大学野球

関大4シーズンぶりリーグV 歓喜呼び込んだ “遅咲き” 森翔平の力投

力投を見せた関大の森

関西学生野球連盟秋季リーグ戦 第7節

10月22日@わかさスタジアム京都
3回戦 関西大 2-1 近畿大

近畿大との3回戦で、関西大が4季ぶり37回目となるリーグ優勝を果たした。スタンドから色とりどりの紙テープがグラウンドに投げ入れられる中、関大側のベンチからは次々と選手たちが飛び出し、マウンドで抱き合うバッテリーのもとへ走り寄った。その先頭にいたのは森翔平(4年、鳥取商)。つらく苦しかった最後のリーグを、最高のピッチングで締めた。

ピッチャー森のポテンヒットの間に、先制点を奪取

勝てばリーグ優勝、負ければ4年生の引退が決まる大一番。先発マウンドに立ったのは、今年ブレイクした「遅咲き」の森だった。森は初回、ヒットを浴びて出塁を許す。しかしその後は、打たせてとるピッチングで上々の立ち上がりを見せると、2回から5回まですべての打者を三者凡退に。ノーアウトから得点圏に走者を進めてしまった6回のピンチは、坂之下晴人(2年、大阪桐蔭)の併殺と森の気迫のピッチングで切り抜けた。

この日の森はバッティングでも魅せた。3回、倉川竜之介(4年、桜宮)がヒットと犠打で二塁に進んだ場面で打席に立つと、追い込まれた4球目をポテンヒットとし、その間に倉川が生還。貴重な先制点を生んだ。

3回に迎えたチャンスの場面で先制ヒットを放つ

最終回のマウンドに立てず悔し涙

8回0封で被安打はわずか4つ。森にとっては、4年間で最高のピッチングだった。魂の投球を続けていた森には「高野脩汰、3年、出雲商)に投げさせたらあかん」という強い思いがあった。コンディション不良ながらも、いままさにブルペンで肩を温めている高野をマウンドに立たせてはいけない。しかし、ロングイニングでの力投に全身がつり始め、森の体はすでにボロボロ。最終回もマウンドへ向かおうとした森を、見かねた早瀬万豊監督が制止する。そして、高野の名前がコールされた。「高野すまん、後は任せた」。申し訳なさから、森は静かに悔し涙を流した。

8回裏にもう1点を追加し、ゲームは最終回へ。ベンチ、スタンド、そして森、すべての思いを背負った高野が渾身の力を込めて左腕を振り下ろす。1失点を喫して迎えた最終打者。フルカウントの7球目が空振り三振となり、その瞬間に関大の優勝が決定した。高野はチームメイトの波に飲み込まれた。

森を奮わせた戦友の存在

3回生でベンチ入りを果たしてから躍進止まらぬ「遅咲き」の森は、夏のオープン戦で結果を残し、この秋から先発を任された。そんな森を奮わせたのは、スタンドから声援を送る肥後皓介(4年、広陵)の存在。けがにより今季は出場できず、スタンドの最前列から仲間にエールを送っている関大のエースだ。同じ4回生投手として一球ごとに喜び、涙してくれる。4年間をともに過ごしてきた戦友の存在が森を後押しした。

森と同じ4回生投手の肥後(左)

そんな森のキャップの裏側には、「楽しめよ!! 」という手書きのメッセージが書かれている。試合の前に肥後から森にいつも送られる言葉だ。森は「立命大戦のときに勝手に肥後ちゃんが書いてました(笑)。気負ってもしょうがないって意味かな」と、この言葉を胸に刻んで試合に臨む。一方の肥後も「背負いすぎずって意味です」。同じ方向を向く2人の絆は固く、強い。

キャップの裏に書かれた肥後からのメッセージ

試合前、森は肥後から「こういう場面で投げられるのもなんかの縁やしチャンスやから、おれの分まで楽しんできて」とのメッセージを受け取っていた。この言葉通りに楽しめたかと聞くと、「ぜんっぜんです。全然楽しめなかったので、神宮で楽しみます」と森。瞳の奥で闘志を燃やした。

最後に神宮大会に出場した2回生の秋、森はスタンドから仲間のプレーを見つめるだけだった。ラストイヤーこそ必ず神宮球場のマウンドに立つ。聖地の舞台で今度こそ「楽しむ」ため、まずは、関西地区代表決定戦で各猛者たちを迎え撃つ。

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