大学陸上・駅伝

特集:第88回日本学生陸上競技対校選手権

名大の理系ハードラー・小田将矢 悔しさをバネに挑んできた6年間

小田は万全の状態で最後の日本インカレに臨んだ(撮影・安本夏望)

第88回日本学生陸上競技対校選手権 男子400mH決勝

9月15日@岐阜メモリアルセンター 長良川競技場
2位 49秒83 小田将矢(名古屋大学大学院修士課程2年)

陸上の日本学生対校選手権(日本インカレ)最終日の9月15日、400mハードル(H)の決勝があり、法政大の豊田将樹(4年、洛南)が49秒39で優勝した。2位には名古屋大学大学院修士課程2年の小田将矢(滝)が続いた。「予選から調子のよさがあったので、決勝にいくときもなんの不安もありませんでした。最後のインカレだったので優勝したかったです」。小田は悔しさをにじませた。

名大の「理系ハードラー」コンビ、一緒に跳び続けて11年目の日本選手権決勝

名大医学部の真野と競い合ってきた11年間

豊田は9月27日からドーハで開催される世界選手権に出場する。その豊田ともに世界選手権を目指していたのが、名大の「理系ハードラー」コンビの小田と真野悠太郎(5年、滝)だった。自己ベストは小田が49秒60、真野が49秒50。世界選手権の参加標準記録(49秒30)突破を狙い、9月1日、最後のチャンスとなる富士北麓ワールドトライアルに挑んだ。結果は真野が50秒18、小田が50秒90。レース後、真野は「調子は悪くなったんですけど、思うような動きができませんでした」と言い、小田は溜まった疲労もあってか、仰向けになったまましばらく動かなかった。

それから約2週間。小田は疲労回復に努め、最後の日本インカレに臨んだ。予選は50秒06、準決勝では50秒04でともに1着通過。優勝に向けての準備は万端だった。迎えた決勝。第6レーンに小田、そして第4レーンには真野。小田はスタートで飛び出し、1台目のハードルは豊田よりも速く飛び越えた。しかし後半につれてハードリングで細かいミスが続いてしまい、失速。49秒83でフィニッシュした。真野は50秒83で4位だった。

小田(右)と真野は何でも言い合える仲。互いの存在が刺激になっている(撮影・藤井みさ)

小田と真野は中学生のときからともに競技を続け、今年で11年目の仲だ。小田は工学研究科修士課程2年、真野は医学部医学科5年。1学年の違いはあるが、同じ大学、同じ理系、そしてともに日本トップレベルの実力ということもあり、互いを意識しながらここまでやってきた。「やっぱり小田さんには負けたくない」と真野が言えば、「僕の調子がよかったら負けないです」と小田。多忙な毎日にも関わらず高いレベルで競技を続けられたのは、互いの存在があってのことだった。

東京五輪への挑戦、大学院での日々がきっと生きる

小田にとって忘れられないレースがある。高校3年生の東海高校総体、小田は7位にとどまり、インターハイ出場を逃した。これが高校最後のレースとなった。この決勝に当時2年生だった真野も出走し、4位でインターハイ出場をつかんだ。小田の悔しさが痛いほど伝わったからこそ、真野は代表として走る責任を痛感したという。大学最後の日本インカレを前にして、あのレースを思い出すことはあったか? そう小田に尋ねると「あの悔しさはいつまでたっても、陸上を続ける上での原動力なので」と笑顔でこたえてくれた。悔しさをいま、力に変えている。

小田(右)はスタートでは豊田(左)をリードしていたが、後半にミスが続いて失速した(撮影・藤井みさ)

小田は来春、修士課程を終えて自動車部品メーカーに就職する予定だが、社会人になっても競技を続ける。「時間的な余裕がなくなると思いますけど、大学院のいまでも余裕がある環境ではないので。大学院の2年間で積み重ねてきた時間の使い方や過ごし方は、今後にも生きてくると思ってます」と小田。

小田が目指す東京オリンピックの参加標準記録は、48秒90とさらに険しさを増す。それでも「できれば今シーズンのうちに48秒90を切っておきたいんですけど、そうでなくても、来シーズンには必ず手が届くであろうというレベルにまで持っていきたい」とさらなる高みを目指す。

豊田は日本インカレでのレース後、真野のツイッターを通じて名古屋大の二人に苦しめられたこと、また勝負できることを楽しみにしていることを伝えていた。学生日本一をかけた勝負では豊田に敗れた。東京オリンピックをかけた勝負では、どうだろうか。

日本インカレでの悔しさもきっと、小田の今後の原動力になるだろう(撮影・藤井みさ)

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