駒大・中村大成 流れを変える走りで優勝を引き寄せる
駅伝シーズンを前に、各大学は夏合宿に取り組んでいます。駒澤大学は8月16日から22日まで、野尻湖で全体の1次合宿を実施しました。4years.編集部はこの合宿を取材し、陸上部のみなさんに話を聞きました。今回はエースとしてチームを引っ張る存在の4年生、中村大成(東北)です。
練習のし過ぎでうまくいかなかった前半シーズン
大八木監督が「チームを引っ張るのは、中村大聖、中村大成、山下一貴の3人」と名指しするうちのひとり、中村大成。今季は4月6日の世田谷記録会5000mで14分07秒06、2週間後の日体大記録会で10000m29分04秒05を出し、ともに自己ベストを更新した。今季の調子はいいように思えるが、本人は納得していない。「練習ではもっとよかったんです。最低でも13分台、28分台が出せるかなと思ったんだけど、それがいま一歩届かなかった。そこは反省点だと思います」。本番で条件が悪かったのだろうか。「いい練習ができすぎてしまって、前半戦は特に疲労が抜けきれなかったです。どうしてもやりすぎちゃうところがあるので、もうちょっと自分の体をわかってやらないといけないと思います」
今年に入って力がついてきたと自分でも感じられ、いい練習をできる機会が増えてきた。4年生ということもあり、もっとやらなきゃいけないかなという気持ちが先に立ち、結果的にやりすぎてしまう、ということが多かったという。「大八木監督からも頑張りすぎって言われます」。監督から言われるとは、相当なものだ。
絶対優勝しないといけない
中村は昨シーズン、3年生で初めて全日本大学駅伝と箱根駅伝を走った。「でも箱根の予選会があったので、あんまり『初』という感じはなくて、特に箱根は全然緊張せずに挑めました」。箱根の予選会では、駒澤の上位10人が30位以内に入るという圧倒的な成績をおさめた。あの速さでの集団走はすごかったですね、と言うと「意外とできちゃいました」と振り返る。
箱根では6区を走ったが、これは1年ほど前からすでに言われていたという。「都大路の時も4区を走ってましたし、下りが得意というよりは上りが苦手なんです。6区の急坂は最初戸惑いもありましたけど、何回かやっているうちに慣れました。それよりラスト3kmの平地がきつかったですね」。走ってみたい区間は? と聞くと「また6区って言われたら全然いきますけど、4区とか9区とか……勝負できるような準備はしてるつもりです」。練習をしっかりする男だからこそ言える言葉だ。
改めて、今後の目標を聞いてみた。「大学生活最後の年で、いままで期待に応えられなかったりということもあったので、この1年は結果を見せなきゃいけないと思ってます。チーム目標は三大駅伝3位以内ですけど、優勝は絶対しなきゃいけないと思ってます。いいチームメイトに恵まれてるので、できると思います。4年生がまとまっていてすごくいい雰囲気で、3年生のけがが治ってくれば去年より全然強いチームだと思います。あと半年は勝つことにフォーカスして、いろんな人に恩返ししていきたいです」。
個人的にタイムを狙ったりは? 「タイムも狙いたいけど、昔から狙っていくとダメなタイプなので(笑)、チャンスがあれば考えたいですけど、しばらくは駅伝に集中します」。意識するのは、東海大の選手。彼らに勝てれば、優勝が近づくと考えている。
「栄」「東北」と呼び合ってます
どうしても気になっていたことがある。チーム内に、しかも同学年に「なかむらたいせい」が2人いて、どうやって呼び分けているのか……? ということだ。本人に聞いてみると「(埼玉)栄」「東北」って高校名で4年間呼び合ってます」という。実は高校1年の時、最初に走ったレースで一緒だったという。それから両校とも都大路に出場するので、なんとなく知っていた。「高3のときにどこの大学行くの? って聞いたら一緒で……それ以来ずっとですね(笑)」
「山下、栄(中村大聖)とともに区間賞を取り、流れを変える走りをしたい」と語った中村。大学ラストイヤー、さらにレベルアップした走りを見せてくれるだろう。