日本インカレ100m 男子は筑波・東田旺洋、女子は日体・湯淺佳那子が制す
陸上の日本学生対校選手権(日本インカレ)2日目の9月13日、100mの決勝があり、男子は筑波大大学院修士課程2年の東田旺洋(あきひろ、奈良市立一条)、女子は日体大4年の湯淺佳那子(広島皆実)がともに初優勝した。
万全の状態で臨めた東田、ガッツポーズでゴール
男子100mは優勝候補と目されていた坂井隆一郎(関西大4年、大阪)と宮本大輔(東洋大2年、洛南)がそろって欠場。優勝争いはまったく分からなくなっていた。東田はほぼ完璧なコンディションで臨め、決勝の前には「10秒2台は間違いなく出る」という自信があったという。そして決勝、東田はスタートよく飛び出すと、そのままグングン加速。ゴール手前で勝利を確信すると、右腕を岐阜の空に突き上げながらゴールした。
決勝では30~50mでの二次加速できっちり走ることを課題として臨んだ。イメージ通りのスタートができ、その勢いのまま後半につなげる走りができた。東田は「もう少し追い風が吹いてたら10秒1台。追い風2mぐらいあったら10秒0台に近いタイムも出たんじゃないかな。風なしで10秒26はまぁ、十分かな」。晴れ晴れとした表情で語った。
決勝には筑波大の後輩である山下潤(4年、県立福島)も出場。10秒43で4位だった。レース前はとくに言葉は交わさなかったそうだが、レース後の山下は「おめでとうございます」と、笑顔で先輩をたたえた。山下のメイン種目は200m、勝負はまだ続く。
追い詰められていた主将の湯淺は涙、涙、涙
女子100mを制した湯淺はゴール直後に涙を流した。「うれしいだけです。決勝はリラックスして走ろうと思って。スタートで出られたので『このまま、このまま』と思って力まずに走れたので、今日は100点のレースができたかなと思ってます」。その言葉が震えていた。
7月にイタリア・ナポリで開催されたユニバーシアードの100mは予選敗退に終わり、その後の練習ではチームメイトに負けることもあったという。今回の日本インカレで2連覇のかかっていた400mリレーは準決勝敗退となり、チームメイトも思うような結果を出せていなかった。主将として絶対自分が決めないといけない。意気込みの一方で、追い込まれていた。すると大会直前、やっと課題だったスタートに手応えが。「スタートから出よう」と決め、繰り返し練習してきた後半の伸びを自信にレースに臨み、優勝を手にした。
この喜びを誰に伝えたいですか? 「まずは家族に伝えたいです」と、笑顔が戻った。