大学サッカー

法政サッカーMF森俊貴、監督の期待に応える決勝ゴール  総理大臣杯準決勝

準決勝で決勝ゴールを決める森(すべて撮影・安本夏望)

第43回総理大臣杯全日本大学トーナメント

9月5日@大阪・ヤンマーフィールド長居
準決勝 法政大(関東第5)1-0 大阪体育大(関西第4)

総理大臣杯の準決勝で法政大(関東第5代表)は昨年準優勝の大体大(関西第4代表)を1-0で破った。決勝は9月7日、2年前と同じカード。法政はそのとき以来の優勝をかけ、連覇を狙う明治大(関東第1代表)とぶつかる。

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左足で豪快な決勝ゴール

途中出場の法政MF森俊貴(としき、4年、栃木SCユース)が、無邪気な笑顔で喜んだ。後半25分、FC東京への入団が内定しているMF紺野和也(4年、武南)が右からサイドチェンジしたボールが森へ。森は縦にちょんと出して、左足を振り抜く。豪快なシュートがゴールネットを揺らした。「和也が100点のボールをくれたので、ぴったり合わせられました」。森の今大会初得点で、法政が2年ぶりの決勝進出を決めた。

「ほんと、奇跡です」。報道陣の前に現れた森は、こう言った。だが、森のゴールの裏には、ある計算があった。就任5年目の長山一也監督は後半18分、満を持して森をピッチへ送り出した。これまでの試合から、後半になると大体大の右サイドバックの守りがルーズになることがあると分かっていたのだ。そこへぶつけた森が満額回答の決勝ゴール。「彼は素晴らしい。よくやってくれた」。長山監督は手放しで森をたたえた。

報道陣の前で森(中央)は「奇跡です」と謙遜した

情報科学部で学び、サッカーも就活もやりきった

森は法政サッカー部では数少ない「理系アスリート」。情報科学部で学んでいる。神奈川県相模原市にある練習拠点から情報科学部のある小金井キャンパスまでは、原付バイクと電車で1時間半かかる。1限のある日は、朝練を早退する。入学してすぐの春学期。森は「体育会に入ってたら成績も優遇されるだろう」と思い込んでいたという。すると、まさかの9単位。「やばい……」。焦った。2年生になり、一つ下に同じ学部のDF村松正規(3年、藤枝東)が入ってきた。「背中で示そう」と思い、プログラミング言語の「C言語」を必死で覚えた。「ほかの部員より忙しいし、勉強も難しいです。でも、サッカーだけじゃない価値を高めることができました」と誇らしげに言った。何とか卒業できるメドもついた。

就職活動との両立もやってのけた。森はJリーグの複数のクラブから注目されていたが、昨冬のオフに「就活をしてみたい」と方針転換。周囲より遅い今年2月から始め、4月に都市銀行から内定をもらった。受けた企業はたった2社。それも「サッカーと両方を頑張りたい」と考えてのことだ。内定した企業にはサッカー部もあり、競技を続ける可能性もある。「いまはとにかく法政で結果を残していくだけです」と、淡々と語った。

試合では監督の期待に応え、試合後は仲間の“期待”に応えた

副キャプテンで、今大会ではキャプテンマークを腕に巻く。この日の試合後にはスタンドから彼の名前が呼ばれ、恒例の一発芸を披露。左手で髪の毛をグッとかき上げ、おでこを出して踊った。「“はげキャラ”でいつもいじられてるんです」と、照れくさそうに笑った。控え選手ら30人あまりの応援団の声援も励みになっている。「天皇杯で勝ち残ってることもあって、下馬評は高いと思います。その期待にも応えられるように、チーム一丸で優勝したい」

夏の日本一をゲットして、天皇杯やリーグ戦、そして冬のインカレ連覇へと弾みをつけたいところだ。法政の背番号14は、決勝でも決定的な仕事をやってのけるのか。

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