ラグビー

筑波ラグビー「打倒明治」で結束 慶應に勝利し、前半戦は1勝2敗

筑波大は前半戦、明治大と早稲田大に敗れたものの、慶應義塾大に勝利し、1勝2敗で5位につけている

関東大学ラグビー対抗戦Aグループ

8月31日@サニアパーク菅平
第1節 筑波大(1敗) 33-59 明治大(1勝)
9月8日@たつのこフィールド
第2節 筑波大(1勝1敗) 17-14 慶應義塾大(1勝1敗)
9月15日@ケーズデンキスタジアム水戸
第3節 筑波大(1勝2敗) 8-52 早稲田大(3勝)

怒涛の3連戦を終えた。9月20日に開幕したラグビーワールドカップの影響で、関東大学対抗戦は変則的な日程で実施されている。ワールドカップ前となった3戦、筑波大はいきなり明治大、早稲田大、慶應義塾大の「伝統校」とぶつかった。

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明治に敗れるも「このチームの可能性を感じた」

今シーズンは昨年日本一の明治をターゲットに絞った。対抗戦前、主将の杉山優平(4年、大阪桐蔭)は「昨年までは早慶明のどこかに勝てばいいという雰囲気を感じてました。今年は、昨年日本一の明治に勝つイメージをすることで、いい緊張感の中、トレーニングを積めてます」と意気込んでいた

迎えた初戦。相手はその明治だった。嶋崎達也監督は「明治大はアタックのレベルがとても高い。筑波はディフェンスの時間をなるべく減らして、攻撃の時間を増やさないと勝てない」と分析した。序盤はその作戦通り、筑波はポゼッションを高めてゲームを進めた。シーズン当初から取り組んできた接点でFWが戦えたことや、重量級の明治スクラム相手に互角に張れたことが大きかった。HO安里大吾(3年、名護)は「意識してきた低く、まとまったスクラムで相手を抑えることができた」と話した。

先制トライこそ奪われたものの、FB松永貫汰(2年、大阪産業大附)の活躍が光り、連続トライを奪って一時的にリードした。だが、短い時間でも確実にトライを決める明治を前に歯が立たず、再び追いかける展開に。後半もラインアウトからの攻撃と松永の巧みな走りで2トライをもぎ取るも、相手の攻撃を止められず、33-59でノーサイド。

ターゲットとしていた明治に敗れたが、「このチームの可能性を感じた」と杉山。だが試合明けのチームの状態は決してよくなく、明治に勝つためにやってきた分、切り替える難しさを感じていた。そこで第2戦の2日前、杉山は4年生を集めると気を引き締め直した。これが次の慶應戦で功を奏した。

慶應戦で「時間がある」と誤認、そこから始まった逆転劇

筑波は慶應相手に前半から粘り強いディフェンスを展開し、相手の最も得意とする縦の突破を幾度となく阻止した。0-7で折り返した後半、序盤に両者1トライずつ上げると、試合は拮抗した。筑波の粘りのディフェンスに34分、慶應はたまらずペナルティーゴールを選択。これを決めることができず、流れは筑波に傾いた。

38分にWTB島田悠平(4年、國學院久我山)がトライを決めて2点差。このとき杉山は「まだ時間がある」と勘違いし、それが冷静なプレーにつながった。ロスタイムにCTB岡崎航大(3年、長崎北陽台)が豪快なビックゲインを決めると、最後はWTB仁熊秀斗(3年、石見智翠館)がこれを沈めて、逆転サヨナラトライ。17-14。慶應からの勝利は2015年の全国大学選手権以来、対抗戦では12年以来となる大きな一勝を手にした。

主将の杉山はピッチの内外でチームを引っ張る

このまま勢いに乗りたい筑波は前半戦の最後の戦い、早稲田戦に乗り込んだ。しかし勢いとは裏腹に、試合は早稲田の一方的な展開となった。序盤こそ島田の約40mにも及ぶペナルティーゴールを沈めるなど互角に戦ったが、相手の多彩な攻撃と粘り強い守備に苦しめられた。

筑波は攻撃でもボールを保持できず、特にマイボールラインアウトでミスを連発。課題が残る試合となった。LO後藤海夏人(4年、茗渓学園)は「サイン選択とプレーの精度が低かった。ラインアウトのミスでチャンスを潰してしまった」と反省を口にした。

「昨年よりも間違いなく戦えている」

筑波は対抗戦の前半戦を1勝2敗の5位で終えた。上位校から1勝を上げたことで、4位までが進める全国大学選手権への切符はぐっと近づいたが、安心はできない。夏の練習試合では慶應が明治に勝利し、早稲田も帝京大に勝利するなど、各大学が高いレベルで競い合う。大学ラグビー界は群雄割拠の時代に突入している。

後半戦の初戦の相手は帝京だ。確実に全国大学選手権に進むために、乗り越えなければならない壁であることは間違いない。課題となったマイボールの時間を長くする努力とラインアウトの修正は必須だ。

今年のスローガンの「CHANGE」を慶應戦の勝利で示した。嶋崎監督は「特にFWのディフェンスがよくなった。課題はあるが、昨年よりも間違いなく戦えている」とチームをたたえた。ワールドカップ明けの後半戦に向けて、どんな変化を見せてくれるのか。1カ月後が待ち遠しい。

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