大学バスケ

大東大バスケのPG中村浩陸と拓人、1年だけの“兄弟共闘”で優勝へ切磋琢磨

秋季リーグに大学デビューを迎えた弟・拓人(右)と兄・浩陸(すべて撮影・青木美帆)

熱戦の続く関東大学バスケットボールリーグ戦で、大東文化大の中村拓人(たくと、1年、中部大第一)が大学デビューを果たした。U16、U18日本代表で活躍した身長184cmのポイントガード。鋭いドライブを起点とするオフェンス力と、小柄な相手も苦にしないディフェンス力を兼ね備えているだけに、入学直後から起用されても何ら不思議はなかった。しかし昨冬に受けた手術からのリハビリで出遅れ、7月にようやく実戦に戻ってきた。

「二人でプレーするのは楽しい」

大東文化大のキャプテンをつとめる中村浩陸(ひろむ、4年、中部大第一)は、中村の実兄だ。3学年差の兄弟がチームメートとしてコートに立ったことは、これまで1度もなかった。中村が大東大への進学を決めた理由は、西尾吉弘ヘッドコーチ(HC)の指導が受けたかったから。兄から誘われたわけでも、兄とのプレーを熱望した結果でもない。それでも「いつかは一緒にやりたいという気持ちは、けっこうありました。やっとそのときが来たなという感じです」と言う。“兄弟共闘”が、このリーグ戦でようやく実現した。

拓人はU16、U18日本代表でも活躍してきた

二人のポジションはともにポイントガード。浩陸がスタメンとして出場し、拓人がその交替でプレーすることが多いが、同時にコートに立つ時間もある。その際は、浩陸がポイントガードとして前線へのボール運びとゲームコントロールを担い、拓人がそれをサポートしつつ得点を狙う役割となる。

「二人でプレーするのは楽しい」と、兄弟は口をそろえる。浩陸は「ドリブルで縦に切る感覚が似てるんで、次のプレーがなんとなく分かる。『ここでパスがくる』と思いながら動けるし、逆に拓人がドライブしやすいようにスペースをつくることもできます」。兄の背中を追いかけて育った拓人には、一層その感覚が強い。「中学、高校とずっと兄貴のプレーを見てきたので、試合中も練習でマッチアップしたときも、どういうプレーをするかはだいたい分かります」と話す。

試合を見ていれば分かる仲のよさ

喜怒哀楽が激しく、はきはき言葉をつむぐ浩陸とは対照的に、拓人は高校の監督から「コートを離れるとまったく存在感がない」と言われていたほど自己表現が少なく、無口だ。9月18日の日体大戦では浩陸が拓人に大声で茶々を入れ、拓人はそれにほぼ無反応というシーンがあった。だが浩陸いわく、拓人は別に怒っていたわけではないらしい。「あれがあいつのいつも通りなんです」と、笑いながら教えてくれた。

浩陸はキャプテンとしてポイントガードとして、チームを支えている

前述の通り、性格は正反対。普段もほとんど会話がないにも関わらず、チームメートたちには仲のいい兄弟で通っているという。「コートでは兄弟という感覚はない」というのが二人の共通認識。しかし浩陸がディフェンスの最前列に立つと、拓人が背中から励ますように手をたたき、互いのナイスプレーは真っ先にたたえる。そんな様子を見ていると、仲間たちが彼らを「仲のいい兄弟」ととらえる理由がよく分かる。

第8節を終えた9月26日現在、大東文化大は7勝1敗で筑波大、東海大とともに首位に立っている。わずか1敗に泣いて優勝を逃したリーグ戦と、まさかの2回戦敗退に終わったインカレ。選手たちは昨年のリベンジに燃えて開幕を迎えたが、開幕節の青山学院大戦はその思いが空回りし、いきなりの黒星スタートになった。「このままではリーグもインカレも優勝はとうてい無理だぞ」という西尾HCの檄(げき)で己を取り戻し、第3節には東海大、第5節には筑波大と、リーグ優勝の最大のライバルたちを下してきた。

二人の司令塔が切磋琢磨すれば、もっと強くなる

とはいえ、22節にも及ぶリーグ戦はまだまだ序盤戦。昨年は2番手に甘んじていた浩陸と、ルーキーの拓人。二人のポイントガードの成長は、大東文化大の大願成就に必要不可欠なピースだ。「いいところもダメなところも言い合って切磋琢磨していけば、個人のレべルもチームのレベルもどんどん上がっていくと思う。僕のキックアウトから拓人にシュートを打たせるプレーや、僕ら二人でディフェンスを崩すようなプレーも増やしていきたいし、お互い成長していきたいです」。浩陸は行く末をこう思い描く。

初めての“兄弟共闘”、互いにいまこの瞬間を大事にしながらプレーをしている

中村兄弟が大学のチームメートとしてプレーできる時間は、実質2カ月強しかない。「兄貴が卒業するまでに、ガードとしてのプレースタイルやミスせずゲームをコントロールする姿勢を学びたいです」と拓人。そして浩陸は「こいつのレベルを上げるのも、僕の仕事の一つだと思ってます」と言い切る。

兄弟であり、チームメートであり、同じポジションのライバル。最初で最後になるかもしれない“いま”をかみしめつつ、チームの目標を果たすために進み続けてほしい。

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