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特集:天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権

明大キャプテン佐藤亮 プロに負けた天皇杯で、プロ志望が再燃

キャプテンとして、フォワードとして。佐藤は果敢に攻めた

天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権2回戦

7月3日@神奈川・等々力陸上競技場
明治大 0-1 川崎フロンターレ

7月3日の天皇杯2回戦で、明治大学はJ1で2連覇中の王者、川崎フロンターレと対戦した。「J1を倒す」という目標を掲げて臨んだ大一番だったが、善戦及ばず0-1で敗れた。試合後のピッチには、涙で顔を濡らした主将・佐藤亮(4年、FC東京U-18)の姿があった。

後半はJ1王者相手に攻め抜いた

平日にもかかわらず、等々力には8031人の観衆が詰めかけた。明大はキャンパスからバスを出し、全校をあげて天皇杯の応援ムードをつくっていた。試合前から明大サイドのスタンドは盛り上がり、歴戦のフロンターレサポーターにも負けない盛り上がりだった。

明大の選手たちは大一番に堅くなったのか、序盤から押し込まれる場面が目立った。前半15分にはセットプレーからフロンターレFW知念慶(愛知学院大)がヘディングシュート。明大DFのクリアボールが味方に当たり、オウンゴール。なんとか0-1で試合を折り返すと、ハーフタイムには栗田大輔監督が「本質から考えろ。いつも通りプレスをかけろ」とゲキを飛ばした。

応援席には、普段サッカーを見ない学生たちもたくさん集まった

後半になると、明治の選手たちの動きは前半と見違えるように変わった。MF安部柊斗(しゅうと、4年、FC東京U-18)を起点に攻め込み、フロンターレの5本を上回る6本のシュートを放った。キャプテンの佐藤は縦横無尽に動き、守備面でも貢献した。しかしゴールは遠い。アディショナルタイムにはDF須貝英大(ひでひろ、3年、浜松開誠館)に決定的なチャンスが訪れた。ゴールの至近距離からフリーで打ったが、ゴール左へ1mほど外れた。直後に試合終了のホイッスルが鳴り、明大の挑戦は終わった。

改めて感じた総合力の差

試合後の佐藤は「この舞台でやれて楽しかった」と口にした。「うちは大学サッカーにとどまるようなチームじゃないというのが全員の共通認識としてありました。大学だけじゃなくてプロの世界に飛び込んで、プロに勝てるだけのチームを作ろうと話してきたんですけど、今日戦ってまだまだだなと思いました」。シーズンが始まるときに立てた目標は「J1のチームに勝つ」。それを目標に動いてきたが、チームとしての総合力の差を改めて感じたという。「でも、個人としてはパスやトラップ、ドリブルといった部分ではプロにも負けていないと感じられました。そこは少し自信になったところかなと思います」

試合終了直後、佐藤は悔し涙を隠すことなく応援席を見渡した

1失点で乗りきったGKやディフェンス陣については「まだまだ点をとられててもおかしくなかった展開で、本当によく守ってくれました。1点で抑えてくれたからこそ、FWの自分たちが点を取っていれば、もっと違う展開になったかもしれない。自分が決めきれなかったことが、改めて悔しいです」

もう一回このピッチに戻ってきたい

同じFWのレアンドロ・ダミアン(SCインテルナシオナル)や知念のプレーは、佐藤の刺激になったようだ。「ボールのおさめ方、反転の仕方や抜け出し方が本当にトップクラスの選手だなと思いました。いつか自分もああいう選手にならなきゃ、というか、いまなっててもおかしくない年代だと思うので、そこの差を1日でも早く埋められるように、一個人としてやっていきたいです」

「プロ」が明確な目標へ。天皇杯は佐藤にとってターニングポイントになった

佐藤は飲料メーカーの内定をもらっている。この試合の前までは、就職しても後悔はないと思っていたという。しかしフロンターレに負け、気が変わった。「ここで負けて、このままサッカーをやめていくのは情けないと思いました。もう一回このピッチに戻ってきたい、という気持ちがすごくあります。プロの世界に飛び込みたいです」。今後はチームとしてのレベルアップを図るのはもちろん、個人としてJ1のクラブの練習にも参加していきたいと語った佐藤。プロに本気で勝ちにいったからこそ、負けたキャプテンの心に火がついた。

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