駒大・伊東颯汰 チームの中心になるような走りを見せたい
駅伝シーズンを前に、各大学は夏合宿に取り組んでいます。駒澤大学は8月16日から22日まで、野尻湖で全体の1次合宿を実施しました。4years.編集部はこの合宿を取材し、陸上部のみなさんに話を聞きました。今回は昨年全日本、箱根を走り、現3年生の中で一歩抜き出た成績を残した伊東颯汰(大分東明)です。
予選会、全日本、箱根を経験して変わった
伊東は昨年の箱根駅伝予選会で全体の21位と好走。それまで距離に対する苦手意識があったというが、積極的にレースを進められて苦手を克服できたという。「予選会で走れるようになってきて、全日本で初駅伝。みんなが駅伝をどういう感覚で走ってたのかというのがわかって、いい経験になって箱根につながりました」。箱根駅伝では5区を走ったが、走ると決まったのは直前だったという。戸惑いはなかったのか。「自分の中ではずっとやれると思って走ってきました。(5区に)エントリーしてる選手の中でも、自分が10000mのタイムが一番速かったんで、それを自信にしてスタートラインに立てました」
実際に走ってみた感想は? 「後ろから監督の声を聞きながら走るのが初めての経験だったので(笑)、不思議な感覚はありました。いつも以上の力が出せたんじゃないかなと思います」。登りは得意ですか? 「得意な方なんじゃないかなと思います」。伊東は國學院大學の浦野雄平(4年、富山商)と競り合いながら山を登った。この時なんと、運営管理者の大八木監督から浦野に対しても檄が飛んだという。「それで浦野さんのペースが上がって、自分はけっこうキツくなってました(笑)。結局やられちゃいました」。他校の選手に対しても目を配る、大八木監督らしいエピソードだ。
壁にぶつかった前半シーズン
箱根以降、今シーズンの調子はどうだろう。「2月の丸亀ハーフマラソンではけっこういい感じで走れて(1時間3分08秒で38位)、その後の学生ハーフもよかったんですけど(1時間2分47秒で9位)、そのあとがあんまり……。関東インカレは5000mも1000mも15位で、両方とも不甲斐ない結果で終わりました。特に5000mは田澤(廉、1年、青森山田)が上位の方で走った(7位、日本勢2位)のに、自分はそれについていけてなくて。コンディションの上げ方がうまくできてませんでした」。2年までは、「とりあえず走ればそれなりのタイムが出る」という状態だったという伊東。3年になって初めて壁にぶつかった状態だ。「練習できてなかった分、結果がついてこなかったです。負けちゃいけない選手にも負けてて……。ここから夏合宿を越えて、しっかり走れるようにしたいです」
エースになれる力はある
今後の目標をたずねた。「駅伝では3位以上を目指してます。優勝も目指したいです。去年は4位、4位(全日本大学駅伝、箱根駅伝)だったので、それをしっかり超えたいという気持ちです。個人的にはこの区間を走りたいとかは特にないですけど、区間賞は取りたいですね」。自分の中で強みとしているところは「粘れる方」だという。「粘って最初から攻める走りをする。そういうところは、他の人には負けたくないです」
駒澤の3年生には5000mのタイムでチームトップの記録をもつ小嶋海斗(市船橋)、同期トップの実績で入学してきた加藤淳(西脇工)などもとから力のある選手が複数いるが、なかなかブレイクしきれていない印象だ。同学年の雰囲気はどうですか? と聞いてみると「本来の力が出れば4年生に劣っていないぐらいの力を持ってると思うので、それを最大限に生かしてほしいと思います。いま調子がよくない選手が何人もいるんで、その選手たちがしっかり上がってくれば自分たちがエースになれるぐらいの力はあるのかなと思います」と頼もしい。
3年生の中でも伊東選手のいまの実績は少し抜き出ていますよね、と話を向けると「来年は自分を中心にチームを引っ張っていけたらいいなと思います」と、エースとなる自覚をにじませた。「後輩ともコミュニケーションを取って、練習でも何がよくて何がダメだったかというのをしっかり言うようにしています。後輩たちがそれを感じてくれて、チームとしてもどんどんプラスになっていけばいいかなって思います」
4年生だけではない。伊東の成長が、チーム全体の底上げにつながるのは間違いないだろう。