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特集:第51回全日本大学駅伝

東北福祉大の主将・松田健汰 ただひとりの4年生がラストイヤーに伊勢路へ

松田(右から2番め)がチームをまとめ、総合力で全国をつかんだ(すべて撮影・藤井みさ)

第51回全日本大学駅伝対校選手権 東北地区選考会

9月26日@岩手・北上総合運動公園陸上競技場
1位 東北福祉大 5時間44分42秒
2位 東北学院大 5時間45分0秒
3位 仙台大   5時間51分37秒

第51回全日本大学駅伝(11月3日)の東北地区選考会が9月26日にあり、東北福祉大が7大会ぶり11回目の本大会出場を決めた。2位の東北学院大学とはわずか18秒の差だった。キャプテンの松田健汰(4年、上山明新館)は1位の賞状を受け取ると、ホッとした笑みを見せた。

総合力で勝てた

16kmと10kmのレースに各校4人ずつが出場し、8人の合計タイムで競う東北地区選考会。各校のエースが集う16kmに松田もエントリーした。着実にペースを刻み、全体の7位、52分30秒でゴールした。16kmのレースが終わった時点で、東北福祉大とトップの東北学院大学との差は1分57秒あった。10kmのレースでは、スタートから東北福祉大の三條拓士(たくと、3年、仙台育英)が先頭集団を引っ張り、1度も前を譲ることなくゴールに飛び込んだ。東北福祉大は出場7大学中で唯一、4人とも34分以内でゴール。終わってみれば東北学院大をわずかながら逆転していた。

全国への切符をつかみ、賞状を受け取る松田

「(逆転まで)1人が30秒(縮めればいい)。主力を投入していたので、いけるとは思いました。しっかり総合力で勝てたと思います」と、松田が振り返る。「前々回3位、前回4位と悔しい思いをしていたので、最後の年にみんなで力を合わせて全国に行きたいという気持ちが形になったのかなと思います。いま指導してくださる和気(恭平)コーチが7年前に出場して以来で自分たちが夢をかなえられたと思うと、感慨深いです」

唯一の4年生、下級生にも支えられて

東北福祉大男子駅伝チームは12人と人数は少ない。その中にあって、松田はただひとりの4年生だ。それも、入部当初から1人だったのだという。「やっぱり、同学年ならではの会話ができないのは、心寂しい部分もありました」と笑う。上の学年が引退し、キャプテンとなってからは苦労もあった。「選手と監督、コーチらスタッフの方々の意見が対立したことも多々あって……。その中でいかに監督やコーチが考えていることを正しく下の学年に伝えていくか、というのが難しかったです」。しかしこうも言った。「自分ひとりだけでは『キャプテン』は成り立たない。下級生が自分との仲を深めようとしてくれたりして、彼らの思いも自分の原動力になっています」

12人という部員数は、全日本大学駅伝に出場するチームの中でかなり少ない部類だろう。この少人数でも全国に行けた理由を尋ねてみた。「少人数だからこその利点というのもあると思います。コーチが選手一人ひとりをしっかり見られるし。大人数だと意見が食い違うと大変だと思いますけど、この人数だからしっかり話して、意見をまとめることができました」

三條(右)と1年の中村舜は積極的な走りを展開した

チーム事情から、松田はとくにコーチや監督とコミュニケーションをとることが多かった。大学に入ったときに5000mは16分台だったが、2年生で15分台に。丁寧なコミュニケーションが走力を伸ばしてくれていると、身を持って感じている。「今日は自分も想定通りの走りができたかなと思います。10kmの部にも16kmを走れるぐらいの主力選手がいて、彼らが走ってくれれば2分は逆転できると思ってたので、バシッとはまったかなと思います」。松田の言葉からは、後輩たちへの信頼がにじみ出ていた。

緊張の中でも100%の力を

10kmでトップだった三條はレース後「松田さんを最後に全国に連れていきたいという思いが、みんなの中にありました。今年になってとくに、3年生だけじゃなく、2年生も寄り添ってる感じが生まれてきたなと思ってます」と話した。前回出場した際に2年生で7区を走り、いまは母校を指導する和気コーチも「松田はずっと1人で、1人だからこそしっかり目をかけられたというのもあります。彼が在学中に全国に行きたいという思いはありました」と言った。たったひとりだったからこその苦労を、みんなが知っている。だからこそキャプテンは、チームのみんなに愛されている。

この12人が全部員だ。チーム力、総合力で伊勢路を駆ける

松田に全国での目標を尋ねると「具体的にはまだ考えられないですけど……」と、実感が湧いていない様子だった。「このメンバーは全員が初めての全国なので、すごく緊張すると思います。その中でも100%の力を出せるように。関東、関西の大学と少しでも競い合えるのを楽しみにしていきたいです」と語った。本戦まであと1カ月。「基本的な練習に加えて、チーム力をもっと強化していきたいです。今回も総合力で勝ち取ったと思うので、本戦に向けてもっと上げていきたいです」。文字通りチームをひとつにする愛されキャプテンは、ラストイヤーに伊勢路を駆け抜ける。

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