バレー

関大女子バレー川西花菜子、「人のために」の精神でチームを強くする主将

勝って喜ぶ川西(左端)とチームメイトたち

昨年の春、関大の女子バレー部は関西1部リーグを制覇した。あの歓喜をもう一度。新体制のチームを引っ張る主将はセッターの川西花菜子(4年、四天王寺)だ。春季リーグは総当たりで全11試合。関大は春の2連覇を目標に掲げて挑んだ。

勝っても簡単に満足せず、課題を見つける

開幕3連勝を果たしたが、4戦目の帝塚山大戦では相手にリズムをつかまれた。1部に昇格してきたばかりの同校に苦戦することは、優勝を目指す関大にとって想定外だった。セットを取られては取り返したが、後手に回った関大は最後まで追い抜けなかった。4回生のいない若いチームに負け、「ほんまに悔しいです」。川西もリーグ初黒星に肩を落とした。

だが、負けを引きずるわけにはいかない。主将としてチームを鼓舞し、前を向かせる川西。次の大院大戦ではセット終盤で粘り、3-1で勝った。しかし、川西は内容が気に入らなかった。「はっきり言うと、よくない試合内容でした」。チームの可能性を誰より信じている川西だからこそ、選手一人ひとりのよさを本当に引き出せているのかどうか、考え抜く。勝っても喜ぶだけではなく、常に冷静にチームの状況を見て、課題を見いだした。試合ごとに研究を重ねて、少しずつ修正する。その努力は実を結ぶことも、「まだ足りない」とばかりに跳ね返されることもあったが、それでも試合を重ねるごとに粘り強いプレーが増え、チーム力は確実に上がっていった。

主将への感謝を胸に輝いた後輩たち

最終戦の相手は京都橘大。この時点でリーグ2位と、関大の上をいくチームだった。3位の関大はセット率で勝っても2位には上がれない状況だったが、最後は絶対に勝って笑顔で終わりたかった。守備で支える4回生に応えるように3回生のスパイカー陣が躍動。「勝ちたい」という気持ちが前面に表れ、3-1で勝った。

丁寧にトスを上げる川西

リーグ戦の個人表彰には新人賞に升谷未来(1年、金蘭会)が、ベストスコアラー賞に原幸歩(3年、誠英)が輝いた。リーグ通してチームに大きく貢献した二人は、ともに川西主将への感謝を真っ先に口にした。「花菜子さんが『升谷に絶対新人賞取らしてあげよう』って言ってくれて」と升谷。原も得点トップに立ったときに「トスいっぱい持っていくから、思いっきり勝負してや」と、川西に励まされたことを口にした。思えば、この春卒業した前主将の服部愛果(金蘭会)も川西のことを「誰かのためにというのが一番強い選手」と話していた。誰よりもチームのためにプレーし、行動した主将の姿を見て、その思いの詰まったトスを打ちきろうと、関大スパイカー陣は躍動した。

関大初、西日本インカレ4強をもぎとった

リーグ最終戦から約1カ月が過ぎ、迎えた西日本インカレ。決勝トーナメントに進み、関大女子として初の「ベスト4以上」を目指して順調に勝ち進んだ。慣れない広島の地で試合を重ねるごとに状態を上げ、試合前の練習では部員全員が歴史を超えるために「凌駕」と印刷されたTシャツを着て士気を高めた。そして準々決勝。川西の思いの乗ったトスを後輩のスパイカーたちが次々と相手コートにたたきこむ。連戦の2試合目ということもあり、体力面での心配もあったが、それを一切感じさせない全力プレーを披露した。

歴史を凌駕する準備はできていた。広島文化学園大にストレート勝ちすると、コート中央には歓喜の輪ができた。「もうなんて言ったらいいんだろう。頑張ってきてよかった!」と、川西は喜びをかみしめた。翌日の準決勝では優勝した鹿屋体大に敗れたが、収穫の多い大会となった。

川西(前列中央)のもと、女子バレー部はさらにパワーアップする

川西率いる女バレは喜びも苦しみもたくさん経験し、少しずつ強くなった。これから夏を越え、秋リーグを迎えるころ、チームはどんな進化を遂げているだろうか。さらにパワーアップする関大から目が離せない。

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