陸上・駅伝

特集:第51回全日本大学駅伝

立命館の長距離エース今井崇人、関学の石井優樹に挑み続けるラストイヤー

最終盤、今井(左)が石井の前に出るシーンもあった(撮影・安本夏望)

6月30日@京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場

1位 立命館大   4時間7分38秒
2位 関西学院大  4時間10分3秒
3位 京都産業大  4時間10分25秒
4位 大阪経済大  4時間13分56秒
5位 びわこ学院大 4時間14分40秒

6月30日にあった全日本大学駅伝の関西地区選考会で、立命館大学はトップ通過で11月3日の本大会出場を決めた。

本大会へトップ通過も、素直に喜べず

各校10人が10000mを走り、上位8人の合計タイムで競った。最終4組は本大会出場の3枠の争いのほかに、関学のエースと立命のエースの戦いに注目があつまった。

過去2年連続でこの選考会で関西トップのタイムで走っている関学の石井優樹(4年、布施)と、昨年の全日本インカレ男子10000mで日本勢2位に食い込んだ立命の今井崇人(4年、宝塚北)だ。もちろんお互いも強く意識し合う展開で、勝負は最終盤に持ち込まれた。ラスト1周には今井、石井の順でなだれ込んだ。バックストレートで石井が並びかけるが、今井がそれを許さない。しかし石井も離れない。ラスト150m付近で石井が出た。脚を残していた石井は、爆発的なスパート。3年連続の関西地区選考会トップタイムでゴールした。今井は2位でゴール。二人はどちらからともなく歩み寄り、笑顔で握手した。

レース前、心を整える今井(撮影・安本夏望)

立命がトップ通過で19大会連続の本大会出場を決め、関学は2位で2大会ぶりの伊勢路行きを決めた。閉会式後に報道陣に囲まれた今井は淡々と語った。

「僕自身今シーズンはあまり調子がよくなくて、でも今回はいい調整ができたかなってのはあったんですけど、いざ走ってみると自分で引っ張れるほどの自信はぜんぜん戻ってなくて、途切れ途切れで引っ張る感じになってしまいました。満足できる走りができませんでした」

石井に勝ちたい気持ちは強い

今井は今年5月の関西インカレ1部男子5000m決勝で、優勝した石井に約3秒遅れの4位。6月の日本学生個人選手権の5000m(タイムレース決勝)では2連覇した石井に対し、7位だった。今井に石井への意識について尋ねた。
「関西の大学から全国のトップレベルで戦えてるってのは、僕自身すごく刺激になりますし、(石井は)3月、4月に疲労骨折してたって聞いてるんで、ブランクがある相手に負けるのは少し恥ずかしいことだと自分の中では思ってたんで、勝ちたい気持ちは強かったです。でも、まだ実力が少し遠かったかなという思いがあります」。悔しそうな顔になった。

最後は石井(左)が絶対的な自信を持つラストスパートにやられた(撮影・安本夏望)

今井が今シーズン不調という要因は何なのか。「冬に走り込みができてたんで、そのまま調子を上げていけると思って4月の3連戦に臨んだんですけど、思いのほか調子が上がらずに、そのままズルズルいっちゃった感じです」

ただ、立命のエースとして、このまま終わるつもりはない。
「夏合宿でしっかり走り込んで、9月の全日本インカレで日本人トップをとれるぐらいまで実力を上げて、そこからスピード練習で調子を上げていって、出雲駅伝で3区の区間賞をとれるようにやっていきたいと思います」。スラスラと言った。石井への、そしてふがいない自分自身へのリベンジへの図は、しっかり描けている。あとは、やりきるだけだ。

中学校までサッカー少年だった今井は、進学校の宝塚北高で陸上を始めた。全国の舞台には立てなかった。立命で走り続けたくて一般入試を受けたが不合格。1年の浪人生活を経て、立命で走り始めた。そして着実にステップアップしてきた。
ラストイヤーの踏ん張りに、1年の回り道がどう生きてくるか楽しみだ。

レース後、仲間と語るときは笑顔ものぞいた(撮影・篠原大輔)

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