間力でも結果でもチームを引っ張っていくために。西久保はさらに上を目指して走り続ける。

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