陸上・駅伝

駒大・山下一貴 3回目の箱根駅伝2区で快心の走りを見せる

5月の関東インカレ2部ハーフマラソンで、山下は2位に入った(撮影・藤井みさ)

駅伝シーズンを前に、各大学は夏合宿に取り組んでいます。駒澤大学は8月16日から22日まで、野尻湖で全体の1次合宿を実施しました。4years.編集部はこの合宿を取材し、陸上部のみなさんに話を聞きました。今回は2年連続で箱根駅伝2区を走った山下一貴(4年、瓊浦)です。

駒大・中村大成 流れを変える走りで優勝を引き寄せる

前半シーズンは「微妙な結果」

5月の関東インカレ男子2部のハーフマラソンで2位に入った山下。今季の調子はいいのかと聞くと「最初は全然よくなかったです」と切り出した。「冬にアメリカ合宿に行って、戻ってきて血液の状態がよくなったんですけど、その後立川(学生ハーフマラソン)のときはあんな微妙な結果(7位、1時間2分36秒)で……。それから2カ月すごく調子が悪くなってしまいました。そこで関カレを迎えて、だいぶ不安のある展開でした」

関東インカレの日は5月だが30度を超える過酷な気象条件。スローペースでレースが進んだことに助けられたという。「ハイペースだったら入賞も厳しかったと思います。12kmぐらいで先頭集団の一番うしろになって、めちゃくちゃきつくて……もう離れてやろうかとすら思ったんですけど、なんとかつけました。走り込んではいたので、地力の差が出たかなとは思います」

山下は中村大聖、中村大成とともに大八木監督から「エース」と言われている(撮影・藤井みさ)

その後、徐々に調子を戻してきて、7月のホクレン深川大会では10000mで28分54秒32。本人的にはまだ本調子だとは思っていないので、「ぎりぎりまとめたって感じです」という。「この夏合宿の練習でも、神戸(駿介、3年、松が谷)、田澤(廉、1年、青森山田)、石川(拓慎、2年、拓大紅陵)に助けてもらってます。『引いて』って言ったりして(笑)。ここでもうちょっと上げていきたいです」

今度こそノーミスで2区を

山下は2年生のときから2年連続で箱根駅伝の2区を走っている。やはり、箱根に対しては特別な思いがある。「やっぱり沿道の人も多いし、他の駅伝とか試合にはない雰囲気があると思います」。しかし2年生時には10人以上に抜かれて「相当やらかしました」。

3年時は1区を走った片西(景、現・JR東日本)が中継所に到着したときに、待機場所にいないというハプニングがあった。「あれは完全に自分が悪いです。テントで中継を見ていて、数秒タイムラグがあったのにも気づいてなくて……。でも走りには影響しませんでした。走り出したらすぐ後ろに土方(英和、國學院4年)がいて、その時同じぐらいの実力だったから一緒に行けば大丈夫という気持ちでいきました」。来年も2区を走りたい? 「もし走らせてもらえるのであれば、ノーハプニングでいい走りをしたいです」

昨年の全日本大学駅伝でアンカーを走り、区間2位だった(撮影・松嵜未来)

今後の目標を聞いてみた。「1回ぐらいは区間賞がほしいですね。いままで全日本大学駅伝の区間2位(2018年、8区)が最高なんで。でも相澤(晃、東洋大学4年)には勝てる気がしないんで、彼には違う区間を走ってほしいですね(笑)」と冗談交じりに教えてくれた。タイム的な目標を聞くと「2区の駒澤記録を超えたい」という。これまでの記録は、91回大会で村山謙太(現・旭化成)が出した1時間7分46秒。今年の山下のタイムは1時間8分09秒だった。「前回は気候もよくて走りやすかったからいい記録が出たっていうのもあるんですけど、来年どんな気候かわからないですけど、やっぱり村山さんの記録を超えたいですね」

毎年少しずつ成長を実感

山下は上りが苦手だという。「苦手というかめちゃくちゃきらいです。2区を2回走って次は5区候補、なんて言われたりもしてますけど、絶対にないです! 断言できます(笑)」。でも2区にも上りがありますよ、というと「全然上れてないです(笑)。藤田さん(敦史、コーチ)からアドバイスをもらって、行くべきところ、抜くところを教えてもらいました」

強気な発言をしたかと思えば「勝てないと思う」と言ったり、素直な彼の人柄がそのまま垣間見えた(撮影・藤井みさ)

アップダウンのある野尻湖の周回コースを何度も走るこの合宿も「すごく苦手」だという。「去年もAチームで1回目の距離走で離れて、Bチームにいって大丈夫で、Aでまた離れてを繰り返してました。今年は最初からAで離れずいけたので、調子がよくないにしても成長は実感してます。歳を重ねるごとにできるようにはなってると思います」

これから本来の調子を取り戻したいと言った山下。夏合宿を経て、秋にはさらに強くなった彼を見られるだろう。

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